KAORU♪の「気ままなダイアリー」

KAORU♪が見つけたステキな風景、出会ったおもしろいできごと、おいしい料理などを“気が向いた時”にご紹介します。

★プライスレスな毎日

2006年04月20日 | KAORUの好きなものギャラリー
               <夕陽の原宿駅>

おとといの朝のこと。

息子のお弁当を作りながら、時間に追われていた。

おかずをあれこれ詰めたり、おにぎりを握ったりしながら
次の動作を常にイメージして、間に合うことに必死である。

ちょっとでも出発時間に遅れようものなら、
もういいよ!お金ちょうだい!お昼に購買でパン買うから!と
あっさり出かけてしまうのだ。

今日も遅れまいと必死になっていたら、
「映画の『アレキサンダー』を見たいんだよね。
製作費いくらか知ってる?」と
ウキウキした口調で、話かけてきた。

「えっ?いくらかって?…」

それどころじゃないよ。
間に合うかどうかで頭がいっぱいである。

炊きたてのご飯に「しそワカメごはん」の素を
ふりかけて、しばらく無言で混ぜていた。
うっかりかけすぎると塩辛くなってしまうから、
神経を集中させないといけないし、
均等に混ぜないとムラになってもいけない。

「だから!ねぇ、いくらだと思う?」

「え?…わかんないよ。見当つかないわ。」

よくCMで『“総製作費” ○○億!』と誇らしげに宣伝しているが、
いったい何億なのか、ちっとも思い浮かばない。
“億”がつくのはたしかである。

「う~ん・・・っと。じゃあ1000億!」

あつあつのごはんを握りながら、とりあえず言ってみた。

「いっせんおくぅ~???
そんなにかかるわけないだろー!
映画製作にそんなにかけてたら回収できないだろ~!」と
マジな顔で叫んだあと、
「同じ適当に言うんでも、もっと低く言ってよ!
次が言いづらいじゃないか!」と訴えている。

…だからさ、私はそういうのがニガテなんだよ。
妥当な値段とかって、興味がないとまったくわからないんだよね。

だいだい、それどころじゃないんだよね…。

などと内心は思っていたが、彼の言い分、
“次が言いづらい”という気持ちもわかるので、
朝からたわいもない会話で笑っていた。

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わがイトコのMIKAちゃんと先日会った時、
お姉ちゃんのMAYUMIちゃんが“裸族(らぞく)”だと
教えてくれたほかに、こんなことをボソッとつぶやいていた。

「うちのお姉ちゃん、相変わらず市場めぐりが好きやねん。
私らが小さい頃から変わらへんやろ?
子どもたちにも時間があると“な、市場いかへん?”と
誘うんやけど、最近は誰もついて行かへんねん。
一人で出かけては、帰ってから買(こ)うてきたものを広げて
“これ、ええやろ?いくらと思う?”って必ず聞くんや。」

…その質問が一番困るのだという。

安く言い過ぎるとがっくりする。
ばっちり、ジャストで言い当てるのもまた
笑顔がふっと消えてしまうそうなのだ。

あたらずとも遠からずのストライクゾーンを
推測して、気持ち高めの答えにすると、
待ってました!とばかりに「じゃーん!正解はなんと!」と
晴れて“超お得プライス発表”となる。

もうその質問はいいよ…。と周囲は思うのだが
本人はいたって純粋に楽しんでいるようだ。

そういえば、それは日常よくある会話のひとつ。

でも、実は意外にプレッシャーを与えていたり、
気を使わせることもある、ということは
案外知られていない事実だ。

家族の中で、そしてきょうだい間や親子同志、
気心知れた間柄ならコミュニケーションの一種だ
と思えば、まあ、それもまた楽しいものだが、
人さまにはその質問はちょっと控えめにしよう。
などと思ったりする。

とりわけ難しいのは、満面の笑みで
「さあ、いくらでしょう?」と言われても、
安く言ってほしいのか、高く言ってほしいのか
一瞬のうちにその心を読み取らなくていけない。

安く買えたのが嬉しい場合、実際より高価に見られたら
「わ~、お買い得!」と喜ぶことができるが、
ちょっとフンパツして買ったモノを、
あまりに安く言ってしまっても、
「どう見てもそんな値段にはとても見えない」と
ケチをつけてしまったようで妙に気まずい。

似たようなシチュエーションには
「私、何才にみえる?」という質問を投げかけること、がある。

あれも結構プレッシャーだ。
実際よりも若く言ってほしいに決まっているが、
かなり高めにはずしたときのバツの悪さを
フォローするのがとってもツラい・・・。

本人がいない席で人に聞かれたら、
感じたそのままを素直に言えるが、
本人に直接聞かれた日には、軽い緊張感が走る。


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ピンクのじゅうたんを敷いたように
八重桜の花びらが舞い落ちる舗道を
掃除しながら、NAOKOに朝の会話を伝えると、

「う~ん、それは質問する人を間違っているわ!
私も何年か前に“ディナーショーの値段っていくらだと思う?”
っていう話のときに、お姉ちゃんが「7,000円!」って
答えてビックリしたわ!だって今どき食事だけでも
それぐらいするじゃないの!
モノの値段や相場がわかってないのよね~。」と
思いっきりウケていた。

そんな昔の話、私はとっくに忘れていたよ…。
ほら、まったくハズしても、
こうやってお笑いまじりに、まるで常識知らずのように
いつまでも記憶に残るのである。

よくぞそんなに詳しく覚えているものだわ!
などと、ちょっぴり負け惜しみを心の中で言いつつ、
朝の話の続きを思い出した。

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「1000億円!」のあと、すっかりテンションを下げて
「200億円だよ。それってすごい製作費なんだよ…。」
とトンチンカンな私の答えのせいでインパクトが
薄れてしまったことにがっくりしながら正解を言っていた。

こういう場合はどうしたらいいかホントに困る。
単なるクイズなのにはずしたことを、
ゴメンゴメンと誤るのもなんだしな。

ひとまず「えへへ」と笑い飛ばしておこう。


そんな、なにげないささやかな会話をかわす
毎日こそが“プライスレス”なのだと思う。








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