KAORU♪の「気ままなダイアリー」

KAORU♪が見つけたステキな風景、出会ったおもしろいできごと、おいしい料理などを“気が向いた時”にご紹介します。

★新たなストーリーの“モノ”たち

2021年12月05日 | Kaoru ♪の【New York 的スローライフ】
カントリーハウスから運び込んだ
お気に入りの家具たちを
ブロンクスのアパートメントで

新しい命を吹き込むように
居場所をしつらえている真っ最中。

もともとリオが持っていた
少しの家財道具は
ほとんどもらったものだという。

2人での暮らしがここで始まってからも、

もらい物やマリアの友人からの遺品やら

そして”ニューヨークあるある”の
粗大ゴミ捨て場からの拾い物ばかり。

新しく買ったものといえば
マムの使っていたベッドが小さかったのと、
スプリングが効いていて
フワッとするものの、肩こりがひどくなり

さすがにこれは数年してから
ようやく新しいものに買い換えたのと、
キッチンの小さな家電置き場のラックを
同時に買ったきり。






あとは見事なまでにどこかからか
ご縁があってここに来てくれたものばかり。

冷蔵庫はもともとの備え付け
クローゼットは4カ所にあるので
大きなタンスも必要なくて

小さな洋服ダンスや
キッチンテーブルも椅子も
ソファもカフェテーブルも
私のジェルプリントの作業台も
リオのスタジオの棚や台も
みんなみんな。

それでも私にとっては
大切に毎日使っているお気に入りばかり。

学校を卒業して、お花の学校に入学し
学費を稼ぐためと勉強のためにと
お花屋さんでアルバイトを始めた20代の初め頃。

配属されたお店は六本木の交差点近く。
時はバブル。景気が良くて羽振りが良くて

朝方まで街は毎日がお祭り騒ぎ。
短い春を生き急ぐかのように
あの辺りはどこかギラつきながら
きらびやかな時代の風が吹き抜けていた。

近くには大使館や外交官のマンションがあり
花束やアレンジメントをお届けに行ったり
時にはお宅に上がって生け込む仕事があった。

六本木や溜池山王や赤坂、広尾…
どのお家も見事なまでに
東洋的なテイストと欧米の雰囲気を
素敵に調和させていて、

街のバブリーな喧騒がウソのように
静寂と、洗練された古今東西の融合した
異空間が広がっているのである。
若かった私はそれまで見たこともなかった
世界を垣間見てウットリとしたものだった。

特にシノワズリ のアンティークな
大ぶりの家具の美しさに心をうばわれた。

自分がこういったたぐいを家に飾ると
古めかしい民芸品か、
昔風の部屋になりそうで
あんなイメージにはほど遠くなりそう。

あこがれだけがずっと記憶の奥に眠っていた。

ここのファミリーに出会い、
センスの良いマリアはなんと
あの時見たような家具をたくさん持っていて、
突然あの、日本で見た素敵な家々を思い出した。






重厚感のあるどっしりとしたチェストや、
金具や取っ手も大きくて丸みがあって
形もオシャレ。合板ではなく一枚板。
すり切れた色も時代を感じさせる。
そして繊細な彫刻がついた台。

どれも職人さんたちの手の跡と温もりを
感じるものばかり。

好きなものをアパートメントに持っていって!と
言われた時に真っ先に選んだのは
朱塗りのチェスト。


金属製の黒い丸の錠がフタと本体に
またがってついているのが大胆でいて
シンプル。赤と黒の組み合わせが
カッコ良くて大好きだった。

それから優雅で美しい木の彫刻を施した
ランプ台。






そして籐製のチェア。クッションの
チョイスにマリアのセンスが光るもの。






いずれも自分だったら
きっと手に届かないであろう、
あるいは組み合わせていないであろう品ばかり。

ハウスから家具を運ぶ時にリオが

昔の家具は重い…

(それに比べて大手のチェーン店の)
最近の家具は軽くて運びやすいよ(笑)と

いろんな意味を込めてつぶやいていた。

確かにそうだ。

マムやグランパやグランマが
使っていたアメリカ製、イタリア製の古い家具、どれも軒並み重い。

中古の家具、お下がり、
誰か知らない人の使い古し…
そんな言葉に当てはめるよりも

大事にご縁のあるところで、
再び生き続けることの方がまるで
奇跡みたいで嬉しくなってしまう。

ハウスからやってきた家具に押されて、
ところてん式に不要になった棚や台を
アパートメントの地下のゴミ置き場に
持っていくと、あっという間に必要な人が
持って行ってくれてホッとする。

ちなみにマムのベッドはここでよく
お掃除しているスパニッシュ系の女性が
すぐにもらってくれた。

英語が話せないらしい
いつもにこやかな彼女とは顔をみるとお互いに

「¡Hola! オラ!」こんにちは! 
「Gracias グラシアス」ありがとう♪

とあいさつするのが日常である。

封の空いていない食料品は、
必要としている人々がやってくる
近所のセンターへ。

封の空いているもの、えっ?
これも良いの?と思わず聞くと
これはどこかに置いておくと

Poor people が持っていくから
彼らのために袋に入れておいて。

という。これも必要な人々の手に
ちゃんと渡っていくらしい。









とにかくモノは捨てる
捨てるコトで運を引き寄せる!
それが幸せなるための法則、が
トレンドになって久しい日本だけれど

ここではまだ使えるモノも
食べ物も必要とする人々に出来る限り
循環させていく「命」そのものに
なっていることが多い。






それはある意味、日本の豊かさと
ここでの厳しさを浮き彫りにするものであり

けれどある意味、その気持ちは
豊かさそのものである、とも 
言えるような気がするのだ。

カントリーハウスにあった「モノ」たちは
それぞれに新しい持ち主たちのもとで
新たな物語が始まっている。

#newyork #newyorkslowlife #ニューヨークでの暮らし#毎日を大切に丁寧に#心豊かに生きる

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