1969年ディランの9作目のアルバムとして発売されたナッシュビル・スカイラインは今までのディランファンに対して、多くの疑問を投げかけました。
その代表的なものとして、
1.あのガラガラ声から澄んだ歌声変わった。
2.前作からさらにカントリー・ミュージックに傾倒したサウンドに変わった。
3.それまでの世相を風刺したり、また政治的なメッセージが含まれた歌詞が、普通の人々が頭に浮かべるような愛の歌などに変わった。
1969年といえば、ベトナム戦争も激化したり、ニクソンが大統領に就任し政権が民主党から共和党に変わったりと激動の時期でありました。以前からディランを知っていれば、当然この時期に出されたアルバムには、なんらかのディランの社会性のあるメッセージが込められると思っても不思議ではありませんでした。
しかしながら、なんというこの肩透かし, インド人だけでなくアメリカ人もびっくり!
カントリータッチのサウンドになんとも言えないホンワカした内容の歌詞が添えられ、さらっと歌われる。交通事故による怪我のため長い休養をとり、その復帰第2作目ということで、何かが吹っ切れたような感じに聞こえます。今までの一括りのイメージで、ボブ・ディランを語らないでほしい。歌いたい歌を、歌いたい時に歌うのが本当のボブ・ディランだと言っているようにも感じます。これは、次作のセルフポートレートのアルバムにも言えるのではないでしょうか。ディランもこのアルバムに思いれがあるのかその後のライブなどで、同じ曲かと思うほどアレンジが違っていますが、数曲取り上げています。
ディランの熱烈なファンの中には、このアルバムがゆるく感じて受け入れがたいという人も居るのかもしれませんが、個人的には、ジャケットの映って微笑んでいるディランとその楽曲が暖かい気分にさせてくれ、30分程度の長さのアルバムがあっと言う間に終わってしまいます。
ユー・チューブにあるミュージック・ビデオを貼り付けようと思ったのですが、今回適当なものが見つかりませんでしたので貼り付けは断念します。
ちなみに、アルバムはヒットとなり、全米3位、全英1位に輝きました。その中お薦めの曲としては、GIRL FROM THE NORTH COUNTRY, I THREW IT ALL AWAY, LAY LADY LAYやとTONIGHT I’LL BE STAYING HERE WITH YOU などです。
もし機会がありましたら、是非御一聴あれ。