イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

そう言や食費の出どころも…

2008-12-19 00:23:23 | 世相

『炎神戦隊ゴーオンジャー』は前からたびたびここで書いているように、“次回楽しみの要素が多い”高原状態の曲線を、うまいことここまで引っ張ってくれているのですが、若干「例年の東映戦隊に比べて、これでいいのか?」と思うふしもないではない。

強化変身フォームが登場せず、外見的にも内面的にもメンバーのパワーアップが実感できないまま“現有戦力に武器アイテム数、合体パターン数だけオン”のまま後半に突入していることもそうですが、“大人の顔出しレギュラー”が、悪のケガレシア様(及川奈央さん)だけで、ヒーロー側の師匠格や後方支援役には大人無しというのは、ちょっと作品として心細い気も。

『ハリケンジャー』での西田健さん、『アバレンジャー』での奥村公延さん、『ボウケンジャー』での大高洋夫さんといった、東映の脇ベテラン、舞台の重鎮格がいないと、特撮抜き・戦闘外のドラマ部分の画面、特に“本拠地ないしベースキャンプでのオフタイム”に、何と言うか“重石”が足りないんですね。ふわふわしている。

GP8で走輔(古原靖久さん)の師匠格で真夏竜さん、同13で菅田俊さん、同27で木野花さん、同32で『相棒』組織犯罪対策5課の“小さいほう”志水正義さん等々、敵方ではなくゴーオンジャーと融和する役で、ゲストではユニークな人選がなされいちいち嵌まっているだけに、なぜ1年間呼べなかったかな…と思う。

レギュラー戦士役は例年新人・準新人の起用と決まっていますから、大人向けドラマや映画でおなじみの俳優さんのレギュラー参加は、たとえ1話当たりの登場場面は少なくても、大人世界との架け橋、(悪い意味での)子供騙しじゃないよ」という“了解のとりつけ”でもあるし、醒めた見方をすれば“大人中心社会であるTV局が、どの程度の予算を割いたか”の指標でもある。

そう、身も蓋もなく言ってしまうと、“正義の顔出し大人”のいない戦隊は、どこか“安上がり”“節約”の匂いが漂うんですな。

『ゴーオンジャー』の場合、炎神たちも“エコ・カー”だから、ちょうどいいのか。省資源、ついでに省“資金”ってことで。

……………うまくまとまらないにもほどがありましたが、動植物系モチーフの戦隊より、どちらかというとメカ系戦隊のほうが好きな月河、たまに『デカレンジャー』『ボウケンジャー』の録画再生して観ると、ドラマやキャラ造型はともかく、やはりスケール感とか、舞台や背景の何とはなしの宏壮感、“手が込んでる”感において『ゴーオンジャー』は薄いし、軽いなと思う。

否応なく進む少子化で、玩具メーカーも市場開拓や商品戦略が一段と厳しくなっています。輪をかけて“予算の窮屈さ”が絵ヅラに出てしまうと、さなきだに絶対数が減っている小さなお客様に「安っぽい」とますますそっぽを向かれかねない。

『ゴーオンジャー』の終盤の展開以上に、いろんな意味で来年以降も目が離せないスーパーヒーロータイムです。

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いっすのこと

2008-12-17 22:29:23 | 健康・病気

高齢家族の付き添いその他いろいろな用で、いろいろな病院のいろいろな診療科に行くわけですが、どこの外来も、ほとんど押すな押すなに近い混み具合です。

特に、最近全国的に問題になっている産科・小児科医師不足だけでなく、当地は地方のつねで、眼科や耳鼻科の個人開業クリニックも最近は医師の高齢化に伴い続々閉院しており、どうしても総合病院の眼科・耳鼻科に広範囲の地域から患者が集中しがち。

先日、当地でもスタッフが揃っていると高評価の拠点病院の眼科に行ったら、待合室のベンチがびっしり満席。無名芸人やミュージシャンだったら羨ましがるんじゃないかってぐらいの賑わいなわけです。

この病院の眼科、よほど人気なのか何ヶ月か前に行ったときもこんな感じでした。さすがに後から来た患者さんを立たせておくわけにもいかないので事務室からパイプ椅子持ってきて空きスペースに並べてそちらに誘導してたようですが、急遽用意しました感ありありなことに、椅子の色や幅や高さが見事に三々五々まちまちで貧乏くさいのなんの。

 ふと思ったんですが、どうせ備え付けのベンチじゃ席数足りないのわかってるんだから、いっそ、ぜんぶ撤去してぶち抜きの空間にして、「マイ椅子ご持参の患者さんは診療費自己負担半額」ってことにしたらどうかな。

たいていの人は軽いパイプ椅子か釣り用の折り畳みスツール的なのを持って来るでしょうけど、待ち時間が半端なく長いですからねー。眼科の患者さんは高齢者も多いですから、若いご家族や親戚の若者くん動員して、お気に入りの安楽椅子かなんか持ち込むお婆ちゃん、お爺ちゃんもいそう。

中にはデヴィ夫人のお屋敷にあるようなクソ豪華なディヴァンみたいの運び入れさせて得々としてる厚化粧ババアもいたりして。

もちろん「いまは年金生活だが、ちょっと前は押しも押されぬ重役だったワシは、椅子はやっぱりコレでなきゃ」と肘掛つきビロード張りの回転椅子持って来てふんぞり返るジジイもいる。

ついでに「“閣下”と呼ばなきゃ返事せんぞ」なんて(それは『相棒』)。

元気なお爺ちゃんの3人組が、3人で2脚しか椅子持って来ないで、1人座れなくない?どうすんのか?と思ったら「どうせ退屈だから」って椅子取りゲーム始めたり。「疲れた。そちらさんのロッキングチェア貸して」「ヤだ」って今度は2人に1脚のゲームになったり。

当然「あたしゃ年寄りだから椅子よりこっちが」と座布団持って来る人もいる。「あたしも」「オイラも」って6人ぐらい集まったところで、7人めが台車に100枚ぐらい積んで来て「座布団と言えばコレでしょう」と大喜利始める。

でもって、桂歌丸師匠役と三遊亭楽太郎師匠役を誰にするかで揉める。「アンタは目つきが悪いから小遊三だ」「そこのアンタ、ちょっと山田君役やって」「ワタシは看護師です!」なんてね。

…ま、当節、総合病院の待ち時間の長いのは、いまさらこと改めて嘆きませんから、せめて待ちスペースの椅子ぐらいは座り心地も見てくれも良いのをたっぷり用意してくれればな、という、それだけの話なのですがね。

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人に言うなよ

2008-12-15 23:55:21 | 夜ドラマ

『炎神戦隊ゴーオンジャー』14日放送のGP43と、次週44のクリスマス・イベントエピソードで08年の放送は終了なのかな。装填・合体ツールのおさらいプチ展示会みたいで、随伴視聴のパパママはお子さんの視聴後の「買って!」攻撃に、不況の年の瀬、身の細る思いだったかもしれませんね。

『ゴーオン』は放送クール後半恒例の、パワーアップ強化変身フォームが未登場なかわり、強化武器アイテムは例年以上に充実していたと思います。今週のゴーオンゼミナールで軍平(海老澤健次さん)がひとりエツに入っていたように、“ソウル”のセットという概念を物語になじませたこともグッジョブ。♪え~んじんソオ~ という、基幹CM出だしのフレーズをゼミナールで走輔たちメンバーに歌わせた戦隊も初めてじゃないでしょうか。大きなお友達月河も、キャストはともかくソウルだけ欲しいという気分には放送中何度もなりました。掌に乗る小さなパーツに炎神の“魂”が宿っているというイメージは、何となくパワーストーン好きのハートをくすぐるものがあるんですよね。

GP1から数え上げて合計はじき出したわけじゃありませんが、これだけのアイテム数、ギミック数を企画して、ストーリーにもれなく織り込んでなおかつストーリーもキャラも破綻していないというのは驚異です。思い切り身もフタもなく言ってしまえば、基本的には“児童向け玩具販促ソフト”でしかない日曜朝枠を、玩具購買行動と切り離して、大人も一緒に番組単体で鑑賞するに足るものに仕上げている特撮スタッフは本当にすごい。

自動車メーカーがスポンサーなら交通事故はダメ、製薬会社なら毒殺はダメ…程度以外は縛りもなく、理解力も脳内補完力も妥協力もある大人視聴者相手限定で、しかも一定の固定客まで連れてきてくれる原作つきで、スカスカのグダグダの、コケコケの作品しか作れないでいる夜ドラマ製作陣に爪のレッド…もとい垢でも煎じてご馳走したいくらい。

強いて言えば『ゴーオン』、ヒーロー側も敵勢力側も、“ひとつ戦い、一基倒したことが次につながる”、“尻上がり”の高潮曲線が物語に不足だったかも。ガイアークに関してはヒラメキメデス参戦敗退と、ヨゴシュタイン様離脱→復帰がひとつの節目になり、その後凄みを増していくかとばかり思っていたのですが、意に反して凄みよりおもしろ度が増したような。ゴーオンジャー側もウイングス参加後、特にメンバー間・メンバーと炎神間で“摩擦や軋轢を乗り越えて関係熟成、それによる戦闘能力向上”の物語があまりみられず、敵味方ともやや一本調子だったのは残念と言えば残念。

特に初期メンバー5人に関しては、「GP12辺りに比べていまのほうが強くなり、キャラの襞も深化し顔つき目つきも変わった」とは言い難い。『デカレンジャー』『ボウケンジャー』などは終盤40話前後以降ぐらいは、序盤のビデオを巻き戻して確かめるまでもなく歴然と佇まいが変わっていましたからね。

ま、内輪のいがみ合いとか嫉妬や疑心暗鬼とか、敵味方シャッフルした恋愛感情もどきとか、中途半端に重い流れが最小限に抑えられたことで、“ムダな暗さ”“文脈から浮き上がった切なさ”がなく、平準的に明るく毎GPごとにカタルシスが味わえる戦隊になったのはよかったと思います。たまたまデカレンとボウケンを引き合いに出したけれど、彼らは職業プロフェショナル戦隊。いろんな意味で(選ばれた)アマチュア”のゆるさを失わないのがゴーオンの魅力でもありますから。

強化フォームは別にして、毎年恒例の“準お約束”展開もひととおり披露してくれたんじゃないかな。敵性人格・ワル人格憑依はスーツアクターさんも大奮闘の走輔蛮機のほか、ストロー蛮機の毒霧のGPでは走輔のみならず連(片岡信和さん)も見せてくれたし、範人(碓井将大さん)を中心に男性メンバー女装エピも例年以上に盛り沢山。敵側にセクシーお姐さんケガレシア様(及川奈央さん)を配したことで、ガールズ話の広がりも増しました。敵キャラ声優にアントキの猪木さん、エド・はるみさんとお笑い界からの起用も概ね成功だったし、『相棒』コラボなんてえ適時打過ぎる企画も。

残り56話、できればウイングス須塔兄妹(徳山秀典さん、杉本有美さん)主役回に1話割いてくれると嬉しいかな。追加戦士がいまだにギンジロー号で在来メンバーと行動を共にしていないのは、舞台空間の広がりとして好ましいと思っていますが、登場以後一貫して互いにアニスキー、妹スキーなのがどうもむず痒いんですよ。「局面によっては兄妹の絆より、他メンバーとの協調を優先する」ヒーローらしい合理性や吹っ切れも一度は見たい。

ガイアーク側で言えばレンズ蛮機の回でキタネイダス様が目論んでいた“ウガッツ補完計画”、人間をジャンクワールドに拉致して、顔からウガッツに変えていく…といったような、ヴィジュアル的に直球で邪悪な作戦をもうひと声お願いしたいですね。積み重ねたお間抜け、なごみ要素もそれでこそグッと引き立つはず。

さて『相棒』の噂をすれば影とやらで、今日は『徹子の部屋』、亀山薫卒業が17日に迫った寺脇康文さんゲスト回を録画視聴。

土曜ワイド劇場時代から数えると8年半、演じ続けた当たり役&ヒットシリーズとの別れは淋しいかも知れませんが、俳優として尊敬する水谷豊さんと一緒に仕事ができた充実感、高揚感は格別のものだった様子。想像するに、水谷さんは“役者シャイ”で、役柄や虚構の設定が与えられないと、素では挙動不審になりがちなタイプ、寺脇さんは空間恐怖と言うか“沈黙を避けたい”あまりサービスでギャグとかものまね表出してしまう、水谷さんとは別角度の役者シャイタイプで、たぶんオフカメラでもいいコンビだったのでしょうね。キャベツ畑での待ち時間“ワル兄弟”会話、なんかそこからドラマの新シリーズが立ち上げられそう。

亀ちゃん卒業後の寺脇さんは、宝塚歌劇団花組トップを昨年暮れ、こちらも卒業後の春野寿美礼さんとの共演舞台が待っているそうですが、亀なき後の『相棒』のほうが製作のハードル高そうな気がするなぁ。ま、それぞれ期待しましょう。

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アイスでアールグレイ

2008-12-14 19:51:18 | 世相

安倍晋三さん、福田康夫さんと、総理大臣がズタボロになった挙句にキレ辞めしちゃうケースが続き、現職・麻生太郎さんにも“それフラグ”が立ち始めたせいか、いつも言われることですが「自民党政権は、自分ら党員・代議士で総理総裁を選んで担ぎ上げておきながら、世論調査で支持率が下がって旗色が悪くなると寄ってたかって叩いたり足引っ張ったりするのは良くない」「自分たちが選んでトップに戴いた人が、批判にさらされているときほどフォローし支えるべきじゃないのか」と、“政局前がかり”に警鐘を鳴らす論調が目立ちます。

しかし、まぁこれも仕方がないかなという気もする。世間的人気のない権力者を、閣僚や側近ら彼に任命された部下たちが一生懸命庇ったり弁明にこれつとめたりしていると、テメエらが互選の結果選んだトップだから当然ということとは別に「ポストもらった義理果たすためだろ」「それ以上に、ポストに付随する利権が惜しいから、トップを擁護すんだろ」「トップがこけたら自分もただの人、年収激減だもんな、ヘッ」と思われてしまいがち。

 基本的に、“権力の座にある者の味方をする”のはいつの時代もカッコ悪い。小泉純一郎さんの在任中みたいに、トップが世間的にも人気だったら安心して「ボクも味方です、賛成です、推してます」「トップもボクを見込んで重用してくれてますんで、評価してくださいヨロシク」と世間にアピールできますけどね。

あんな具合に「ボクも味方」「ワタシも腹心」「ワタクシも見込まれてるのよん」と“チルドレン”がうじゃうじゃ湧いてくるのも気持ちが悪いし不健康だったけどな。政界再編か?総選挙か政権交代か?なんて話題が賑やかしくなるたびに、多数決に基づく民主主義ってこの国に合ってるんだろうか?民主主義を標榜し、実地運用するに足る民的力量が、この国にいま有るんだろうか?とつい考えてしまいます。

 今日はそんなことより、このところ連続して考察している『相棒』の、虚構としての磐石さを支える一要素として“『相棒』では常に世界が秋~冬である”を挙げたかったのです。

これは、レギュラー化後のテレビ朝日の当該放送枠水曜夜900で『相棒』に充当されるクールが常に10月~3月だからで、実際の撮影は真夏から行われていることもあると思うのですが、おかげでいつも右京さん(水谷豊さん)はサスペンダーの三つ揃い、特命ルームのコート掛けにはブリム付きのハットがかかっていて、聞き込みにはロングコート。亀ちゃん(寺脇康文さん)はおなじみエンブレム付きブルゾンとカーゴパンツを場面転換に合わせて何着も着替え、「ヒマか?」の角田課長(山西惇さん)はペールカラーのいろいろなニットベスト。

過去の事件を振り返る回想フラッシュなどを含めても、“東京のむせ返る夏”がほとんど画面に登場しないのは、リアルタイムの放送を追尾していれば単純に現実世界とシンクロしているだけなので、特筆すべき何ものも感じないでしょうが、再放送やDVDで観た場合、かなりの“巧緻な人工的虚構感”があります。

逆に言えば、角田課長や課員大小コンビ(久保田龍吉さん志水正義さん)のお盆休み帰省、たまきさん(高樹沙耶さん)・美和子さん(鈴木砂羽さん)の浴衣姿、炎天下でYシャツの袖まくって汗拭き拭き現場検証するトリオ・ザ・捜一(川原和久さん大谷亮介さん山中崇史さん)、“夏服”で指紋遺留品などを探索する鑑識米沢さん(六角精児さん)、「それにしても暑いと思いませんか、この部屋、空調がどうかなってるんじゃないかしら」と扇子使いつつぼやく小野田官房長(岸部一徳さん)など「あるんだろうけど、映像化したらどんなんだろう」ともろもろ想像力を刺激する契機ともなっているのでした。

亀ちゃん、真夏はもちろんブルゾン脱いでるだろうし、インナーのTシャツにエンブレム?パンツはまさか短パン?“きちんとオフィシャル”にこだわってそうな右京さんは、まさか羽田元総理ばりの省エネスーツ?英国トラディショナルにはないしまさかね?等興趣尽きない。画面でつまびらかに見せられ、描写されることなく、“描かれないこと”によってこそ存在感が際立つ。“『相棒』の夏”は幻なるがゆえに心惹かれまさるものがあります。

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北ーーー!

2008-12-13 18:30:18 | お笑い

ものまねの山本高広さんという人、駄洒落じゃないですが“ピン芸人の極北”ですね。

初めて顔と名前と持ち芸が一致したのは、夏頃、確か『お試しかっ!』の“女子中学生にウケる芸人No.1は?”だったような気がしますが、とにかく文脈は忘れたけどなぜかタキシード上下で出ていて、ヘンに生っ白いアバウトな顔立ちと若メタボな体型とも相俟って、プロものまね芸人と言うより、局のおもしろ(いと内輪では言われている)スタッフさんがサブMCとして引っ張り出されて来たのかと思いました。

唯一の印象は、看板芸ということになっている織田裕二さんのものまねが、微妙も微妙、超大微妙だったということ。例によって仕込み臭い、妙にルックス平均値の高い女子中学生ちゃんたちにも30%ぐらいしかウケてなかったと思います。TV露出し始めた頃の小島よしお、小梅太夫、波田陽区など、一目瞭然に一発屋だったピン芸人と比べても、抜きん出た微妙さでした。ひょっとしたらこの人、月河が知らないうちにすでにブレイクして、売れ方の旬も技量のピークも過ぎた人だったのか?と首をかしげたほど。

90年代前半のものまね番組で、“横顔だけ(それも右向き限定)吉田栄作”という人がいて、ブリーチジーンズに白Tインして歌ってる間も、歌後のMCとのトークの間もカメラ探しては必死に右向き続けて逆に笑いを取っていたものですが、山本さんの織田裕二マネは、“微妙であることをネタにしてもいいかどうか周囲が逡巡する感じ。

すでに『お試し』収録の頃から、織田裕二さんの事務所サイドから圧力的な動きがあってやり辛くなっていたのかな?と後から考えてみたりもしましたが、織田さん側に肩入れするわけじゃないけどあれくらいの実績とキャリアと、安定した人気のある俳優さんが、笑かし路線のモノマネされたこと単体でそんなに神経質になるともどうも思えないんですけどね。ひょっとしたら月河同様「TVで披露してギャラ発生するプロレベルの芸として認めていいのか?」というところで当惑したんじゃないのかなぁ。そこらの居酒屋のコンパでアホ学生や職場のひょうきん者が演って座を寒くしてるレベルと大差ないんだもの。

世界陸上MC限定なら、キャン×キャンのほうがずっと前から演っていたし、ご本人たちも“オンバトヒーローズ”で、「“似てるモノマネ”より“(観客が誰某のモノマネだと)わかるモノマネ”を目指した」と回顧している通りの催笑感もずっと強かった。報じられているように織田さん側が「本人のイメージを大切にしてもらいたい」とか何とかケチくさいことを言い出すのであれば、キャンのほうに先に行ってもよかったですよね。露出量が桁違いに少なかったからか。あくまで漫才メインのネタの、“接続詞”みたいな一部分だったから看過されたのかな。

俳優さんでも、政治家でも、それ以外の有名人でも、ものまねのプロにマネされてウケるというのは、“有名さ”“認知度”において世間のライセンスが得られたようなものですからね。「贋物が出回ってこそ一流ブランド」というのと似ている。イメージどうこうと言うなら、『オレたちひょうきん族』で若かりし頃の明石家さんまさんが眉細く描いて演ってた幸田シャーミンさんや、ビートたけしさんが顔に肝斑描いてた岡本太郎画伯、78年前のラサール石井さんによる和泉元彌ママのほうがずっと毒気があり、「本物が見たら、いろんな意味でたまらないだろうな」と思わせてくれた。

俳優さんとモノマネの関係で言えば、いちばん強烈だったのは『ひょうきん族』時代の片岡鶴太郎さんによる近藤正臣さんでしょうね。もうちょっと前、小堺一機さんも(田村正和さんとの抱き合わせで)演ってたかな。青春もの、文芸原作ものなどシリアスなドラマの重い二枚目役が多く、遅咲き(三十路近くなって高校生役)だったことも相俟ってますます重いキャラが固定しかかっていた近藤さん、「シリアスで二枚目だけどこの人、なんかどっかヘンだよな?」と皆が思っていた、その“ヘンさ”がどこからどう来るものなのか、鶴太郎さんや小堺さんのモノマネによって初めてつまびらかにされた。「この人の演技や存在感にはこういう可笑しがりどころがあるんだから、シリアスなドラマでシリアスな役を演っていても、この角度から見てこうツッコむのもアリなんだ」ということも同時にわかり、近藤正臣という俳優の“消費の方法論”が格段の飛翔を遂げた瞬間でもあったのです。

現在の近藤さんは『秘太刀 馬の骨』や『陽炎の辻』などの時代劇でも現代劇でも、二の線な、あるいは気障なだけでない味のある、クセのある老け役を見事に披露してくれていますが、彼の演技力量や努力単体ではこんなにスムーズに方向修正できなかったかもしれない。

その点、織田裕二さんは、“ツッコまれ開眼”前の近藤さんらに比べ、あらかじめ消費の間口が広いと言えば広い。

『踊る大捜査線』シリーズがあまり口に合わなかった月河は、いまだに織田さんと言えば『振り返れば奴がいる』のような作品で、司馬先生のような役をもう一度演ってくれないかなと思っているのですが、『東京ラブストーリー』のカンチに始まり『お金がない!』『冗談じゃない!』のようなシチュエーションコメディに近い作品、『真夜中の雨』のようなラブサスペンスメロ、「“月9”という世間イメージのパロディ」に等しかった『ラストクリスマス』、『椿三十郎』リメイクのような企画モノ(と言っていいでしょう)、数々の主題歌歌唱、そしてご存知青島刑事、世陸MCまで、とにかくストライクゾーン…と言って甘ければ“バットに当てられるゾーン”が広いので、「コレを演れば織田裕二に見える、織田裕二モノマネだと皆がわかる」取っ掛かりが多すぎる。逆に織田さん側からすれば、ひと頃の近藤正臣さんや、コロッケさんを得た美川憲一さんのように“モノマネされて、販路が広がってラッキー”を感じる要素が極めて少ないでしょう。

今回の騒ぎ(ってほどでもないのかな)で、「大物俳優のくせに一介の一発屋モノマネ芸人に目くじら立てるなんてスケールの小さい人だ」とイメージを悪くしたとしたら、先般の久々の月9主演作が不振に終わった後でもありちょっとお気の毒。

月河としては、山本高広さんと2ショットで、大塚製薬“ULOSCMパロを披露してくれたら一気に好感度上昇………いや、やっぱり司馬先生リターンズのほうが観たいかな。

企画的に無理ならば、戦隊シリーズでリオ様(@獣拳戦隊ゲキレンジャー)、ガジャ様(@轟轟戦隊ボウケンジャー)のような顔出し悪の幹部に扮してハジけてくれたらもう、めちゃめちゃ大歓迎です(もっと無理か)。

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