4月に帰国の際キャンパーの調子が悪くて苦労してやっと帰ってきた。亭主の友達がエンジンや付属パイプをきれいにする液体があると教えてくれ、5月の晴天の日、それを入れて坂道へ試運転することにした。それでついでならどこか見学できるところをと探したのがサセックスのあまり人に知られていないボーデヒルガーデンだった。
キャンパーの調子は相変わらず悪かったけれどこのボーデヒルガーデンは素晴らしかった。
200エーカーの庭の真ん中に建つボーデヒルハウスは1598年にスティーブン・ボーデによって建築され、この屋敷は次々と人手に渡った。1893年当時の持ち主ロバート・スティヴンソン・クラーク陸軍大佐が屋敷周囲の庭を整備し、彼の息子のサー・ラルフ・クラークが1965年に庭をチャリティの一環として一般公開に踏み切った。
戦後このような巨大な屋敷を保持運営するには莫大な金額が必要でほとんどの屋敷や城などはナショナルトラストやチャリティに運営を任せているところが多い。
このボーデヒルはガーデンだけを一般公開しているが屋敷は個人所有で入れない。
この近くの村の一角、家の壁を這った藤の花が見事だった。そしてボーデヒルガーデンの中へ入ったところからあらゆる花の色彩に目を奪われた。
ちょうどつつじやシャクナゲが真っ盛りの季節、あたり一面極彩色、どれを見ても感嘆の声のみ。
通路わきの下草は白い花の咲いているワイルド・ガーリックで最近はこの葉を高級野菜として売っている。このワイルドガーリックはやや日陰で急速に繁殖するため、この庭ではあらゆるところで花盛りだったし、このガーデンへ来る道端でも繁殖していた。
馬酔木(あしび)は漢字の通り木の葉を馬が食べると酔ったようになるためこの漢字があてられた。白い花はスズランが連なっているようで可憐だし、新芽の赤がとってもきれい。
イタリアンガーデンへ行く途中のサウスローンからは屋敷の裏側が見える。いかにも古くて魅力のある建物には見えない。
5月1日から9月30日まで彫刻作品が庭のあらゆるところに展示され、この庭の案内書には核彫刻作品の売値が書かれてあった。
イタリアンガーデンの池の真ん中のオブジェはボードヒルガーデンの50周年を記念して特別作られたアクアポイズと呼ぶ。
あまり目立たない花はポルトガルの野生種から移植されたものが多いのに気づいた。個々の一重のボタンが見事だ。