魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
105『ああ 東京タワー』
「このクソ親父!!」
加奈子が切れやがったぜ(^_^;)
E残りグミの最近の名物になっちまった、加奈子とオヤジの親子ゲンカだぞ。
『E残りグミ』は、プロモの出来もよくって動画のアクセスも発表の一週間で百万件。オリコンチャートも、AKRの『コスモストルネード』、本家オモクロの『秋色ララバイ』に続いてベストスリーにまで入ってきやがった。
別所Dは一気に攻勢をかけることにしたぞ!
『居残りグミ』は成功したとは言ってもよ、やっぱりオモクロの二軍というイメージを払拭できねえ。
持ち歌も『居残りグミ』だけじゃ、一段目しかねえロケットみてえなもんで、とても人工衛星を飛ばす高さには昇れねえ。このままじゃ、一段目だけのロケットは盛大な一発花火で終わっちまう。
そこで、短期で追撃を計るため、新曲をあいついでリリースすることにしやがった。
とりあえず想いをストレートに表現しようっちゅうことで、みんなで知恵を絞った。でもよ、歌ってナンボ、踊ってイクラってメンバーに興行的なアイデアが早々思いつくもんじゃねえ。
キーー キー― キーー ガチャ キーー ガチャ……
そこへ加奈子の親父が、ポンコツ車いす軋ませてちょくちょく顔を出すもんだから、娘の加奈子はイライラしやがる。
「大事な会議してるから……」「うん」 「あとで散歩付き合うから……」「ああ」 「気が散るから……」「そうか」 「いや、だから……」「うん」 「せめて送った電動のに……」「これがいい」 「いったいなんなのよ……」「考えてる」 「いや、考えなくていいから……」「そう言うな」 「グヌヌ……」「プゥ~~」 「会議中なのよ、オナラしないでくれる……」「俺じゃない」 「じゃあ、誰がオナラしたって言うのよ……」「加奈子だ」
で、加奈子が「このクソ親父!!」とキレっちまったわけさ。
「ウワ!」
あまりの剣幕に親父はのけ反っちまって、ポンコツ車いすごとひっくり返りそうになって、別所Dと近くのメンバーが危うく止めやがった。
すると斜め45度になった親父の目線の先、窓の外の東京名物が目に入ってきたぞ!
「東京タワーで、どうですか?」
加奈子はギクっとしやがった。
オモクロのセンターを外されてから、なにかと自分と東京タワーを引き比べるようになってきた加奈子。美紀のケガで選抜復帰することになったらよ、新人の真央にあっさり入れ替えられ、病院のロビーで腐っていたときによ、目に入っていたのがスカイツリーと東京タワーだったろ。
「なに考えてんのよ!」
病院のロビーのガラス張りから見える東京タワーは、周りの高層ビルに囲まれ威勢がねえ。そんな東京タワーにネガティブなシンパシーを感じていたことが思い出されちまって、加奈子は父の提案に真っ先に反対しやがった。
「それ、いけるかも……」
別所Dがプロデューサーの感覚で反応しやがった。そしてネットで検索した。そして、実際メンバーで、東京タワーにも行ってみることにした。
電動車椅子のバッテリーが切れていたので、修理した車椅子を加奈子が押した。メンバー12人、スタッフ4人、そして加奈子の親父を加えた17人は目立ったぞ。
「バッテリーの残量、どうして確かめなかったのよ!」
「それだけ、加奈子のことを心配してやってたんだよ」
「もう、それが余計なことだって言うの!」
こういう遣り取りも、遠目には仲の良い親子に見える。その姿をスマホで撮っていた年輩の夫婦が気づきやがった。
「あ……あれ、高峯純一さんだわよ!」
若いやつには知られてねえけど、ババアたちには大スターだ。前世紀のバブルのころの高峯の活躍ぶりはよ、自分たちの良き時代の記憶とも美しく重なっちまってよ、雄々しくも素敵な『タカジュンさま♡』なんだわ。
「ウワー、高峯純一さんだ!!」「タカジュンだあ!」「タカジュ~ン!!」
シルバーツアーの御一行さんが周りに集まってきやがった。
シルバーツアーの御一行さんは、オモクロ・E残グミはおろか、オモクロにもAKRにもウトイ。往年の大スター高峯純一の世話をするスク-ルメイツかなんかのように思っていやがる。
あっと言う間に、高峯純一のサイン会、握手会になっちまった。
「あんたたち偉いわね、ちゃんと大先輩のお世話なんかしちゃって。あなたなんか、大先輩とはいえ、他人とは思えない甲斐甲斐しさよ!」
「いやあ、これは、わたしの娘ですから」
親父がクチバシッテしまった。
さすがに、ガイドのオネエサンはオモクロもオモクロ・E残グミのことも知っていやがった。
「あ、あなた、オモクロの桃畑加奈子ちゃんじゃないの!?」
「そういや、大正製菓のグミのCMやってたわよね」
と、シルバーの方々の思考回路がつながったぞ。
で、大騒ぎになっちまった。
シルバーツアーの御一行さんたちと、修学旅行と敬老会の団体さんの合同見学のようになっちまってよ。そのうちに、だれがたれ込んだのか、芸能レポーターや放送局までやってきやがった。
別所Dは、目覚めたプロデューサーの感覚で、この偶然の機会を逃さなかったぞ。
「今度、東京タワーをテーマにして新曲を発表します」と、ぶちかましやがった。
で、ゆっくりと東京タワーを見学しているうちに、新曲のイメージが膨らんできた。
《東京タワー》
キミと登った東京タワー スカイツリーもいいけれど キミとボクには程よい高さだよ
二人そろって高所恐怖症 それに二人には程よい距離だった
神保町駅徒歩7分 見上げた姿は333メーター 赤白姿のストライプ
ボクの心もストライプ 告白しようか止めようか
太陽背にした東京タワー 焦らせるんだよボクの心を 神保町から7分に高まるテンションさ
キミはスキップ一歩先 それがとても遠くて愛おしくて
やっと踏んだキミの影 はじけた笑顔眩しくて 赤白姿のストライプ
ボクをせかせてストライプ やっと追いつき照れ笑い
ああ 東京タワー ああ 東京タワー ああ ああ 東京タワァァァァ~
展望台を一周する間に一番の歌詞ができちまいやがった。
事務所に帰って、みんなにご披露しやがる。すぐに二番も三番も出来たが、父の高峯が、こう口を挟みやがった。
「東京タワーなら、御成門から徒歩6分だろうが!」
これが、親子ゲンカの始まりであり、芸能人高峯純一の再生でもあった。
そして、オモクロ・E残りグミの飛躍へと繋がっていったぞ……。
☆彡 主な登場人物
マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院 オモクロでは仁科香奈
里依紗 マユの同級生
沙耶 マユの同級生
知井子 マユの同級生
指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
雅部 利恵 落ちこぼれ天使
デーモン マユの先生
ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
レミ エルフの王女
ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
白雪姫
赤ずきん
ドロシー
西の魔女 ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)
その他のファンタジーキャラ 狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー 地親は黒羽英雄
由美子 英二の妹
真田 由美子の元カレ
美優 ローザンヌの娘 英二の妻
光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
浅野 拓美 オーディションの受験生
大石 クララ オーディションの受験生
服部 八重 オーディションの受験生
矢藤 絵萌 オーディションの受験生
上杉 オモクロのプロディューサー
桃畑 加奈子 オモクロの創設メンバー
加奈子が切れやがったぜ(^_^;)
E残りグミの最近の名物になっちまった、加奈子とオヤジの親子ゲンカだぞ。
『E残りグミ』は、プロモの出来もよくって動画のアクセスも発表の一週間で百万件。オリコンチャートも、AKRの『コスモストルネード』、本家オモクロの『秋色ララバイ』に続いてベストスリーにまで入ってきやがった。
別所Dは一気に攻勢をかけることにしたぞ!
『居残りグミ』は成功したとは言ってもよ、やっぱりオモクロの二軍というイメージを払拭できねえ。
持ち歌も『居残りグミ』だけじゃ、一段目しかねえロケットみてえなもんで、とても人工衛星を飛ばす高さには昇れねえ。このままじゃ、一段目だけのロケットは盛大な一発花火で終わっちまう。
そこで、短期で追撃を計るため、新曲をあいついでリリースすることにしやがった。
とりあえず想いをストレートに表現しようっちゅうことで、みんなで知恵を絞った。でもよ、歌ってナンボ、踊ってイクラってメンバーに興行的なアイデアが早々思いつくもんじゃねえ。
キーー キー― キーー ガチャ キーー ガチャ……
そこへ加奈子の親父が、ポンコツ車いす軋ませてちょくちょく顔を出すもんだから、娘の加奈子はイライラしやがる。
「大事な会議してるから……」「うん」 「あとで散歩付き合うから……」「ああ」 「気が散るから……」「そうか」 「いや、だから……」「うん」 「せめて送った電動のに……」「これがいい」 「いったいなんなのよ……」「考えてる」 「いや、考えなくていいから……」「そう言うな」 「グヌヌ……」「プゥ~~」 「会議中なのよ、オナラしないでくれる……」「俺じゃない」 「じゃあ、誰がオナラしたって言うのよ……」「加奈子だ」
で、加奈子が「このクソ親父!!」とキレっちまったわけさ。
「ウワ!」
あまりの剣幕に親父はのけ反っちまって、ポンコツ車いすごとひっくり返りそうになって、別所Dと近くのメンバーが危うく止めやがった。
すると斜め45度になった親父の目線の先、窓の外の東京名物が目に入ってきたぞ!
「東京タワーで、どうですか?」
加奈子はギクっとしやがった。
オモクロのセンターを外されてから、なにかと自分と東京タワーを引き比べるようになってきた加奈子。美紀のケガで選抜復帰することになったらよ、新人の真央にあっさり入れ替えられ、病院のロビーで腐っていたときによ、目に入っていたのがスカイツリーと東京タワーだったろ。
「なに考えてんのよ!」
病院のロビーのガラス張りから見える東京タワーは、周りの高層ビルに囲まれ威勢がねえ。そんな東京タワーにネガティブなシンパシーを感じていたことが思い出されちまって、加奈子は父の提案に真っ先に反対しやがった。
「それ、いけるかも……」
別所Dがプロデューサーの感覚で反応しやがった。そしてネットで検索した。そして、実際メンバーで、東京タワーにも行ってみることにした。
電動車椅子のバッテリーが切れていたので、修理した車椅子を加奈子が押した。メンバー12人、スタッフ4人、そして加奈子の親父を加えた17人は目立ったぞ。
「バッテリーの残量、どうして確かめなかったのよ!」
「それだけ、加奈子のことを心配してやってたんだよ」
「もう、それが余計なことだって言うの!」
こういう遣り取りも、遠目には仲の良い親子に見える。その姿をスマホで撮っていた年輩の夫婦が気づきやがった。
「あ……あれ、高峯純一さんだわよ!」
若いやつには知られてねえけど、ババアたちには大スターだ。前世紀のバブルのころの高峯の活躍ぶりはよ、自分たちの良き時代の記憶とも美しく重なっちまってよ、雄々しくも素敵な『タカジュンさま♡』なんだわ。
「ウワー、高峯純一さんだ!!」「タカジュンだあ!」「タカジュ~ン!!」
シルバーツアーの御一行さんが周りに集まってきやがった。
シルバーツアーの御一行さんは、オモクロ・E残グミはおろか、オモクロにもAKRにもウトイ。往年の大スター高峯純一の世話をするスク-ルメイツかなんかのように思っていやがる。
あっと言う間に、高峯純一のサイン会、握手会になっちまった。
「あんたたち偉いわね、ちゃんと大先輩のお世話なんかしちゃって。あなたなんか、大先輩とはいえ、他人とは思えない甲斐甲斐しさよ!」
「いやあ、これは、わたしの娘ですから」
親父がクチバシッテしまった。
さすがに、ガイドのオネエサンはオモクロもオモクロ・E残グミのことも知っていやがった。
「あ、あなた、オモクロの桃畑加奈子ちゃんじゃないの!?」
「そういや、大正製菓のグミのCMやってたわよね」
と、シルバーの方々の思考回路がつながったぞ。
で、大騒ぎになっちまった。
シルバーツアーの御一行さんたちと、修学旅行と敬老会の団体さんの合同見学のようになっちまってよ。そのうちに、だれがたれ込んだのか、芸能レポーターや放送局までやってきやがった。
別所Dは、目覚めたプロデューサーの感覚で、この偶然の機会を逃さなかったぞ。
「今度、東京タワーをテーマにして新曲を発表します」と、ぶちかましやがった。
で、ゆっくりと東京タワーを見学しているうちに、新曲のイメージが膨らんできた。
《東京タワー》
キミと登った東京タワー スカイツリーもいいけれど キミとボクには程よい高さだよ
二人そろって高所恐怖症 それに二人には程よい距離だった
神保町駅徒歩7分 見上げた姿は333メーター 赤白姿のストライプ
ボクの心もストライプ 告白しようか止めようか
太陽背にした東京タワー 焦らせるんだよボクの心を 神保町から7分に高まるテンションさ
キミはスキップ一歩先 それがとても遠くて愛おしくて
やっと踏んだキミの影 はじけた笑顔眩しくて 赤白姿のストライプ
ボクをせかせてストライプ やっと追いつき照れ笑い
ああ 東京タワー ああ 東京タワー ああ ああ 東京タワァァァァ~
展望台を一周する間に一番の歌詞ができちまいやがった。
事務所に帰って、みんなにご披露しやがる。すぐに二番も三番も出来たが、父の高峯が、こう口を挟みやがった。
「東京タワーなら、御成門から徒歩6分だろうが!」
これが、親子ゲンカの始まりであり、芸能人高峯純一の再生でもあった。
そして、オモクロ・E残りグミの飛躍へと繋がっていったぞ……。
☆彡 主な登場人物
マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院 オモクロでは仁科香奈
里依紗 マユの同級生
沙耶 マユの同級生
知井子 マユの同級生
指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
雅部 利恵 落ちこぼれ天使
デーモン マユの先生
ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
レミ エルフの王女
ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
白雪姫
赤ずきん
ドロシー
西の魔女 ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)
その他のファンタジーキャラ 狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー 地親は黒羽英雄
由美子 英二の妹
真田 由美子の元カレ
美優 ローザンヌの娘 英二の妻
光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
浅野 拓美 オーディションの受験生
大石 クララ オーディションの受験生
服部 八重 オーディションの受験生
矢藤 絵萌 オーディションの受験生
上杉 オモクロのプロディューサー
桃畑 加奈子 オモクロの創設メンバー