天野祐吉対談集「隠居大学」で、坪内稔典という愉快な俳人を知りました。
先ず、その坪内稔典宗匠30代後半の代表作、だそうです。
三月の甘納豆のうふふふふ
締切が迫っているのにどうしても句が浮かばない。
机の上をふと見たら甘納豆があり、思いついた句で、
二月には甘納豆と坂下る
の次にできた。
そうしたら三月の甘納豆の方がが大評判になり。そして毀誉褒貶。
「それなら」とちょっと欲が出て、一年間のを甘納豆で連作した。
一月の甘納豆はやせてます
四月には死んだまねする甘納豆
五月来て困ってしまう甘納豆
甘納豆六月ごろはごろついて
腰を病む甘納豆も七月も
八月の嘘と親しむ甘納豆
ほろほろと生きる九月の甘納豆
十月の男女はみんな甘納豆
河馬を呼ぶ十一月の甘納豆
十二月どうするどうする甘納豆
稔典宗匠は十二月を気に入っているが、結局三月しか話題にならなかった由。
ただこの後、年中、甘納豆業界から甘納豆が到来。ヨーグルトに混ぜるレシピを開発。
甘納豆業界から「希望の星」と絶賛された。
宗匠は河馬界の星でもある。
還暦記念に全国河馬行脚をし「カバに会う...日本全国河馬巡り」なる句集も出した。
桜散るあなたも河馬になりなさい
甘納豆は中年の自分を甘納豆に託し、河馬は人生に挫折した人を励ますつもりの由。
但し「俳句なんかどう解釈したって構わんもんです」と言って憚らない稔典宗匠である。
たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ
は宗匠ご自身がどう解釈したらいいか分からない。で、意味を質問されるのが辛い。
でも小学校でこの句を紹介すると、子どもたちがたちまちにこやかになる。
それでいいんです、と。
ね、稔典宗匠っておもしろいでしょ?
このあとが続きますが、記事が長くなるので明日から3日間、小出しにしますね。
以下はおまけです。
うふふを発表した頃、娘さんは小学5年生だった。
俳句の時間に「お父さんは俳句作ってんの」とこの句を見せた。
同級生たちは「この俳句は良くない、こうすれば」と改作したそうだ。
三月のひな人形のうふふふふ
娘さんはこの句を携え、意気揚々と帰ってきた。
甘納豆の写真はこちらさまの商品です。
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