素足になって

今では素足になって土の上を歩くこともなく
まして匂いも香りも忘れている

土、育つものすべての源なのに、平気で汚している私たち

素足、
空、夏、そんなイメージを沸かせるような青空でなく、所々に散らばる多彩な半端雲、
向日葵の鮮やかな誘惑の色彩、木の葉の生い茂る樹木の中で喚くセミ、夏草の間からチョロ・・毀れてくる虫の鳴き声、
朝早く草の上を歩くとひんやりと素足を濡らす朝露、
いま、暑さが侵略者となって私を襲い、「勝てるなら勝ってみろ」そう言わんばかりに私に挑んでくる夏の猛暑、この暑い夏は、人には管理できない。

もうエアコン全開で防戦のみ。
土

文明という名の靴を脱いで
素足になって
思い切り土の原っぱを走ってごらん

素足の底から
生きている土の感触が伝わってくる
その感触を一歩・・かみ締めて
歩いて走って
疲れたら土の上に大の字になって寝転んで
土から湧き上がる匂い
嗅いでごらん
懐かしい香味の香りがする

その土の匂い
私が遠い昔に忘れて来た
生きている土の匂い。