大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・イスカ 真説邪気眼電波伝・04「幻想神殿・1」

2017-12-31 15:13:48 | ノベル

イスカ 真説邪気眼電波伝・04

「幻想神殿・1」

 

 

 《幻想神殿》のタイトルが浮かび上がる。

 

 瞬間でオレの脳みそはクリアーになる。

 オープニングのアニメなんてすっ飛ばせばいいんだけど、オレは毎回きちんと観る。

 

 最初は、どこにでもある六畳ほどの部屋。

 ポタポタと蛇口から水が滴る音がして、それが気になって部屋を出て階段を下りる。下りて直角に曲がるとリビングダイニングのドア……オレの家に似ている……ドアを開けると、ますますオレん家に似たリビング。カウンターの向こうがキッチン……カランが緩く、蛇口から水滴が落ちている。シンクは水がいっぱいで、今まさに溢れそう。手を伸ばしてカランに手を掛けギュっと締める。

 とたんにシンク一杯の水は渦を巻いてオレは呑み込まれる。

 呑み込まれるとどんどん深みに吸い込まれ、周囲が薄暗くなって、オレは必死でもがく、もがく、もがく……向こうに針の穴のような光が見えて、光に向かって泳いでいくと加速度がつき、溺れる寸前に水面に出る。ゼーゼー言いながら見上げた空、そこの雲の頂に幻想神殿が見え――あそこだ!――そう悟ると、潜水艦から撃ちだされたトマホークミサイルみたいに空中に飛び出す。

 ずんずん飛んでいくんだけど幻想神殿はいっこうに近づいてこず、最下層の雲に着地する。

 着地すると、雲は大地に代わり、目の前にメニューが現れる。最初のころは運営さんのアバターが待ち受けていて親切に解説とチュートリアルの手助けをしてくれる。三年目になろうとするオレは手早くHP、MP、アイテムを確認するとアバターの選択をスキップ(予備のアバターは三つあるが基本的にはデフォルトに近い剣士だ)し、メニューウィンドウを呼び出し、攻略中の48層をクリックする。

 メールが三通入っていたが即削除。

 見なくても分かってる、オレの戦闘を垣間見たプレーヤからのお誘いとか招待状だ。

 オレはギルドには入らない、いわゆるソロプレイヤーだ。ハンドルネームはデルス・ウザーラ。黒沢映画に出てくる孤高の狩人の名前だ。アニメの背景を検索していたら黒沢映画にたどり着きググっているうちに『デルス・ウザーラ』にヒットし、ガラにもなく観てしまった。ま、よほどの映画マニアでなければ知らない名前だ。

 48層は草原と森林が多い。全体のマップを把握していないんで見た限りなんだけど、大小の湖とかもあるようで、しばらく腰を落ち着けるにはいいところだと思う。

 林の中に罠を仕掛けてある。ピーボアのコロニーを発見したんだ。

 おいしい猪の一種で、まとめて売ればいい値段になる。

 あくせく狩に精を出したり、攻略に血道を上げる人間じゃないんで、このゲームで生きていくに必要なスキルとアイテムが手に入ればいいんだ。

 罠を仕掛けた窪地まで来てビックリした。

 

 罠に女の子がかかっていたのだ! 

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・9『情報というより評判』

2017-12-31 06:27:11 | 小説・2

小説大阪府立真田山学院高校演劇部
公式ブログ・Vol・9『情報というより評判』 
 



☆情報というより評判
 
 前回の8号の反響が大きかったので、部員全員で考えました。
「では、臨時部会の出席をとります。九鬼あやめ!」
「はい!」

 これで出欠とるのはお終いです。なんといっても、あたし三好清海を入れてたった二人の部員です。

「先輩の言うてはった『情報なしに公演を観に行くことは出来ません』と某高校さんが言うてはったのを『一見正論のようですが、基本的に間違ってる』と言い切るのは、ちょっと飛躍してませんか?」
 
 一年のくせして言いたいこと言いです。

「情報がなかったら、某高校さんの言わはるとおり、行きようありません」

 先輩に断定で、もの言うか?

「たいていの公演は、その気になって検索したら分かる。それから、逆に聞くけど、公演の情報あって観にいくか?」
「全部はむりですけど」
「そないして、三本も観たら交通費と時間返してくれて言いたなる。去年のコンクールでもそうやった。地区総会で『お互いの芝居も観ましょう』て、どこの地区でも言うてたけど、どこも閑古鳥。どないかすると、観客席より舞台におる人間の方が多い」
「その断定の根拠はなんですか?」
「数えてたもん。某地区の某高校は、観客25人。舞台はスタッフこみで15人」
「え、それて観客の方が多い」
「観客の11人は、某校の関係者と家族。これ引いたら一人少ない」
「……」
「なんや、言いたいことあったら言い」
「そやけど、K高校とかO高校とかM高校とか、けっこう入ってたいう話です」
「アホ、よう覚えとき『特殊をもって典型とするなかれ』民芸の滝沢修さんの名言や」
「だれですか、滝沢修とか民芸とか?」
「知らんのん!? ヘソ噛んで死ね!」
「……おへそまで口届きません」

 と、アホな話は、ここまでとして、真田山の意見として補足します。

 宣伝は必要やけど、元来は連盟に一元化して、連盟のサイト見たら分かるようにするのが正当。その上で、それぞれが情報発信する。連盟のオオヤケのとこに20年以上かかって、アクセスが23万ちょっと言うのは絶対少ない。情報のターミナルとして機能してません。割ってみたら、よう分かります。一年でアクセスざっと10000。一見すごそうやけど、一日で割ったら28あるかないかです。こんなん高校生が個人でブログやったって楽に、これくらいはいきます。けど「高校演劇」で検索したらYAHOOで二位、GOOGLEで三位。いかに日本において高校演劇がショボイかようわかります。
 ちなみに大隈ケイコさんが個人的にやってはるブログはもう200万件のアクセス。どないです?

 で、九鬼あやめと話して結論に達しました。情報量より評判や。

 評判が良かったら、人は探してでも観にきます。逆にスカタンな芝居は、どない宣伝しても観客は集まらへん。
 分かり易い例えで、東京の山手線はJRに代わったとき大々的に宣伝して『E電』て名前つけたけど、今はそない言う人いてません。看護師のことを、いまだに「看護婦さん」言う人は多いです。
 要は、評判なんですね。高校演劇「オタク、暗い、ダサイ、おもんない」の四拍子。
 やっぱり、ストイックに稽古して、力つけて、一般の人が観て面白いいうもんにならなあきません。
 かつて西成に車座いう劇団がありました。日雇いのオッチャンらが会場の小学校の講堂に鈴なりやったそうです。地味な公演重ねながら評判をとってきはったんですね。
 
☆演目決定

『すみれの花さくころ』に決まりました。決まりがわるいんで、3年前某高校がやった、と、書きましたけど、うっとこです。主演は映画やテレビで活躍中の先輩坂東はるかさんです。正直プレッシャーです。AKBやないけど『永遠プレッシャー』です。あたし個人としてはやりたない。やりたいけどやりたない。うちの演劇部には、そういう芝居です。
 もう一人、決まってるんですけど、まだ正式やないんで個人名は伏せます。

☆集団縄跳び(基礎練習)

 縄なしで縄跳びします。最低5人はいります。見えへん縄を、みんなが見てタイミング計ったり、縄引っかけたりしたら、直ぐにみんなに分かります。演技とは自分を騙すことです。ウソや思たらやってみてください。面白いのは請け合います。


  文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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