藪椿
私が歩く標高140前後の散策コースの脇で咲いている藪椿を見て、そろそろ花の咲くころになって来たのか、そう思いながら花を見る。
木の葉の深緑に隠されるように花を咲かせる藪椿、盛期の春を彩る花のような華やかさはないが、木の葉に隠れ、控えめに微笑むように咲く椿の映え、花が落ちても暫く褪せない花色と姿を残す花の執念。
咲いても散ってもひとつの様になると言うか絵になる藪椿、桜のように鮮やかな派手さはないが静かな侘びの美を魅せながら咲く藪椿。
藪椿
素朴な赤
恋する女(ひと)が唇に描く赤
濃淡の美
一途な花の彩
切なく擽る甘美の匂
噎せ
春
狂おしく燃える恋
その前兆の種火
いま
藪椿の咲きが春を歌い
紅涙の一輪が散り
短い時を経て色褪せる
藪椿。
椿咲く 花色奪う この寒さ
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