花の終わり
花の終わり寒椿冬、花の少ない冬、それでも町の花屋には色とりどりの花が並び、冬と言っても暖かい所から届けられる花たちで寂しい花屋にはなっていない冬の花屋の店先。それに反して外に目を向...
花の終わり
季は春である、そうは言っても北の峰々は深い雪に埋まり融ける気配もなく春を告げる雨は雪となり舞い積もる、春はまだ遥か先のこと。
この雪のないこの町で長く住んでいるとそう言った一コマも忘れ、日をめくる度強張った土の表情が緩み、萌え始めた草の新芽に春の訪れを感じる。
そのなかであれほど存在感を示していた寒椿が、高まる温もりのなかで咲き始めた藪椿に追われるように消えていく。
「もう私の咲は終わったわこれから咲は貴女へ咲を渡す時、さあ、私の想いを受け止め今度は私の分までこの燃える赤に灯りを燈して」
そう言って最後の花びらを散らし消えていく寒椿の終わり。
終わり
訪れる花の散り
散りは終わりではなく始まり
命を残すための表現
季節毎に咲く花にも
人にはない苦労があり
咲く花たちのドラマがある
咲くと言う意義
その意義を語ることなく
花は今を美しく咲き閉じる。
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