大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・イスカ 真説邪気眼電波伝・03「オレは単なるオブジェクト」

2017-12-30 14:53:27 | ノベル

イスカ 真説邪気眼電波伝・03

「オレは単なるオブジェクト」

 

 

 バグみたいなもんだろう。

 

 ため息一つついて家路についた。

 あとから思うとどうかしてるんだけど、動き出した現実はあまりに日常的すぎる。再起動と言ったらしっくりくる。

 ロードワークを終えた女子テニスたちは、眩しいほどに頬を上気させ、テニスコートまでの数百メートルを軽やかに走っていく。とても、ついさっき屋上から飛び降りる佐伯さんを発見したようには見えない。

 校門から出ていく西田さんと至近距離ですれ違ったり追い越したりしても、みんな普通だ。いま誰とすれ違った? そう十人に聞いたとして、その十人みんなが「えーーと?」と考えてしまうだろうほどに、その印象は薄い。

「す、すみませ……」

 通りに出たところで西田さんは自転車とぶつかりそうになって、とっさに尻すぼみに謝った。

 今のは自転車が悪い。スマホを見ながらの片手運転、ろくに前を見ていない。

 載っていた学生風は意に介することも無く、そのまんま行ってしまう。西田さんが謝ったとも気づいていないだろう。

 転校してきた時からだけど、西田さんは人の顔を見て話すことが無い。いや、話すことじたい少ないんだ。うちは良くも悪くも普通の学校だから、イジメというのはほとんどない。オレ自身人交わりが少なくて、他の学校だったらイジメられていたかもしれない。

 だから、たった今、裂ぱくの気合いで時間を停め、墜落死寸前の佐伯さんを助けたのが信じられない。

 助けただけでなく、自らを堕天使イスカと名乗って、縁起に行き詰っていた佐伯さんにクィーンオブナイトメアのフリを身をもって教えたなんて……俺の白昼夢、いや、バグに違いない。

 角を曲がると西田さんの姿が無かった。

 多分、さっきの事と西田さんのあれこれ考えているうちに、前を歩いている西田さんの存在に気を停めなくなってしまったんだ。ボッチのオレが言うのもおこがましいほど西田さんの影が薄いということになる。きっと一つ二つ手前の筋に入ってしまったんだろう。

 ま、つまりはバグだ。

 ときどき思うんだ。この世の中はだれかがやってるゲームでさ。オレたちは単なるオブジェクトに過ぎない。すんごいゲームだから作りこみがハンパなくて、オブジェクト自身が自分は生きてるんだと錯覚してしまう。むろんゲームだからプレイヤーがいるわけなんだ、そいつらが、いろいろ適当にやったり熱を上げたりしてゲームが回ってる。

 だから、さっきのはバグだ。今頃は運営さんが大慌てでいじくってるんだろう。

 まあいい、オレは単なるオブジェクトだゲームに介入なんてできない。介入ってか、なんか行動おこしても、それはプログラムされたことだから自分の意思でなんかあろうはずもない。ま、気楽に行こう。

 

 家に帰るとオレは主役になる。

 

 二十秒で着替えるとパソコンを起動させる、コントローラーを手に三十秒ほどでオレはダイブする……。

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・8『ちょっと理屈っぽいです』

2017-12-30 06:20:05 | 小説・2

小説・大阪府立真田山学院高校演劇部
公式ブログ・Vol・8


 いろんな演劇部がブログを書いてはります。

 某高校さんのブログも、いつも興味深く読ませてもろてます。数あるブログの中でも継続性と何気ない日常の描写にすぐれています。理屈の多いうちらも見習いたいもんです。

 情報発信は、演劇という文化活動をやっていく上での重要なファクターですけども、根本問題ではないと思います。某高校のみなさんの意見は下記のように要約されます。

「知っていたら、情報があったら観に行ったのに」と思う公演もたくさんあるのです。これって本当にもったいないことだと思いませんか?やはりどれだけ観劇が好きな人でも、情報なしに公演を観に行くことは出来ません。

 一見正論のようですが、基本的に間違ってるように、あたしには思えます。

 たとえテレビや新聞などのメディアが取り上げても、一般の観客に継続的に支持していただき、リピーターを増やさなければ、観にいく人間は増えません。
 昨年某大企業が高校生向けの創作劇の募集をやり、新聞の文化欄にも取り上げられました。そやけど、後が続きません。あんなに大絶賛された鷲見さんの『LOCK ME!』が続きません。
 強調しときますが、一般の観客がリピーターとして付けへんかったら、いくら天下の平目モリコ氏が絶賛しても、一般の人たちが興味を持たへんかったら、その場限りの打ち上げ花火に終わってしまいます。ちゃいます?

 OHDに参加している一部の学校の公演は、その場にいると、ひところの小劇場の隆盛を思わせるものがあります。せやけど、冷静に観客席を見ると観客の大半が、高校演劇関係者ばかりで、一般の観客は居ないに等しく、むろんマスコミが来ることもないことに気付きます。

 大阪の高校演劇の部員は、ひいき目に見ても1000人は超えません。大阪には261の高校があり、生徒数は一校500あまりとして13万人ほどになります。その中のわずか1000人たらずしか演劇部員はいてへんのです。いわば、これがパイで、取り合いをしてもたかが知れてます。

 観劇が好きな人は、野球にはおよびませんが、そこそこにいることは、商業演劇などの観客動員数を見ても明らかです。この人たちが付いてけえへんかったら増えようがありません。そない思いません?
 高校演劇は違うのだとおっしゃる先生もおられますが、これは、単なる言い訳やと思います。
 プロ野球と高校野球の観客は、かなりの確立で重なります。軽音に、その傾向が出始めています。スニーカーエイジの隆盛を見るまでもなく(軽音は7000人収容の舞洲アリーナが満席になります。高校演劇の本選は、公表されませんけど、総計1000を超えてません)軽音は軽音以外の観客を取り込み始めています。

 原因は、ぶっちゃけて言うとパフォーマンスとしてのクオリティーの違いです。大阪弁で言うと「おもんない」からです。

 このクオリティーの低さは、第一に戯曲のお粗末さ。創作期間が、たったの一カ月あるかないかの創作劇。これでは、まともな本になりません。
 そやさかい、戯曲としての体をなしていないものには、演劇部自身も興味を持ちません。
 分かり易い証拠は「大感激した!」と誉められるような創作戯曲でも、他校が「こんないい芝居ならうちでもやろう!」に、どうしてならへんのでしょう。

 高校演劇の神様、榊原政常先生の本など、高校演劇を飛び出してプロの劇団が上演するほど高いクオリティーがあります。ウソやと思たら『しんしゃく源氏物語』で、検索してください。新旧あわせた公演の記録や予告で溢れてます。
 もう出来心のような創作劇や、小劇場のコピーは止めたほうがええんとちゃいます? 本気で戯曲の勉強をしませんか。現役の高校生は最長でも3年です。OBでも顧問の先生でもかまいません、「おたくの本演らせてください!」と言われるような本を書いて下さいませんか。

 第二に、役者がヘタすぎることです。十年に一人ほど個人的に才能のある子が出てきます。しかし、その子の力が光るのは、皮肉ですけど高校演劇を卒業してからです。
 大阪の高校演劇には、そういう子を生かすだけの創作劇がありません(大阪は90%が創作劇なので、劇=創作劇)。 その子を輝かせるだけの演出も居なければ、相手役を演れる子もいてません。劇作も演技も、よほどの天才でないかぎり、他の分野同様に毎日欠かさないストイックな努力が必要です。うちらは、それでやってます。

 けして、情報量が少ないことが致命傷ではないと思います。情宣ができれば解決できるようなレベルの問題ではない言うことです。

※念のため

 これだけは言うときます。某高さんは的は外しておられますが、この元気な情報発信は応援します。「ホームラン王は一番三振が多い」という名言があります。うちらみたいなスカタンでもかまへんと思います「あたしらはこう思う」という情報を発信してください。是々非々で論戦しましょう。論戦が、少しは人々の意識を変えるかもしれません。本業の芝居作りにも力を注がれているようですね。本選の舞台で観られることを楽しみにしています。

  文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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