林 住 記

寝言 うわごと のようなもの

梯子を上るバレリーナ

2015-06-15 | 拍手

心配された雨は降らなかった。
先輩宅での宴は、近くの渓流で今朝釣ったばかりの鮎の塩焼きが供されて、無事お開きに。

後片付けが始まった。

仮設の椅子や食卓を外し、ベランダ下に収納。
酒瓶・空缶・紙カップ・割り箸などをごみ袋に分類。
庭を掃く。

ここまでは一斉に、テキパキと進んだが、最後に残ったのは雨よけのために、庭に張り渡したブルーシートである。
物干し竿やブロック塀に固定した紐は簡単に外せたが、家の庇の落雪防止金具に括り付けた紐が外せない。

  若い人、もしくは若いつもりのお爺さんはいませんかぁ~

と幹事君が声を掛けても、老若爺さんは顔を見合わせシ~ン。

  わたしがやりますっ

と名乗り出たのは、某氏が連れて来たか、代理で来たかした若い娘さん。
今回初参加ということで、バレリーナという紹介だった。

ボトムは黒いタイツ。トップは黒いブルゾンというのかな? あるいはパーカーとでもいうのかな? 要するに裾がひらひらした上っ張りだ。
そういう姿でひらりと梯子段を上り始めた。

ガリガリでもなく、当然デブでもなく、均整がとれた美しい肢体に、魅力的な笑顔が載っていた。

近くにいた老若じじぃたちは、無邪気な笑顔(本当だよ)で梯子を支えた。

娘さんの雄姿は、山峡のまちに現れたジャンヌ・ダルクである。
4カ所の紐を見事に解いて外して、梯子から降り立ったバレリーナに感嘆と称賛の拍手が起きた。
と同時に、われらじじばばの時代は終わったことを感じた。

150615



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