午後、久し振りに多峰主山に登った。
退院後、春先に登った時には会えなかった山友だち に逢えた。
大猪のような巨大な体躯は普通になり、見違えか、と思ったほどである。
互いに病気自慢になった。
わざわざ腹の手術跡をご開帳することはないのに、恐ろしいくらいに見事な割腹の跡だった。腹に脂肪が溜まると、縫合してもなかなか傷口が塞がらないそうである。
心臓カテーテル治療が恥ずかしくなる傷跡だった。
大猪君は体育会系で仲間作りが上手い。
この時間帯は彼が中心の仲間が4、5人集まるらしく、森生を紹介してくれた。
その内「カネコ坂」が話題になった。
10年以上も通ってるが、聞いたことがない坂の名前だ。
「カネコ坂」は山頂下の尾根先端にある御嶽八幡神社裏の急坂だった。
カネコという爺さまが日に8回も上り下りを敢行し、驚倒させた記念に名付けた由。神社は崖の上にあり、裏の坂道は祠の右脇に露出した岩盤同様、45度はある。
岩盤の隙間は蛇のマンションで、急坂には冬以外は立ち入らないことにしている。
別の仲間が長い棒を持ち、山頂西側の岩場を上がってきた。
「その杖はどうした?」
「下の坂でヤマカガシに遇った、落ちてたこの枝で追い払ったんだ」
森生もその坂道では、叢にいる蛇を時々目撃したことがある。
そろそろマムシが出歩く季節なので、マムシ談義になった。
「ほかの蛇は逃げてくれるが、マムシは飛び掛ってくるぞ」
「マムシがいそうな湿った場所は長靴が安全よ」
「マムシは胎生でな、子マムシを口から出すんだ」
「母マムシは出産に邪魔な毒牙を折るために、人を攻撃するのさ」
「いや、マムシの毒は子マムシには効かねぇ、効くなら母親は中毒しないかぃ」
「河豚に較べりゃ、大した毒じゃないわさ」
とけんけんがくがく。
今日登って来たのは、東の天覧山に続く「北尾根道」に合流する「檜根坂」である。
登り口は「暗沢」を跨ぎ湿っていて、イカニモ、な暗い坂である。
フェンス脇の道で青大将の横断中を目撃し、慌てて引き返したこともある。
みんなの話では、登り口にはやはりマムシがいるそうだ。
「両手を拡げたくらいのデカイ奴がいる」、という話は、「逃がした魚と同じだわぃ」、と否定されたが、いることは事実らしい。
話は続き、結局、先に山を下りる人はおらず、夕暮れが近付いた。
帰りは枝棒を持って来た人を先頭に行列になった。
ヤマカガシがいた「西段々坂」では誰も口も利かずに下りてきた。
「檜根坂」「西段々坂」「北尾根道」「暗沢」等は不肖森生の命名で、まだ公認されてません。
マムシの真実は、ウィキを調べるのもヤなので、ご自分でお調べ下さいね。
以前、青大将を調べたら、突然、見るのも嫌な大将が画面に出てきましたので......。
以前 試してガッテンで 怖いモノは5分間ジッと見詰めていると 慣れて怖くなくなる と言ってました
そんなことしてたら マムシに噛み付かれてしまいますね
一般に 若い女性は 蛇を何とも思わないようです
大蛇を肩に担いで ピースしている写真を よく見ます
写真がまた・・・いかにも「出そうな雰囲気」。
緊張の連続です。読み終わって肩に力が入ってた
ことに気がつきまして「フーッ」と息を
吐きました。こわい話ですね。
ボクもWikiは調べませんから。