タキさんの押しつけ映画評
『ハンガーゲーム2』
これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。
今回、監督がフランシス・ローレンス(コンスタンティン)に変わって、これが大成功だったようです。
原作第2巻はヤングアダルトっちゅうよりはジュビナイルに成っていたし、設定とストーリーテリングに大穴が開いてました(映画を見て、どうやら翻訳のミスらしいが…1巻に比べて主人公の単視点からの物語と言うテリングでは無くなっている。3巻で、また元に戻るので、本作の原作部分だけが混乱している)
物語は、この世界の分岐点になるエピソード。中央キャピタル以外は奴隷に他ならない12地区(実は13番目の地区があって、過去にキャピタルによる核攻撃で滅んだとされていた)には何の希望も無かったのだが、カットニスとピーターが小さな希望の灯火を点す。キャピタルの大統領はそれがいつか燎原を焼き払う炎に成りかねないと見抜き、なんとか彼女を支配しようとする。支配できないなら抹殺しなければならないが、処刑したのでは殉教者に成ってしまう。かくして第75回記念大会は彼女にとって絶対絶命の処刑会場として計画される。
原作を読んでいると、この凄腕大統領があまりにも馬鹿剥き出しで、全く洞察力が無い。しかも、大会の裏で密かに進行している計画も穴だらけの運任せ。
これがマトモな映画になるのか、ムッチャ心配やったんですが、杞憂でした。映画にはカットニスの単視点が戻っていて(100%じゃないんで、映画にも多少混乱があります)翻訳原作よりは説得力があります。ゲーム中の迫力も、上手く作ってありますが……これも原作の設定の都合上、前作にあった不条理が姿を消しています。
その分、脳天気女エフィーですらキャピタルに対して怒りを露わにする等のシーンが挟まり、75回記念大会が無事には終わらない予感を醸しています。
映画は演出と脚本が見事に原作の穴を埋めて、ある意味 前作より見応えのある作品になっています。 主役二人の成長が、ちょうど映画のキャラクターの成長に重なったのも幸運な結果をもたらしています。 出演者で言えば、レニー・クラヴィッツはやっぱり一番魅力的、ウッディ・ハレルソンも役柄の広さを今回も発揮、今回初顔のフィリップ・シーモア・ホフマンはさすがの巧さ。私のイチ押しは、テレビ司会者のスタンリー・トゥッチ、例によって蝋人形のように張り付いた笑顔で いかにもアメリカのバラエティー番組の司会者をカリカライズしている。
改めて出演者顔ぶれを眺めると、百面相役者巧者のオンパレード、キャスティングは贅沢そのものです。これを見るだけでも価値有りと言えるでしょう。
アメリカでは社会現象になった前作、今作も大ヒット中……ながら、日本ではさほどでもない。原作といい、映画といい、殆どCMが無く、配給元に全くやる気無し。邦高洋低で、アニメ/コミック原作以外は洋画が当たらない(スーパーマンすらコケた)現状では仕方ないかもしれないが……それと、気になるのが、今回もチケットを買いに行った時「字幕ですが よろしいんでしょうか?」と念押しされた事で、「なんでワザワザ映画館で吹き替えなんか観んとあかんのんじゃい!」と……まぁ、もう少し優しく表現いたしましたが、洋画を見る観客の質的変化が有るんでしょうかねぇ。以前、ソニーの映画担当重役をボロクソにこき下ろしました(吹き替えをメインにしていくとほざきおった)が、現実からすれば商売としては仕方ない選択なんでしょうか。 本年最後の作品としては少々不満でありますが、映画全体の出来からすれば、まぁ、オススメと言えるでしょう、ただし、こいつばかりは絶対に前作を見てからお出かけ下さい。本作が初見ってのは、たとえジェニファー・ローレンスの大ファンだとしてもおやめください。全く感情移入できませんから……あっと、老婆心より……トーホーシネマズのフードコーナーで「カツサンド」を買わない方がよろしいようで、元々 旨いカツサンドなんか期待していませんでしたが…予想を遥かに凌駕しておりました。あの不味さは犯罪的です。あれならキャベツ無しのソーセージだけホットドックの方が百万倍マシであります。
と、まぁ あんまりしまらないラストとなりましたが、本年もグダグダ映画評にお付き合いいただき、まことに感謝感激、尚且つウダウダ書評にまでお付き合い下さる皆様方、まことにありがとうございました。 年明け、今年は100本の大台に乗るかと思いながら、終わってみれば、劇場公開77本(洋画46本/邦画31本)試写・資料ディスク合わせても82作品にて終了、これは 有力作品とのバッティングを避けた為、それが裏目に出て、逆に空白の週が案外多かったのと、本年後半 私の都合上週末1本しか見に行けなかった為であります。
来年はさて何本をグダグダ書けますやら……です。
今年のベストはなんといってもオスカー候補作品の粒揃いでした。中でも“世界に一つのプレイブック”は もう奇跡でした。“リンカーン”のD・D・リュイスの演技も奇跡、アカデミー授賞式でのスピーチも忘れられません。“ザ・マスター”の無冠が信じられません、クエンティン・タランティーノにくれてやる賞があるならこっちが優先でっしゃろ(タランティーノファンの皆様、来年も喧嘩しましょうね)一々名前は挙げませんが、今年も「こんな映画は見る価値無し」作品が数本有りましたが、去年に比べると少なかったですね。代表は“プラチナデータ”と“47RONIN”。逆にベストは…これが沢山ありまして、アカデミー以降で無理やり選ぶなら“グラビティ”と“永遠の0”でしょうか。今年の特徴は賛否両論の作品が多かった事、“風立ちぬ”もそんな一本でしたが、その文句が「主人公がタバコ吸いすぎ」なんてなアホらしい物が大半、「物語に起伏が無い」なんてのがマトモに見える。これには笑うのを通り抜けて怒りすら覚えました。
さて、いつまで言ってもきりがおまへん、ここらでやめます。毎年言ってますが、本メールは あくまでも私の「押しつけ」、ご覧になったあなたの「泣いた、笑った、面白かった」があなたのベスト作品です。当メールへの異論反論大歓迎!ただ、たまにくる匿名希望「アホ/ボケ/最低」メールには、この際 その昔、コンサート会場に来た お客様に放った某秀勝の「アホ言う者がアホじゃ!ボケェ!」をそのまんまお返しいたしす。 来年の楽しみは数々ありますが、その中で一番は“もうアイアンマンやんぺ”発言のロバート・ダウニー・ジュニア君、シリーズ4が大爆発ヒット、ギャラが大アップしても初志貫徹出来るのか? アッハァ 嫌みがキツい? それでは来年も宜しくお付き合いのほど、お願いいたします。皆様、良いお年をお迎えになって下さい。私、今から賀状書き、目標200枚……昨日まで書き上げ30枚……嗚呼
来年、我が志忠屋はしばらく夕方から深夜型の店に衣替え(木村チーフのローマ風ピッツア登場)とあって、そのご案内も兼ねてますから投げ出す訳には参りません、必死こきます。今夜は眠れません……やろなぁ。しからば、一段とお寒くなっております、せっかくの正月、“風邪で寝正月”にならないようご自愛下さいませ。 ほな!ほんまにここらで“サイナラ、サイナラ、サイナラ”
『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』
青雲書房より発売中。大橋むつおの最新小説!
ラノベとして読んでアハハと笑い、ホロリと泣いて、気が付けば演劇部のマネジメントが身に付く! 著者、大橋むつおの高校演劇45年の経験からうまれた、分類不可能な新型小説、高校演劇入門書!
ネット通販ではアマゾンや楽天があります。青雲書房に直接ご注文頂ければ下記の定価でお求めいただけます。
青雲書房直接お申し込みは、下記のお電話かウェブでどうぞ。定価本体1200円+税=1260円。送料無料。
送金は着荷後、同封の〒振替え用紙をご利用ください。
大橋むつお戯曲集『わたし 今日から魔女!?』
高校演劇に適した少人数戯曲集です。神奈川など関東の高校で人気があります。
60分劇5編入り 定価1365円(本体1300円+税)送料無料。
お申込の際は住所・お名前・電話番号をお忘れなく。
青雲書房。 mail:seiun39@k5.dion.ne.jp ℡:03-6677-4351
大橋むつお戯曲集『自由の翼』戯曲5本入り 1050円(税込み)は、完売いたしました。ありがとうございました。
門土社 横浜市南区宮元町3-44 ℡045-714-1471
『ハンガーゲーム2』
これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。
今回、監督がフランシス・ローレンス(コンスタンティン)に変わって、これが大成功だったようです。
原作第2巻はヤングアダルトっちゅうよりはジュビナイルに成っていたし、設定とストーリーテリングに大穴が開いてました(映画を見て、どうやら翻訳のミスらしいが…1巻に比べて主人公の単視点からの物語と言うテリングでは無くなっている。3巻で、また元に戻るので、本作の原作部分だけが混乱している)
物語は、この世界の分岐点になるエピソード。中央キャピタル以外は奴隷に他ならない12地区(実は13番目の地区があって、過去にキャピタルによる核攻撃で滅んだとされていた)には何の希望も無かったのだが、カットニスとピーターが小さな希望の灯火を点す。キャピタルの大統領はそれがいつか燎原を焼き払う炎に成りかねないと見抜き、なんとか彼女を支配しようとする。支配できないなら抹殺しなければならないが、処刑したのでは殉教者に成ってしまう。かくして第75回記念大会は彼女にとって絶対絶命の処刑会場として計画される。
原作を読んでいると、この凄腕大統領があまりにも馬鹿剥き出しで、全く洞察力が無い。しかも、大会の裏で密かに進行している計画も穴だらけの運任せ。
これがマトモな映画になるのか、ムッチャ心配やったんですが、杞憂でした。映画にはカットニスの単視点が戻っていて(100%じゃないんで、映画にも多少混乱があります)翻訳原作よりは説得力があります。ゲーム中の迫力も、上手く作ってありますが……これも原作の設定の都合上、前作にあった不条理が姿を消しています。
その分、脳天気女エフィーですらキャピタルに対して怒りを露わにする等のシーンが挟まり、75回記念大会が無事には終わらない予感を醸しています。
映画は演出と脚本が見事に原作の穴を埋めて、ある意味 前作より見応えのある作品になっています。 主役二人の成長が、ちょうど映画のキャラクターの成長に重なったのも幸運な結果をもたらしています。 出演者で言えば、レニー・クラヴィッツはやっぱり一番魅力的、ウッディ・ハレルソンも役柄の広さを今回も発揮、今回初顔のフィリップ・シーモア・ホフマンはさすがの巧さ。私のイチ押しは、テレビ司会者のスタンリー・トゥッチ、例によって蝋人形のように張り付いた笑顔で いかにもアメリカのバラエティー番組の司会者をカリカライズしている。
改めて出演者顔ぶれを眺めると、百面相役者巧者のオンパレード、キャスティングは贅沢そのものです。これを見るだけでも価値有りと言えるでしょう。
アメリカでは社会現象になった前作、今作も大ヒット中……ながら、日本ではさほどでもない。原作といい、映画といい、殆どCMが無く、配給元に全くやる気無し。邦高洋低で、アニメ/コミック原作以外は洋画が当たらない(スーパーマンすらコケた)現状では仕方ないかもしれないが……それと、気になるのが、今回もチケットを買いに行った時「字幕ですが よろしいんでしょうか?」と念押しされた事で、「なんでワザワザ映画館で吹き替えなんか観んとあかんのんじゃい!」と……まぁ、もう少し優しく表現いたしましたが、洋画を見る観客の質的変化が有るんでしょうかねぇ。以前、ソニーの映画担当重役をボロクソにこき下ろしました(吹き替えをメインにしていくとほざきおった)が、現実からすれば商売としては仕方ない選択なんでしょうか。 本年最後の作品としては少々不満でありますが、映画全体の出来からすれば、まぁ、オススメと言えるでしょう、ただし、こいつばかりは絶対に前作を見てからお出かけ下さい。本作が初見ってのは、たとえジェニファー・ローレンスの大ファンだとしてもおやめください。全く感情移入できませんから……あっと、老婆心より……トーホーシネマズのフードコーナーで「カツサンド」を買わない方がよろしいようで、元々 旨いカツサンドなんか期待していませんでしたが…予想を遥かに凌駕しておりました。あの不味さは犯罪的です。あれならキャベツ無しのソーセージだけホットドックの方が百万倍マシであります。
と、まぁ あんまりしまらないラストとなりましたが、本年もグダグダ映画評にお付き合いいただき、まことに感謝感激、尚且つウダウダ書評にまでお付き合い下さる皆様方、まことにありがとうございました。 年明け、今年は100本の大台に乗るかと思いながら、終わってみれば、劇場公開77本(洋画46本/邦画31本)試写・資料ディスク合わせても82作品にて終了、これは 有力作品とのバッティングを避けた為、それが裏目に出て、逆に空白の週が案外多かったのと、本年後半 私の都合上週末1本しか見に行けなかった為であります。
来年はさて何本をグダグダ書けますやら……です。
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さて、いつまで言ってもきりがおまへん、ここらでやめます。毎年言ってますが、本メールは あくまでも私の「押しつけ」、ご覧になったあなたの「泣いた、笑った、面白かった」があなたのベスト作品です。当メールへの異論反論大歓迎!ただ、たまにくる匿名希望「アホ/ボケ/最低」メールには、この際 その昔、コンサート会場に来た お客様に放った某秀勝の「アホ言う者がアホじゃ!ボケェ!」をそのまんまお返しいたしす。 来年の楽しみは数々ありますが、その中で一番は“もうアイアンマンやんぺ”発言のロバート・ダウニー・ジュニア君、シリーズ4が大爆発ヒット、ギャラが大アップしても初志貫徹出来るのか? アッハァ 嫌みがキツい? それでは来年も宜しくお付き合いのほど、お願いいたします。皆様、良いお年をお迎えになって下さい。私、今から賀状書き、目標200枚……昨日まで書き上げ30枚……嗚呼
来年、我が志忠屋はしばらく夕方から深夜型の店に衣替え(木村チーフのローマ風ピッツア登場)とあって、そのご案内も兼ねてますから投げ出す訳には参りません、必死こきます。今夜は眠れません……やろなぁ。しからば、一段とお寒くなっております、せっかくの正月、“風邪で寝正月”にならないようご自愛下さいませ。 ほな!ほんまにここらで“サイナラ、サイナラ、サイナラ”
『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』
青雲書房より発売中。大橋むつおの最新小説!
ラノベとして読んでアハハと笑い、ホロリと泣いて、気が付けば演劇部のマネジメントが身に付く! 著者、大橋むつおの高校演劇45年の経験からうまれた、分類不可能な新型小説、高校演劇入門書!
ネット通販ではアマゾンや楽天があります。青雲書房に直接ご注文頂ければ下記の定価でお求めいただけます。
青雲書房直接お申し込みは、下記のお電話かウェブでどうぞ。定価本体1200円+税=1260円。送料無料。
送金は着荷後、同封の〒振替え用紙をご利用ください。
大橋むつお戯曲集『わたし 今日から魔女!?』
高校演劇に適した少人数戯曲集です。神奈川など関東の高校で人気があります。
60分劇5編入り 定価1365円(本体1300円+税)送料無料。
お申込の際は住所・お名前・電話番号をお忘れなく。
青雲書房。 mail:seiun39@k5.dion.ne.jp ℡:03-6677-4351
大橋むつお戯曲集『自由の翼』戯曲5本入り 1050円(税込み)は、完売いたしました。ありがとうございました。
門土社 横浜市南区宮元町3-44 ℡045-714-1471