私、一年前にこんな記事を書いておりました。
○相乗り僅差による歳出増大の懸念 ~ 行橋市長選挙後 雑感 ~ - 若年寄の遺言
すると一年後・・・
19年度予算案・行橋市/普建費2倍の55億 | 建設通信新聞Digital 2019-03-06
======【引用ここから】======
福岡県行橋市の2019年度予算案は、一般会計が前年度比13.0%増の312億4900万円となった。
======【引用ここまで】======
これを、予想的中と喜んで良いのでしょうか。
それとも将来の財政悪化を嘆くべきでしょうか。
過去の予算と見比べてみると、予算の膨張は一目瞭然です。
財政課 | 行橋市ホームページより抜粋
============
当初予算
・平成26年度 24,681,038千円
・平成27年度 26,052,349千円
・平成28年度 27,335,214千円
・平成29年度 27,445,626千円
・平成30年度 25,096,347千円
============
そして、
・平成31年度 31,249,000千円 ← イ マ コ コ ! !
「1つ規制を導入したら2つ廃止する」
という考え方を示しています。
少子化・高齢化著しい日本においても、この考え方を見習い、
「1つ新規の公共事業を起こしたら既存の公共事業を2つ廃止する」
といった取り組みをしなくては、政府・自治体の破綻を免れることはできないでしょう。
(年金に関しては、見方によっては既に破綻している状態です。)
少子化によって社会全体における現役世代・労働人口は減っていきます。
これは既定事項です。
現在の子供の数が減っていることから、10年後の労働人口を今から増やすことは物理的に不可能です。
仮に、今年、来年と出生率を上昇させることに成功したとしましょう。
それでも、この子供たちが現役世代になるまで20年はかかります。
このため、少なくとも向こう20年間については、
・高齢者の医療や介護に要する費用、人手
・子供の教育に要する費用、人手
を数の少ない現役世代が捻出しなくてはなりません。
少なくともこれから20年の間については、人口増加を前提とした施策はナンセンスです。
人口が減るという避けられない現実に対応した仕組みづくり、体質改善が必要です。
社会全体における労働人口が減るのだから、役所の職員数も当然減らしていかなければいけません。
評価制度や採用のあり方も変えていかなければいけません。
給与、昇給については国家公務員や大企業に準拠するのではなく地元中小企業の水準に合わせたものにする必要があり、待遇面でも非正規職員に寄せていく形での同一労働同一賃金化は避けられません。
民間における一人当たり生産性が劇的に向上しない限り、10年・20年スパンで見たら税収も当然減っていくわけですから。
今まで役所がやっていた事業を減らし、役所が管理していた建物やインフラを維持できる範囲に絞り、減少する税収の規模まで歳出を減らしていくことが肝要です。
同時に、役所の規制、役所への届出を要する事柄を極力なくし、役所からの補助金をなくしていくことで、民間の生産性を低下させる無駄な書類仕事を減らす必要があります。
こうした小さな積み上げができれば、人口減少時代においても社会はそれなりに持続できるでしょう。
社会全体のパイが小さくなっていく中で、行政による再配分には限界があります。
無い袖は振りようがありません。
むしろ、行政が再分配や非効率な公共投資を繰り返したことによって、民間の活力を削いでしまい、持続可能な発展を阻害した感があります。
行政にできることは、民間による起業家精神の発揮を邪魔しないという消極的姿勢のみです。
ところが、冒頭の自治体では逆に、管理する公共施設を増やし予算を増額させるという路線をとっています。
○平成31年3月定例会 本会議4日目(H31.3.13)西本国治議員一般質問 youtube動画
「10年後の財政状況の見込みを示してほしい」
と求める議員に対し、
「2~3年後は大丈夫。新規の事業を始め、公共投資によって人口増加を図る」
と答える市長。
しかし、その投資がどのように人口増につながり収入増につながるのか、という点について、現実味のある説明は出てきませんでした。
しかも。
日本全体では労働人口の増えようがないんです。
この自治体に限定して人口が微増したとしても、増加させた維持管理費を賄えるような税収増が見込めるでしょうか。
この動画の中では、図書館やパーキングエリア、海岸地域の整備など大掛かりな開発事業が挙がっていますが、この開発によって、どこにどのくらい人口が増えて税収が幾ら増えるかといった具体性に乏しいと言わざるを得ません。
もともと民間が不採算と見込んで事業していなかった場所や分野に役所が事業展開したところで、建設費や維持管理費に投じたお金は活きたものとはなりません。
「聞いたこともない自治体だしどうでもいいや。自分には関係ない」
と思った都会のアナタ。
それは違います。
建設費には政府からの補助金も投じられます。
その原資は国税です。
田舎の自治体が見込みの甘い道楽事業を開始すると、都会の住民の血税も費やされる構図になっています。
公共事業をすれば一時的な雇用が生じ、受注した企業は潤います。
しかし、それは一巡で終わります。
ケインズ的な「公共投資で経済のエンジンを回す」という主張が幅を利かせる時代は終わりました。
他方、マルクス的な「資本家の富を収奪して労働者に回す」という主張では、必要なものの生産が滞ってみんなが貧しくなるだけです。
それよりも、
『地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門 木下斉 著』
『しょぼい起業で生きていく えらいてんちょう 著』
に見られるような、自発的で無理のない小さな起業が一つでも多く増えることが重要です。
そんな中で自治体にできることは、お節介をすることなく自らの組織と予算をコンパクトにしていくこと、国に対し規制撤廃を求めること、くらいしか思いつきません。
「1つ規制を導入したら2つ廃止する」
「1つ新規の公共事業を起こしたら既存の公共事業を2つ廃止する」
これが、長い目で見て住民の為になる、行政がとるべき方向性だ、と私は考えています。
○相乗り僅差による歳出増大の懸念 ~ 行橋市長選挙後 雑感 ~ - 若年寄の遺言
すると一年後・・・
19年度予算案・行橋市/普建費2倍の55億 | 建設通信新聞Digital 2019-03-06
======【引用ここから】======
福岡県行橋市の2019年度予算案は、一般会計が前年度比13.0%増の312億4900万円となった。
======【引用ここまで】======
これを、予想的中と喜んで良いのでしょうか。
それとも将来の財政悪化を嘆くべきでしょうか。
過去の予算と見比べてみると、予算の膨張は一目瞭然です。
財政課 | 行橋市ホームページより抜粋
============
当初予算
・平成26年度 24,681,038千円
・平成27年度 26,052,349千円
・平成28年度 27,335,214千円
・平成29年度 27,445,626千円
・平成30年度 25,096,347千円
============
そして、
・平成31年度 31,249,000千円 ← イ マ コ コ ! !
【行政を小さくする必要性】
さて、アメリカでは、トランプ大統領が規制緩和について「1つ規制を導入したら2つ廃止する」
という考え方を示しています。
少子化・高齢化著しい日本においても、この考え方を見習い、
「1つ新規の公共事業を起こしたら既存の公共事業を2つ廃止する」
といった取り組みをしなくては、政府・自治体の破綻を免れることはできないでしょう。
(年金に関しては、見方によっては既に破綻している状態です。)
少子化によって社会全体における現役世代・労働人口は減っていきます。
これは既定事項です。
現在の子供の数が減っていることから、10年後の労働人口を今から増やすことは物理的に不可能です。
仮に、今年、来年と出生率を上昇させることに成功したとしましょう。
それでも、この子供たちが現役世代になるまで20年はかかります。
このため、少なくとも向こう20年間については、
・高齢者の医療や介護に要する費用、人手
・子供の教育に要する費用、人手
を数の少ない現役世代が捻出しなくてはなりません。
少なくともこれから20年の間については、人口増加を前提とした施策はナンセンスです。
人口が減るという避けられない現実に対応した仕組みづくり、体質改善が必要です。
社会全体における労働人口が減るのだから、役所の職員数も当然減らしていかなければいけません。
評価制度や採用のあり方も変えていかなければいけません。
給与、昇給については国家公務員や大企業に準拠するのではなく地元中小企業の水準に合わせたものにする必要があり、待遇面でも非正規職員に寄せていく形での同一労働同一賃金化は避けられません。
民間における一人当たり生産性が劇的に向上しない限り、10年・20年スパンで見たら税収も当然減っていくわけですから。
今まで役所がやっていた事業を減らし、役所が管理していた建物やインフラを維持できる範囲に絞り、減少する税収の規模まで歳出を減らしていくことが肝要です。
同時に、役所の規制、役所への届出を要する事柄を極力なくし、役所からの補助金をなくしていくことで、民間の生産性を低下させる無駄な書類仕事を減らす必要があります。
こうした小さな積み上げができれば、人口減少時代においても社会はそれなりに持続できるでしょう。
社会全体のパイが小さくなっていく中で、行政による再配分には限界があります。
無い袖は振りようがありません。
むしろ、行政が再分配や非効率な公共投資を繰り返したことによって、民間の活力を削いでしまい、持続可能な発展を阻害した感があります。
行政にできることは、民間による起業家精神の発揮を邪魔しないという消極的姿勢のみです。
ところが、冒頭の自治体では逆に、管理する公共施設を増やし予算を増額させるという路線をとっています。
【現実に逆行する自治体】
では、予算を膨らました市長は、どのような認識なのでしょうか。○平成31年3月定例会 本会議4日目(H31.3.13)西本国治議員一般質問 youtube動画
「10年後の財政状況の見込みを示してほしい」
と求める議員に対し、
「2~3年後は大丈夫。新規の事業を始め、公共投資によって人口増加を図る」
と答える市長。
しかし、その投資がどのように人口増につながり収入増につながるのか、という点について、現実味のある説明は出てきませんでした。
しかも。
日本全体では労働人口の増えようがないんです。
この自治体に限定して人口が微増したとしても、増加させた維持管理費を賄えるような税収増が見込めるでしょうか。
この動画の中では、図書館やパーキングエリア、海岸地域の整備など大掛かりな開発事業が挙がっていますが、この開発によって、どこにどのくらい人口が増えて税収が幾ら増えるかといった具体性に乏しいと言わざるを得ません。
もともと民間が不採算と見込んで事業していなかった場所や分野に役所が事業展開したところで、建設費や維持管理費に投じたお金は活きたものとはなりません。
「聞いたこともない自治体だしどうでもいいや。自分には関係ない」
と思った都会のアナタ。
それは違います。
建設費には政府からの補助金も投じられます。
その原資は国税です。
田舎の自治体が見込みの甘い道楽事業を開始すると、都会の住民の血税も費やされる構図になっています。
公共事業をすれば一時的な雇用が生じ、受注した企業は潤います。
しかし、それは一巡で終わります。
ケインズ的な「公共投資で経済のエンジンを回す」という主張が幅を利かせる時代は終わりました。
他方、マルクス的な「資本家の富を収奪して労働者に回す」という主張では、必要なものの生産が滞ってみんなが貧しくなるだけです。
それよりも、
『地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門 木下斉 著』
『しょぼい起業で生きていく えらいてんちょう 著』
に見られるような、自発的で無理のない小さな起業が一つでも多く増えることが重要です。
そんな中で自治体にできることは、お節介をすることなく自らの組織と予算をコンパクトにしていくこと、国に対し規制撤廃を求めること、くらいしか思いつきません。
「1つ規制を導入したら2つ廃止する」
「1つ新規の公共事業を起こしたら既存の公共事業を2つ廃止する」
これが、長い目で見て住民の為になる、行政がとるべき方向性だ、と私は考えています。