冬空

冬空
この街に住んでもう何年になるだろう
私は寒村に育ったせいか冬の空が大好きである。
青空の少ない寒村、来る日も来る日も見えない青空。
広がる鉛色の空、落ちてくるのは霙、それが雪になりモノトーンのせかいが広がる。
空は海、風は海流。
冬の空を見ているとそう思ってくるから不思議である。
そんな雪の少ない空に時々訪れる雪、
嬉しくなって、楽しくなって犬のようにはしゃぐ。
自然素直な空いいね、実にいいね、
生きているって楽しいと思いませんか。
冬空（氷海）


雪の訪れが少ない
この街の空
なぜか冬でも
青空が少ない

西の里山を越えて
風の海流で運ばれてくる氷塊
青空は閉じられ
街全体に雪が舞い表情が消える
流れは早く
海流が次から次へと氷塊を運び
空を蔽い尽し
青空を消している

広がる鉛の氷海
モノトーンの氷海に走る亀裂
生まれる光
割ける空
青い氷海が見える。