すぎなの風(ノルウェー編)       ∼北欧の北極圏・トロムソから∼

北欧の中のノルウェー、
北極圏でも、
穏やかで住みやすいトロムソから
お届けいたします。

辞めるか、続けるか。そんなことしていいんですか?

2023-08-31 | なんでもあり
「ここ数か月」の続きです.

優先したいものがあれば、
諦めなければいけないこともある。

その諦めなければいけないことが、
コーラスでした。

コーラスのあった日は、
私は意気揚々と帰ってくるのです。

歌詞の意味から、
発音、
アルトのメロディーを覚えるのは、
容易くはありません。

さらに毎週新曲が出るのは、
私には、むちゃハード。

それでも、
歌う前の体操、発声練習、
パート練習、
みんなと合わせる時間、
同じ方向の人と
喋りながら帰る時間は、
他では得られない時間。

二つのコンサートで歌えたなんて
どんなに嬉しかったことか。

ところが、
日本に帰ってトロムソに戻ると、
指導者が留守で自主練。
都合が合わない間に
二か月の夏休みに。

5か月のブランクが
できてしまいました。

自分で練習するつもりだったけど
なかなか一人でする気にならない。

「ハルコ、どうしてる?」
などと聞いてくれる関係も
できていない。
(友人も訳があり、今休会中)

11月の50周年コンサートで、
私は歌えるのだろうか?

必死になればできるけど、
労力も時間もどれほどか、
自分でわかっている。

優先順位の高いものにかける時間を
犠牲にしなければいけない。
それでは後悔するのは明らか。

辞めたとしても、
これに代わる時間を
すぐ見つけられるとも思えない。

そこで、「完璧を目指さず、続ける」
ことにしました。

しかし、
送られてきた次の新曲候補の楽譜を見て、
ギョギョギョ。

アフリカの歌で、
現地の言葉と
ノルウェー語といっても、
nynorskという別物。

もう無理…

練習開始の日、
辞める決心をして、
皆さんに挨拶する文を
紙に書いて行きました。

練習開始前、指導者のAnitaに
辞める理由を話すうちに
涙がこみ上がってきたのです。
自分でも思ってもいませんでした。

Anitaは、私の話を全部聞いてから、
こう言いました。

「わかった。
 じゃあ、私からの提案よ。

 
家で練習しなくていい。
 コンサートのことも考えないで。
 ただ、練習日はここに来て歌う。

 
家から出てきて、
 みんなに会って、歌うことが、
 貴方にとって必要なはずよ
」。

まさに図星でした。
でも、思いもしていなかった提案です。

「そんなことしていいんですか?」
「いいわよ」
「じゃあ、そうさせてもらいます。
 ありがとうございます」

と、ハグハグ涙涙。

相談していた人にも 
結果を伝えて、
ハグハグ涙涙。

自分の心の内を話せたことに、
乾杯。
それを受け止めてもらえたことに、
感謝。

ずっと決められずにいる私を
見てきた相方さんと、
またまた、ハグハグ涙涙。

ここ数か月を経て
心が、やっと整いました。


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ノルウェー語の試験をまた受けることにしました。

2023-08-23 | ノルウェーの生活
老化現象はある。
いつまでも ここにはいない。

何がしたい?
何を優先する?

ここ数か月、
そんなことを問うていたのですが、
先週、
突然その答えが出ました。

ノルウェー語学校時の友人に、
久々にスーパーでばったり。
彼女の今の仕事は、
小学校のアシスタント。

私:
 私も保育園のアシスタントを
   してみたいけど、
 体力に自信がないんだよねえ。
友人:
 保育園のアシスタントもしたよ。
 小学校の方が、
 体力的にずっと楽よ。
 先生が教える時、
 困っている子を手伝うの。
 
ハルコ、あなたもできるわよ

ええ?
「小学校のアシスタント」は、
考えたこともありませんでした。

理由は、語学力の乏しさです。

ノルウェー語の学校で、
私は自分の年齢を嘆き、
語学力の乏しさに頭を打ちました。

「教育現場」は無理だ。

ずっと、そう思ってきました。

運よくEDELに就職できたのは、
洗い物、縫物、掃除
片付けという仕事が、
他の人より早く綺麗にできたから。
それに語学力は要りませんから。

今では、
一人当番も何とかやっています。
日本語教室では、
ノルウェー人の女の子と
やりとりしています。

でも、その
会話の中で
わからないことは
まだまだ、いっぱいなのです。

ところが、彼女の一言で、
私の閉ざした頭が
カパッと蓋を開けたのです。

10年程前、
相方さんと「結婚」なんて
微塵も考えてもいない頃です。

当時、私の関心事は、
異との出逢い」

私の教室は、

「誰でも自分のペースで学べる場、
 同じ空間で他人からも学べる場」

を掲げていました。

生徒は、普通の子だけでなく、
知的障害、自閉症、不登校など、
社会で生きにくい子たちも
来てくれました。

相方さんは、
そんな私が見学できるよう、
サーミ人の子どもたちも通う学校に
連絡を取ってくれました。

その校長が
さらに紹介してくれた学校は、
北欧の福祉に
世界から注目が集まった頃の方法を反省し、
支援のいる子と普通学級の子たちの交流を
新しい形で試みていました。

それは、私の教室理念とも重なり、
自信と勇気をもらったものです。

その記憶と思いが急に蘇ってきたんです。

「あの学校のその後が知りたい。
 できるのなら、
 あの学校で仕事がしてみたい」。

自分で驚くほど、
揺らぎのない思いでした。

しかし、ここで、
もう一つ、思い出しました。

「あ、私、
 A2しか持ってないんだった」。


聞き取り、読み、書き、話す。全てA2。
まったく適切な結果でした(#^.^#)

4年前の試験の結果は、全てA2。
小学校のアシスタントには、
B1レベル証明が要るのです。

今の力がA2レベルでないと思うけど
一体どのくらいの力なのか?

そこで、12月、
試験を受けることにしました。

目標は、B1でなく、
「小学校で
 アシスタントができる自分」
でしょうか。

いくつになっても、
こういう想いって、
湧いてくるものなんですねえ。

嬉しい〜!


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モルテ摘み!トラウマから解き放たれて

2023-08-15 | ノルウェーの自然
皆さん、ご無沙汰いたしました。
EDELの一人当番、無事終えました。

これが、できるようになったんだなあ。
なるもんなんだなあ、と乾杯しました。

さてさて、こちらでは、
ベリー摘みが始まりました。

一番早いのは、molte(モルテ)

でも、私はまだ沢山の
molte
摘んだことがなかったんです。
やっと
molte tur(モルテトゥール:モルテ摘み)に 
行ってきました。

● molte とは?

molteは、北欧北部地方にたくさん生えます。



形も色も葉の形も、
他のベリーとは違うでしょう。

ビタミンCがたっぷりで、
ビタミン不足になりがちな
寒冷地域の大切な恵み。
冷凍保存して、生で食べます。

molte の謎

molteの花は、
雌花、雄花が、
別々に生えます。
雌花、雄花しか生えない所もあるのです。

不思議なことに、
突然ある年に、一斉に、
雌花が雄花に一転したり、
雄花が雌花に一転することがあるそうです。
一面が雄花だけ。
実は、まったくつかない。
そんな現象が起こるわけです。
その逆もあるでしょう。
 
どうやって?
どうして?
 
それは未解明のままだそうです。

少年のトラウマ物語

私が
molte摘みに行けなかった理由の一つ、
相方さんのトラウマのお話です。

毎年、両親は、moltetur に
幼い子供たちを連れて行った。
molteは、湿地を好むため、
道からは遠く、
見つかるまで1、2時間は歩くもの。

摘んでは、また別の場所を探して歩く。
これが2日も3日も続く。
それは、湿原が広いからだ。

しかも、湿地は、
ぐじゅぐじゅと柔らかい。
歩きにくく、疲れやすい。

また、モルテの実は、
ふわふわと柔らかい。

摘んでバケツに入れるが、
重みで沈む。
摘んでも摘んでも、
増えた感が乏しい。

ある年、疲れ果てた少年はつまずき、
バケツの
molteは、
周りに飛び散った。

彼は、叫んだ。
それは、妹たちの代弁でもあった。

molteturなんて、大っ嫌いだ!
 2度と行くものか!」

トラウマを解き放った!

あの少年が結婚し、
molte 摘みに行きたい」と、
毎年、妻に言われる。

molte自体は、
実は、彼の大好物。

近場でも見かけるが、
いつもタイミングが合わない。

molteをたくさん摘んでいる友人に
場所を聞いても、内緒だって

しかし、
「今年は、豊作。
 そこらじゅうで摘める」
という朗報。

ついに
彼は、
トラウマを解き放つべく
Molteturに出た。



ブルーベリーはあっても、molteはない。
それにしても...
ブルーベリーの葉がもう赤いとは...



おー、間違いなく湿地地帯!
しかし、
すでに摘まれている・・・。

別方向にしばらく行くと、
「ほっ、ほーー!」



わおお、こんなに沢山。
初めて見た!



赤く固い状態は、
まだ摘んではいけません。
がくを摘んでしまうと、
数年、実がつかないのです。
実が熟すと、ポロッと採れます。
そこまで待たねばなりません。
これ、鉄則!



ブルーベリーも 今年はもう熟している!
ここで、休憩!



楽しいうちに帰る。
これが、今回のポイント!



ブルベリーなどは、隠れてる?という実の付き方。
でも、モルテは
「ここだよー!って」輝いてる。




800gもありました!
(3時間くらいのmolteturでした)
でも、実は、これ熟しすぎ。
今年が、暖かすぎたからでしょう。



クリームに 少しお砂糖をかけるだけ
これが、相方さんの好物。

「来年は、もっと早く行こう!」
ですって。
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