すぎなの風(ノルウェー編)       ∼北欧の北極圏・トロムソから∼

北欧の中のノルウェー、
北極圏でも、
穏やかで住みやすいトロムソから
お届けいたします。

9月、大きな決心をして

2024-09-19 | ノルウェーから
9月は、いつも
新しい風が吹いてきたものだ、
と書きましたが、
その通り。

新しい風が吹いてきました。
だからこそ、迷いながら、
それでも私の心が迷いから 
一つ一つ
解き放たれていくようです。

● 日本人を招待して

この小さなトロムソに住みながら、
思うように会えない日本人の方々。

思い切って、
「リップスで会いましょう!」と、
うちの庭のリップス摘みに 
トロムソ在住日本人全員(ほぼ)に
声をかけてみました。

集まってくださったのは、
30
人(子ども10人、留学生6人)
こんなに一度に会えるのは、
久しぶりです。
大人も子どもも、ほんといい笑顔。
「会える」って、
本当に素敵なこと。

やってよかった~!

★ 大人たち

バーベキュー、台所、居間、
子どものゲームコーナーで
好きに過ごしてくださってます。
私が気が利かない分
私が手が届かない分
みな動いてくださるのです。
ありがたや~。

★子どもたち

以前は日本語が話せず、
なかなか参加できなかった子も 
ゲームをして遊べました。

私の教室の子もいて、
その成長ぶりが超嬉しい

★ 学生さんたち

8月に、
日本から来たばかりの学生さん。
未知の土地で緊張していた彼ら。

日本語が話せて、
とてもリラックスできたとのこと。
また、町のこと、生活の仕方、
ノルウエーの文化など、
聞ける話も沢山でした。

★ 日本人学生だけじゃないよ

母は日本人、父はグリーンランド。
彼女には、
EDELで出逢いました。
しかも、すぐ近くの学生寮だった。

「日本」を通すだけで
こんな出会いもあるのです。

★ 日本でも大学でも聞けない話

87歳の京子さんも
参加してくださって、
彼女の人生談に
衝撃を受ける学生たち。

日本でも大学でも聞けない
貴重な話。
その素直な彼らの心に 
私も感動しました。

日本とトロムソの間で
何かお役に立てることを。

ずっと抱いてきた私の願いに
光が差すような日でした。

●第一希望の小学校で
 一日体験

なんと!
私が最も興味ある小学校から、
アシスタントの話が来ました。

早速面接に行き、
体験できることになりました。

続けて仕事するかどうかは
別として、
この学校の実態を垣間でも見れる。
貴重なチャンスです。

一日働いた実感。

私には重すぎる。
私では力不足だ。

数日考え、断わることにしました。
(担当の先生とは、
 別途話すことになっていますが)

●「ノルウエーハープの
  お父さん」が
  急逝されて

私の誕生日の翌日でした。
「Steinが亡くなった」という
奥さんのMaritのFBの投稿。
すでに何百というコメント。
本当なんだ。。。

泣けて、泣けて、仕方がない。

ハープ博物館で働き、
ノルウェイハープを復刻し、
昨年退職したところでした。

10年ほど前(?)
「Steinさんにコンタクトしたい」。
その奈未さんに代わり、
相方さんがノルウェー語で
コンタクトしました。
二人でコンタクトをとった
初めての人でした。

以来、
私たちの大好きで信頼する人。

Nordic Harp Meeting に
初参加した時が、初対面。
「Haruko~!」と
大きい体で広く腕を広げ、
笑顔で私を迎えてくれました。

いつも、どんな時でも、誰にでも、
変わりません。
私が見ただけでも、
ノルウエーハープ、
ランゲレイク、バイオリン、
コントラバス、ギター、
ハーモニカ、笛、
そして、歌・・・
何でも、楽しんじゃうのです。

自宅の居間でもどれだけ
音楽を奏でてきたことか。

彼は、最期の時を
その「自宅の居間のソファで」
と希望し、
そこで逝かれたそうです。
癌でした。

明るくて、ユーモアがあって、
正直で、誰にもオープンで、
あんなに暖かい人を
私は他に知りません。
そんな貴重な人に
私はノルウエーで出逢えたのだ。
私の好きなハープを通して。

奈未さんがノルウエーハープを
作ってもらえることになった時、
「Harukoもほしいかい?」
と聞いてくれたのに
「今は、いいです」
と答えたことが、悔やまれる。

2年前のNHMで会った時、
彼のエネルギーが落ちたようで、
SteinとMarit(ランゲレイクの名手)のコンサートを
早くトロムソで企画しなくっちゃ、
と思ったのに、
自分のことでいっぱいだった
この2年。

もっとSteinさんと喋りたかった。
英語も、ノルウエーも
下手だからと
遠慮してしていた私。

「また、いつか」は、
あるとは、限らない。

それを彼は、教えてくれた。
胸いっぱいの悲しさと後悔と、
そして暖かさと共に。

私は、決めました。

・永住権を取ることだけに、
 こだわらない。
 心からしたいことに進む。
・永住権をとれたら、
 すぐ、日本に長期滞在をする。
・永住権が取れなくても、
 すぐ、日本に長期滞在をする。
・英語、ノルウエーの勉強は
 続ける。
 そして、もっと使っていく。
・ハープを トロムソで披露する。

この1年で
最後になることもあるでしょう。
いろいろな都合と見合わせ、
考えました。

来年の11月までは、
日本に帰らず、
トロムソで、
悔いなき時間を過ごします。

写真もなく、長文でしたのに、
読んで下さって 
ありがとうございました。

皆さん、機嫌よくいましょうね。

オーロラもよく見えています。
そして、この夕暮れが愛しい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

巣立ち見送る この不思議

2024-03-11 | ノルウェーから
受験、卒業と、
何やら、ざわざわする時期ですねえ。

先週、我が家でも、
12月から下宿していた子が
巣立っていきました。
いや、日本に帰っただけなのですが。

昨年8月、
以前トロムソに旅行に来て
カフェで出逢った日本人女性から、
メールがありました。

「こういうお嬢さんがトロムソに行くので、
 晴子さんを紹介してもいいですか?」。

それで、トロムソに来て一週間という
本人に会いました。

日本の音楽大学の博士課程の学生で、
自分の研究のために来たと言います。

「提携校の留学生」というのは、
守られているものです。

でも、彼女の学校は、
トロムソ大学と提携がなく、
全く状況が違いました。

自分であちこち交渉し、
「学生」ではなく、
「お金を持ち合わせているリサーチャー
(ノルウェーで収入を得る必要はない)」

というポジションで、
ついに音楽院に
自分の研究場所を確保しました。

生活費、活動費、旅費など
全て自費

実際には、日本でバイトして
授業料も自分で払う学生です。

でも、
それしか方法がなかったのです。

ここに至るまでのプロセスだけでも、
私には初耳だらけで、
その心意気に感心しました。

しかし、「大学」という後ろ盾がないなど、
リサーチは難航。
音楽院では同志もおらず、
人との関りはなく、
トロムソの家賃、物価は高く、
精神的にかなりきつくなっていました。

そこで、
極夜を機に、彼女は、
うちに引っ越してくることになりました。

ご飯の作り方を教えてほしいとのこと。
夕食は3人で作って食べて、
食器洗いも協働。

「前、失礼しまぁす!」
なんてバイト用語が飛び交う。

そうそう、リクエストで和食も増えたなあ。
夜の散歩を一緒にしたり、
マンネリ化した私たちには、
いい刺激。
いろんな話をし、
いっぱい泣いて笑って、
時には、お互い謝りもした。

ノルウェーで、
「リラックスした暮らし」を 
彼女は初めて知ったと言います。

私たちは、ほぼ定刻に帰ってきて、
夫婦で料理して、食べる。
パンやケーキも手作り。
外を歩けば、景色は美しく治安もいい。
お化粧やお洒落をしてなくても、
誰も何も言わない。

私たちが心がけたのは、
彼女が
「安心」できること。

問題や彼女の変化に合わせて、
ルールを相談しながら変えていきました。

彼女は、私たちがしたことを
「子育て」と言ってくれます。
有難いことです。

私たちも、若者の視点、現実を知ったり、
私たちの暮らし方を
見直すきっかけにもなりました。

この時間の中で、彼女は、
人生の大きな決心をしました。

私たちは、そんな貴重なときを
一緒に過ごさせてもらったのです。

実に、人の巡り合わせとは、
不思議なものですねえ。

それにしても、
このような
意志ある学生を支援するシステムは、
他にないのでしょうか?

日本の問題なのか? 
ノルウェーの問題なのか?

とにかく、彼女が、ここでできることはやり切り、
元気に日本に帰ることができた。

彼氏と二人でくれた電話の後、
安堵して涙した私たちでした。


最後の夜、ベランダで。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山歩きから、電動サイクリングへ。

2023-07-20 | ノルウェーから
皆さん、今日は
北ノルウェーのサイクリングに
お連れ致します。

私、山登りはお休みしています。
歩いていると、
また膝がおかしくなってくるのです。

超お値打ちを見つけたのを機に、
電動自転車で走っています。

「膝は、大丈夫?」 

それが、調子いいんですよ。
最初、自転車を漕いでも違和感があったのですが、
よいポジションを見つけてから、
歩くのまで楽になってきました。

「まずいな」と思ったら引き返す、
ということで、
先週は、遠出にチャレンジ。

それが、往復約74㎞。
びっくりでした。
電動自転車よ、
ありがとうーーー!

ということで
Malangen(マーランゲン)まで、出発!
北ノルウェーの夏のサイクリング
汗かいても、心地よいですよ!
※走行中、
 写真があまり撮れなくて残念。

家を出てすぐ、
ずっと海を見ながら。
(これフィヨルドではありません。
 普通の海です。)



自転車って、
風、太陽の光を全身に受けられる。
今さらですが、
気持ちいいですねえ。

海の音、小鳥のさえずり、
ベック(岩肌を流れる小さな川)の
せせらぎまで、
よく聞こえる。

スピードが違うだけで、
車では見えなかったものが、
目に入ってくる。

まるで初めて通る道のよう。

登り坂でも電動だから平気。
下り坂がきたら、ひゅーーん!

むむむ、あの白いのは・・・・?
近づいてみよう。


ちょこちょこ水分摂ってるけど、
すでに 1時間40分程経ってる。

木陰で休憩。



うちの近くで聞く鳥とは、
また違うさえずりだ。

まだ、走れそう? 
もう少し行ってみよう。

さあ、トンネルですよ。


トンネルは、
自転車通れないでしょう。

いえいえ、
通れるトンネルもあるのです。


このボタンは、
自転車のためのもので、
機能は二つ。

まずは、黄色い電気が点滅。
「ただ今、トンネル内
 自転車走行中!」
これで、車が気を付けてくれる。

そして、もう一つ、
トンネル内の電気が
通常より明るくなる(10分間)。

では、ボタンを押して、
いざ、トンネルへ!


な、な、なんだ!?
さ、さ、寒いーー!! 

すぐに自転車を止めて、
ジャケットを着る。
こりゃ、トナカイが来るはずだわ。
(後で聞いたら10℃くらいだと)

気を締めて、再出発!



ふうー、無事出ました。

実はこのトンネル、
海底トンネルだったのです。
上の写真の
海の下を
走っていたのですよ。





おー、あれは、トロムソ島だあ。(左側)
右手の山は、ロープウェイ。
この角度、新鮮だわあ!



しかし...まだか...
まだか...
お腹すきすぎ・・・。

着いたー!
前にも来たことがある、
Toveのカフェ!



出発して、約3時間ですもの。

肉付めパンケーキ。
空腹にきく。














ゆっくり昼寝までさせてもらいました。

さあ、帰りましょうか。

電動さまさまで 
帰れそう。

何回でも休みましょ。
日も暮れない。
時間を気にせず
ゆっくり帰りましょ。

できなくなることがあれば、
他にできることが見つかる。

発見と感謝の一日でした。

みなさま、
ご一緒してくださり
ありがとうございました。

涼んでいただけていたら
嬉しいです。






コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「アンティークブティック」のある一日から

2023-03-21 | ノルウェーから
先週のEdelは病欠があったりで、
予定外の毎日出勤でした。

そこで、今日は、
Edelのある一日から。

「物」から垣間見える人生

朝、ドアを開けると、
入り口から物がぎっしり。
その前夜、
新しい物(いや、皆古いが)が入ってきたのだ。

いろいろなケースがあるが、この度は、
お父様を見送られた
家族の依頼で
Edelが買い取ったのだ。

日用食器から接客用の食器セット。
洗えばたちまち美しくなる。

衣類は、防寒に完璧なものばかり。
ほころびもない。

家具も、愛着が覗える傷み方。
隅から隅まで磨き、
オイルを塗って仕上げる。

トロムソは北極圏にあるが、
スウェーデン、デンマーク、フィンランド、
ヨーロッパ、どこの物も流通していた。
それでも全てにおいて、
ノルウェーデザインを好まれたのだな、
と胸が熱くなる。

家族が店を訪れ、
息吹を得たように店内に並んだ品々を見て、
彼らは、涙ながらに喜んでくださった。



「アンティークブティック」とは?

アンティークでは、ブランド、年代、デザインは、
もちろん大事な要素。

しかし、「物」というのは、不思議なもので、
愛が込められるのだ。

生き返るし、
新しい持ち主に出逢い、
また愛され生きていく。

銘柄だけでなく、
良さを知り、さらによさを引き出し、
次の持ち主へ橋渡しをする。

また、それがいつかわからないから、
その間のお世話をする。

アンティークブティックとは、
そういう場所なのだ。

「ここは、この方法でいいんだな」

アンティークブティックと
リサイクルショップと、
どう違うんだろう? 

よく思ったものだ。

このご時世、簡単に物が捨てられ、
ネットでは誰でも売れるし、
安く手軽に買えもする。

ボランティア団体が運営する店では、
同じものでもEdelより安かったりする。

市営のリサイクルショップでは、
格段に安い。

Edelでは、
アンティークとしての価値を調べ、
値段を設定する。
(近年の物は、意外に安い)
従業員の給料も家賃も払う。

お客さんの喜ぶ様には、
「値段だけじゃないよな」
と、つくづく思うのだ。

そして、最近、
すとんと心に落ちるようになった。

「ここは、この方法でいいんだな」と。

そして、
こういう店が生き残れますように、
と願うのだ。


今日も読んでいただき、
ありがとうごいました。

私たちが、店を出るお客さんにかける言葉、
皆さんにもお届けしますね。

Ha en fin dag! 
(ハー エン フィン ダーグ!)
 (素敵な一日をね) 



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「円」で 明けまして、おめでとうございます。

2023-01-02 | ノルウェーから
皆さん、
新年明けまして
おめでとうございます。

トロムソのお正月って、どんなの?

お正月より「年越し」に
焦点が当たっていると思います。

Julのような料理もないし、
1月2日から日常に戻ります。

今年の花火は、
「年越しは大雪」の予報に
打ち上げ場所が変更。

そのため、例年の山肌での文字焼き
「2022」から「2023」に変わるのはなし。
この花火も15分くらい。

でもさすが、トロムソ。
雪でも、沢山の人。
例年通り、個人で上げる大型花火が
あちこちでバンバン、バンバン。
年越し前後、ずっと続きます。

若者の声もワイワイ、ワイワイ。

雪雲のお蔭で、
ぼ~~~~と加勢する船の汽笛の音も
より穏やかに響き渡る。

雪の向こうに上がる花火が
パステルカラーに見える。

これもいいもんだなあ。












昨年末はどうも気力がなく、
「お蕎麦食べて花火見たら、OK!」
そう思っていたんですよ。

でも、日本の習性が染みついてるからでしょうか。

初日の出を拝むことなく、
神社のお神酒つき初詣もなく、
お節も食べず、
となると、足りなさすぎる。

やっぱり
新年の祈念を表現するものがほしい。
(かなり日本的発想かも)

年越し蕎麦を食べてから、
昨年の残り物、
期限切れのもの(‼)で遊んでいるうちに、
思いがけない自己満の年初めになりました。





イメージは「円」

切れていたもの、
見えなかったものがつながったり、
修復されたり、
うまく循環したり。

世界を通して、
「まあるい物」が広がりますように。


今年もどうぞよろしくお願いいたします。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

God jul og godt nyttår!

2022-12-24 | ノルウェーから



今日は、クリスマスイブ
こちらでは、今宵は、家族で過ごし、
お店も昼から閉まります。
テレビもJUL一色です。

この一年を振りかえり、
感謝を込めまして
今年最後のブログにいたします。

あれもしたい、これもしたい。
でも、体も頭もついていかない。
自分の力量、わきまえよな。
そうそう、心身のメンテナンスも
忘れんとな。

タブレットで孫の成長に感動、大笑い。
その柔らかいほっぺに頬寄せられる日。
ああ、待ち遠しい。

旅行者は、どんどん増えているのに
日本人が全くいない。
世界の動向、日本の未来。
案じつつ、祈るのみ。

別れは、ただ受け入れよう。
育まれていたもの
育まれつつあるものが
心暖めてくれる。

こつこつと日々を送り
平穏に年の瀬を迎えられる。
ただただ感謝あるのみ。

合掌。

うちのリビングからお届けいたします。
聞いてくださいませ😆  
ノルウェーの代表的なJulesang(クリスマスソング)、
「素晴らしき大地」
https://youtu.be/d-PiwXMngxgここをクリックしてください)
(編曲:上原奈未 演奏:ハープ;晴子、笛:相方さん)

God jul og godt nyttår!

皆様、今年も一年
「すぎなの風」を読んで下さって
ありがとうございました。
よきお年をお迎えくださいね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「信頼するこころ」にもらった「自信」

2022-11-22 | ノルウェーから

 11月16日14:04

義母の所に行っていた時間。
ああ、もう行かなくていいんだ。

その慣れない時間に、まだボーとしています。

前回、ブログをアップして仕事に出かけたのですが、
仕事場に相方さんが現れたのが、13:00。

「施設から、家族に来てくれと連絡があった」。

駆けつけると、
義母は息も絶え絶えで、
「ああ、会えた」と目で言っています。

叔母が見舞いに行った時は、
それほど悪くなかったそうです。
ただ、叔母が手を握っているのに、
義母は他の手を握ろうとするかのように、
空中をまさぐった
そうです。
それを見た医者が、
「家族に会いたいの?」と聞くと、義母は頷く。

「これが最期」とは言いきれない。
でも、医者の直感で連絡をくれたのです.

その後、呼吸困難に落ちて行ったそうです。

通常なら3時間で来れる所に住んでいる義妹。
ちょうどこの日から道路は凍結状態。
どれだけかかるか。

義母の呼吸が止まる時間が1分を越す。
義妹が着く前に母を逝かせてなるものか
と皆で手を握り肩をさすり、
呼吸が止まる母を呼び起こす。

義妹が着いた時には、皆がほっとして、
涙でぐちゃぐちゃでした。

それから、家族で交替でつききり、
翌朝、5時20分、
義母は安らかに旅立ちました。
義父に迎えに来てもらって。
(私たちは、そう信じています)

この一週間、私にとって、
義母がどれほど大きな存在であったか、
改めて思い知らされています。

義母は、口の上手な人ではありませんでした。
しかし、心の温かい人でした。
いつもまっすぐに私を見る目をしていました。

言葉が通じなくても、
お料理を教えてくれ、編み物を教えてくれ、
意地悪など言われたことがありません。
否定されたこともありません。

エーデルの仕事が決まったときには、
仕事の初日にエーデルに来てくれました。

私の娘、息子のセーターも編んでくれて、
驚きました。

さらに、私の娘が結婚すると聞いて
(子どもはできていません(#^.^#))、
なんと赤ちゃんのお包み、
カーデガンを編んでくれていたのです。

脳梗塞を起こす前の最後の作品で、
作ってあることすら
私たちは、知りませんでした。

私の娘が妊娠したと聞いて、
何かしきりに言いたがる義母から、
義妹が見つけてくれたのです。

私の母が私たちに歌ってくれた「モーツァルトの子守歌」を
私と相方さんで演奏し録音したものを、
もうすぐ生まれ出てくる孫にと、送りました。

義母はそれを聞きながら、涙を流すのです。
まるで私の母もここにいるかのように、
一緒に泣きました。

また、彼女は、私の子どもや孫の写真や動画を
実に愛おしい目で見て喜んでくれるのです。

義父が亡くなってからは、がくんと体調も落ち、
本当につらい時間だったと思います。

言いたいことが言えなくて、泣く義母。

ノルウェー語がろくにできず、
言いたいことが言えない悔しさ・辛さを味わっていた私には、
彼女の気持ちが痛いほどわかりました。

だから、連想ゲームをするかのように
ヒントから探るのです。
結局わからなくても、
笑顔になってくれました。

右腕が動かず、腕や手首の痛みが増すと、
体調だけでなく、
脳の働きにも影響することに気づき、
行くたびに腕のケアをしてきました。
これは、私の母にもしてきたことです(岡先生の指導)。
コロナ期も
療法士さんが辞めた後もずっと。

その度、彼女は、ニコッと笑えるようになり、
帰り際に左手を振ってくれます。

施設のカフェに車椅子で行くと、
私がお年寄りのお友だちと話すのを
嬉しそうに見ています。

だんだん、私のノルウェー語でも
彼女に通じるようになり、
最後の引っ越しでは、
義妹の説得にも首を横に振っていたのに、
私と話して「引っ越す」と言ってくれました。

引っ越し後の急変に、
あれでよかったのかと思いめぐらしましたが、
実際最期を迎えて、
これでよかったのだ、
と確信しています。

私を心から信頼してくれた義母に、
涙があふれるばかりです。

日本生まれで日本育ちの私の中に、
理解できないこともあっただろうに。

私の方は、「なんであんな態度なんやろ」と
相方さんにぶつけたこともあります。
そんな未熟な私なのに。

「人を信頼する」とは、こういうことなんだ。

ノルウェーに来てから、
日本で当たり前にできたことができなくなり、
「私に何ができるの?」と
自信を無くしていた私。

「自信」をくれたのは、
私のことを信頼してくれる心だったのです。

私を受け入れ、私を信じてくれた。

私はこの心を
義父母から、
教えてもらっていたのだ、
と今よくわかります。

今思えば、
私の父と母も同じ心でいてくれたのでしょう。

「あんた、今頃わかったんかいな」。

私の父母、義父母、
今頃は4人で笑っていることでしょう。

葬儀は、11月29日。

それまで、ゆっくりします。

こちらは、極夜に入りました。


11月19日14:11
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今どきのiPhoneって、こんなにカメラがいいの!?

2022-10-13 | ノルウェーから
私は、iPadミニをずっと愛用しているのですが、
どうも危なくなってきました。

そこで、あの小っこい(皆さんが使っている普通のサイズです)
iPhoneも使うことにしました。

年々目は悪くなってくるし、
打ち間違いは増えるに決まっているし、
いややわあ、使いたくないわあ。
だけど、皆使っているんやもん。 
がんばろか・・・。

凝ったことせんから、安くていいのよ。
でも、カメラだけはいいのがほしい。

曖昧なことを言うだけで、
探そうともしない私を
フォローしてくれるのは、相方さん。

安くていいのがあった!と見せられて、
「カメラ、ほんとにええん?」
と聞きつつ、即決定。(疑い深い割に、単純)

ところが、届いてみたら、
本当にカメラが素晴らしい!(相方さんに感謝!)

なんと、あきらめていた
オーロラまで撮れるではないですか!
技なし、普通にシャッター切るだけで、
しかも、肉眼に近い!

もっと早く買えばよかった。(現金野郎。問題は別やけど)


そうです。
トロムソでは秋と同時にオーロラが戻ってきています。

満天に広がるオーロラを一度皆さんに見てほしい、
といつも思います。

でも、常に現れるわけでなし、
予測すらしがたい。

だから、「見に来てください」
と容易く言えない私です。

今回、iPhoneが嬉しくて、写真をアップしますね。
うちの庭で10分間ほどで撮ったものです。
勢いがある時は、変化も早いのです。
確かにワイドに美しく撮れていますが、ほんの一部です。

オーロラをアップし始めたらキリがないので、
「今回限定」と思っていてくださいませ。

遅まきながらiPhoneデビュー記念!







コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コロナ下、日本とドイツの間の「希望のかがり火」

2022-01-18 | ノルウェーから
ぶ正月のもう一つの授かりは、
12月に届いた日本のお話をゆっくりと読めたこと。

ドイツから取り寄せたんです。

一方の表紙には、
ドイツ語で「Leuchtfeuer der Hoffnung」。
もう一方の表紙には、
「希望のかがり火―日本の歴史と伝説46選―」。

中身は、ドイツ語と日本語。
だから、私にも、読めるんですねえ。

絵・文:中村麻美 トリア独日協会発行。

この本ができた経緯に、
素晴らしいお話があるのです。



「コロナ期ではありますが、
  あきらめていません」。

絵・文の中村麻美さんは、2007年より現在も、
日本武道館の月刊誌「武道」に
表紙絵とその話を連載しています。

タイトルは、「伝えたい日本のこころ」。

2016年、日本武道館が45話を厳選し本にしました。

私はここで疲れると、
この本を声を出して読む。
慰められ勇気をもらえる
大切な一冊になっています。


すると、なんと、この本が、
日独間理解のためにとドイツ語に翻訳され、
日本語冊子付で発行されたのです。
「アマテラスからオリンピアまで」

2020年、コロナ真っただ中でした。



それがドイツで好評で、
日独交流160周年記念にも、
と発行されたのが、昨年2021年11月。

それが、この度の
「希望のかがり火―日本の歴史と伝説46選―」。

その早さたるや。
日独交流に関わる方々の情熱尽力の賜物ですねえ。

トリア独日協会会長の言葉に、こうあります。

「コロナ期ではありますが、
私たちはあきらめていません。
この希望のかがり火を
日本とドイツにいるすべての人に届けるつもりです」。


160周年記念にふさわしく、
麻美さんが追加したお話
「熊谷五右衛門義比とシーボルトのピアノ」

「こんな知恵、選択肢、生き方があるのね」。

日本人の心に響く「日本のこころ」が、
国を超えても響くんですねえ。

だけど、
日本のことなのに、日本人が知らない。

私自身が身に染みて思うことが、
ここに来て度々あります。

私自身、こういう日本のよいお話を
自分の子どもに語ってきませんでした。(ごめんな)

こんな大人を救うべく、
中村さんは、本を読まなくてもわかるほどに
短くまとめ、優しい言葉と絵で、伝えてくれます。

「こんな知恵もある、
 こんな選択肢もある、
 こんな生き方もあるんだね」と、
 感動とともに心に留まるお話を
 孫にはしてあげたいな。
 先が見えにくいこの時代だからこそ。

と、読んでいるばあばです。

 しっかし、なんで、
 こんなによく知ってるの?
 中村さんは、私の幼馴染なのです~。

※どれもアマゾンで買えます。
 私はノルウェーのネットショップ(Adlibris)で購入しました。

※中村さんは、三重県津市出身。
 2014年、わが故郷で、
 彼女の小中高校の同窓生で、
 新聞紙連載小説「天地人」(保坂雅志作)の
 彼女の挿画展を企画しました。
 大勢の方がご来場くださいました。

 その動機となったのも、
 彼女の「伝えたい日本のこころ」でした。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大和魂、ここにあり。

2022-01-11 | ノルウェーから
皆さん、
よき新年の始まりを迎えられましたか?

10日投稿の予定が、遅れてしまいました。
見に来てくださっていた方、
ごめんなさい。
私、ぶ正月しておりました。

年末、右親指から右肩の痛みがひどくなり、
ハープもお休み。
義母が退院した矢先、12月28日のこと。
私はあと3段というところで、
階段から滑り落ち、
また歩けなくなってしまったんです。
がーーん!!!!

というわけで、
年末年始は何もしない
「ぶ正(無精)月」
と決めました。

すると、ある一家から、
救いのような大晦日のご招待を受けました。

再度、岡先生のご指導を受け、
また歩けるようになり(すごい!)、
喜んで伺いました。

思いがけない「日本風」 
 
伺って、驚きました。
なんと年越しそば、正月料理を
用意して下さっていたのです。



日本人であっても、
ノルウエー人を家族に持ち、
子育て、仕事に忙しいと、
手間のかかる日本料理は
なかなかできないものです。

考えてみれば、私が大人になってから、
毎正月には、母の手伝いをしたり、
自分でも何かしら作ってきました。

お節を他人様に作っていただいて
「食べるだけ」なんて、初めてのこと。
それも、ここトロムソで。

もう、なんてありがたいこと〜!!!

手伝いすらできず、
ただただ、有難く味わせて頂きました。

うちはトロムソ島にあるのですが、
彼女の家があるのは、トロムソ島の対岸。
ベランダから見える年越し花火の風景が、
また新鮮です。


岸沿いに 近隣からも、バンバンバンバン!市民があげる市販の大型花火。
雪国ならでは。日本では、ありえない風景です。
※ 私のiPadは、全く夜に弱い。お許しを~!

優しい心遣いは、
これだけでありませんでした。

ノルウエーに住んで50年。

初対面のもう一人のお客様は、

ノルウエーに移住して約50年の女性でした。

印象的だった彼女の言葉。

「ここに来て
 日本人を悪く言うのを聞いたことがない。
『日本人は親切で、仕事も素晴らしい』
 と、いつも言われました。
 だから、先人が築いたものを壊さないように、
 と、私はいつも思っていました」。

こうして、なんと80歳まで、
彼女は働き続けてこれたそうです。

彼女は、持参の手作りアルバムを開き、
日本とノルウエーの家族、友人の話を
一文一文しっかりと、誇らしげに話されます。
今年亡くなられたご主人を忍ばれるように。

車で家までお送りすると、
家の中までも案内してくださいました。

ご主人と作られた和風空間が盛沢山。
家の仕様から背筋の伸びた彼女まで、
全てが、ご主人との愛ある生き様を
表わしているようでした。

私と相方さんは、昨年で
出逢って10年、結婚して5年。

言語の難しさに、
本気で二人の関係を見直した年でした。

そんな私たちには、
あまりにも どっしりと眩しい。


しかし、私たちを勇気づけてもくれました。

「大和魂、ここにあり」。

お蔭で、ぶ正月でも
これまでになかった穏やかな光を感じています。

** * ** * * ** *** * ** 

今年は、私にとって大切なことを 
選んでいきたい。

そして、一歩一歩しっかりと 
笑顔多き一年にしたいと思います。

皆さま、
今年もよろしくお願いいたします。


1月10日 初日を拝めるのも もうすぐです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする