煙草博物館へ行くつもりで、墨田区の大横川親水公園に到着した。
目の前に、鼻が低いスパイダーマンがいた。
せせらぎの岩の上で蜘蛛の真似をし、這い蹲ったり、自撮り棒をかざして自分を写していた。
でも東京の人って、こんな怪人には慣れっこなのか、誰も振り返らない。
スパイダーマンは、努力が報われていないようだった。
田舎から来たじじぃは目をパチクリ。近付こうとした
しかしスパイダーマンのヤツ、足が速く追い付けなかった。
気分はどんなものか、暑苦しくないのか、どこで着替えたか、お叱呼に不便はないのか。
などを質問したかったけれど、逃げられてしまった。
実は、じじぃもあんな奇抜な恰好を一度してみたかったのだ。
でも、今のこの崩れたカラダじゃ、行き交う人々に笑われるだけだろうなぁ......。
この辺りは鬼平が活躍したところだ。盗賊姿がいいかもな。
若い時に、何でもやっておくんだった、と後悔した。
スカイツリーの真ん前の運河で、ただ一人、釣をするお父さんがいた。
衆人環視の中、これはこれで、勇気のある行動だ。
夕飯のおかずには、水が濁り過ぎ、と田舎から出て来たじじぃは思った。
芝生広場では、ちょん髷頭が、小さい女の子と太極拳風ダンスを踊っていた。
東京は、自由気儘でいい。
この頃、時々、都会へ引っ越したくなる。
171016
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