ダンカン夫妻がサイクリングでオルニャオから来たとき、国道125は車が多くて危険だから海岸線の道路を通ってきたという。オルニャオまでの途中にサンタルジアという町があると聞き、二人で散歩がてら行ってみることにした。
タヴィラの町を直線に突き切って行くコースだから、ジラウ河に架かる古い橋までまっすぐに行くとちょうど引き潮の時間で、浅瀬で数人のポルトガル人が何かを採っていた。
橋を渡ったところで自転車のかご一杯に牡蠣貝を運んでいる人に出会った。この河は海まで1km以上は離れているが潮の満ち干があるくらいだから、海水が入ってきているのだと分かった。
タヴィラの町外れサンタルジアの表示のある街角から2車線道路の左わきに幅1.5メーターはある自転車道が設置されていた。自転車道はブルーに塗り分けられていて反対の右側は石畳の歩道になっている。最近英国でも自転車道の設置が叫ばれているが、狭い道路に車が多く自転車での事故死が絶えない。
ポルトガルの経済危機が叫ばれていた昨今、このようなゆとりがあることに感激した。
ポルトガルの英字新聞によれば、緊縮経済で若者の失業者が多く、過去2-3年で海外へ職を求めての移民が多く、ポルトガルも日本と同じく人口減少が激しく、将来税金を払う労働者の減少が危ぶまれている。
郊外は遠くの海岸まで広々とした塩田と道路の反対側はオレンジ畑と時々塀に囲まれた農家だった。オレンジ1㎏50セントの看板が農家の壁に下がっていた。遠くに塩の山が見える。日向は暑いほどだが、日陰に入ると寒さを感じる。
変わった植物の実か花を見つけ写真を撮ったら塀の向こうでものすごい犬が吠えた。
タヴィラの町外れから約2kmほどでセントルジアの町に入った。
ここは海岸線に沿った道路の片側がずらっとレストランになっていて、ちょうど1時近く、レストランでテーブルを囲んでいる客がほとんど英語で話しているのが聞こえてくる。
この街にはイギリス人の避寒客が多く、レストランが途切れた町の端には無料のキャンピングプラッツがあった。水や電気やトイレの始末はどうしているのかと心配になる。
町の中心は教会の近くの広場でクリスマスが近いこの日、広場はパーティの準備で今夜にでもここでエンターティンメントが行われそうだった。
教会のタワーと屋根の上に取り付けられた風向計や飾りはいかにも海の町らしい。
海岸のレストランで昼食、大きなスズキ一匹の塩焼きでキャンプ場から近い魚専門レストラン(スリーパルムという)とほとんど同じ料金だった。街角の広場には食後のボールゲームを楽しむ人たちが集まっていた。
帰りのタヴィラのジラウ河は満潮で夕陽に輝く建物が水に映えて美しい。