
こう暑いと逃げたくなる。
何所へ・・・
静かな涼しい何もかも忘れて開放される所かな、
そうは言っても文明にタップリ浸った私にはTV、電話、メール等も通じない所では生きていけないのも事実、それが哀しい文明人のアキレス腱。
まあ・・・いいか一時的でも、
そう思って出かけたのが奥飛騨温泉郷、ここは深い谷間に沈むように点在する集落的な温泉街のひとつ福地。
何もない、歓楽的な要素もケバケバしいネオンもない、在るのは静と寂、
流れるというか降って来るというか峰々から下りてくる聖霊の冷気、
誰も群れない落葉の被さる露天に一人のんびり浸かり、瞳を閉じ、風を感じ冷気を貪る。
「いいね・・・このわびしい薄明かりの露天」
辺りは静かな闇と彩色されない時間。
私の住んでいる街ではもう見ることのない、いや見られなくなった星空、
「空にはこんなに無数の星が散らばっていたのか」
そう思う遠い子供の頃にタイムスリップした私の一ページ。
いつも時間と生活に追われ、ひと時の逃れに味合う酒と快楽のおぼれ、
いつも自分を誤魔化し、いい子ぶる毎日を過していると息が詰まる。
この堕落した身体から溜まった毒素を流し、心と時間をリセットするにはやはり旅が一番、それも遠出に限る。
素朴な色彩で彩られた自然の風合い、
冷たい流れに足を浸し、火照った身体を風に曝していると身体が僅かに焦げて、
こご地よくなってくるから不思議だ。
乾いた暑さのなかで味合う、爽やかな開放感、
「これだ・・このひと時だ」
何もかも忘れ、美味しい一杯の水でテイタイムを楽しんでいると、
あの町に戻るが嫌になってくる私の遠出、大人の遠足。
生きて元気でいる限り、この当てもなく気ままに一ページをめくる私の遠出、
季節毎に楽しみたい。


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