●中村麻美「天地人」原作挿画展より(その2)
「美術館にいく」。
これは、私の好きなことの一つ。
でも、会期中に足を運ぶのは、せいぜい二回。
それが、今回企画をさせていただいたおかげで、
「6日間、しかも長時間会場にいる」という体験ができました。
●私は、籠の中の小鳥
この度は、
連載小説「天地人」460回分の挿画から60点を展示。
連載小説の挿画の仕事は、
毎日のように期限とともに
FAXで原稿が送られるそうです。
毎日ですよ。
しかも460回分ですからねー。
本人曰く、
「私は、籠の中の鳥のようだったわ」。
(写真:「小鳥と南天」では、籠から小鳥を出してあげている)
「毎日する」というのは、私の教室で大切にしていますが・・・。
これは、大変!
でも、尊いこと。
だからこそ、これらの作品が見たい。
そう思ったのが、そもそもの始まりでした。
また、彼女にとって新聞連載小説の挿画は、初めての仕事。
これは「苦行」でもあったようです。
しかし!
挿絵原画のサイズ12cm×16cm。
この限られたスペースでの
斬新な色使い、大胆な仕掛け、勢いのある筆さばきは、
見る者にも心地いい!
小説家の想いと読者の心をつないだことでしょう。
●連続性ある挿画展だからこそ
彼女は、昔から何事にも誠心誠意こめる人。
一方、絵の中には、遊び心も生き生きと保たれていました。
一枚から伝わってくるというより、
連続性ある挿画展だからこそ、
バランスをもって伝わってくるんだ!
これは、発見でした。
●挿画展で見つけた答え
彼女の絵で、私が最初に惹かれた一枚の絵。
「小笠原流弓馬術」。
凛として唇を締め的を見つめ、矢を射らんとする武将の姿。
えー、いつの間に彼女は、こんな絵を描くようになったのー!?
どんな生き方をしてきたの?
その関心が、
今回の挿画展に至る一番のきっかけだったかもしれません。
来るもの拒まず、限られた中で渾身をこめる。
そんな彼女の生き方が、「小笠原流弓馬術」に凝縮されていたんだ。
これまた、挿画展をさせてもらって合点がいきました。
●「和の心」灯り始めた・・・?
挿画展の彼女の姿で、心に残ったこと。
和服姿の彼女は、90度のお辞儀をするのです。
そんな姿を目の当たりにすることは、私の近辺ではなかなかありません。
また、彼女は、感謝・礼を尽くすということを疎かにしません。
そういう彼女の仕事ぶりは、
次なる舞台をどんどん展開しているように思います。
今後の作品も楽しみです!
彼女の生き方・絵の核心にある「和のこころ」。
挿画展を終えた私の心に微かに灯り始めている・・・かな?
この灯火、大事にしていきたいものです。