すぎなの風(ノルウェー編)       ∼北欧の北極圏・トロムソから∼

北欧の中のノルウェー、
北極圏でも、
穏やかで住みやすいトロムソから
お届けいたします。

「星星の扉」は、やさしさいっぱいでした。

2009-09-24 | セミナー・イベント

●9月19日(土)「星星の扉」さつき里香・一人舞台より

芝居を見る前、「星星の扉」の意味が私にはわかりませんでした。

空にきらめく星星、

それは、この世もあの世も含めたあらゆるもの命のきらめき。

そして、そのきらめきにも扉がある。
その扉は、どうやって開かれるのか? 

これが、この芝居の隠しテーマだったのではないでしょうか。

私が初めて見る「一人舞台」。
どうやって一人三役をこなすのだろう?
伝えたいことをどのように伝えるのだろう?

そんな関心を持って、会場に向かいました。

●一人三役には、配慮がいっぱい!

さつきさんの舞台から最も伝わってきたのは、
「やさしさ」。

命ある一人一人へのやさしさ。
そして、見る人へのやさしさ。

さつきさんから「やさしさ」が、
静かに温かくにじみ出始めてきたのは、
介護の先輩佐々木さんとおばあさんとの会話を
そっとかなたが覗いているシーンから。

ここで面白かったのは、
覗いているかなた、
おばあさんの言葉を受け止める佐々木さん、
元気を取り戻してくおばあさん
この三役を移行する表現の工夫。

これには惹きつけられるものがありました。

ゆっくりと丁寧に・・・・
見ている者の混乱がないように。
しかも、静かな穏やかな空気を壊さぬように。
そんな配慮を感じました。

こればっかりは、見なくちゃわからないかも!

● 近づきたい!「共感」を携えて

自然な会話でありながら、
おばあさんの気持ちが和らいでいくのを目の当たりにし、
かなたは、初めて対応の参考書のようなものを開きます。

老人ホームの歌の指導係で、
過去に生きた歌の世界にしがみついているかなた。

「すぐにお茶碗を割るような乱暴で話しもろくにできない人」と、
認知症のハナさんをかなたは、ばかにしていました。

ある日、
そのハナさんが自分の歌に心で反応してくれていることに気づきます。

ハナさんが気になって、
事実を確かめたい。
ハナさんと近づきたい。

その一心からでしょう。

気をつけたい14か条や「共感」を心に留め、
かなたは、ハナさんの部屋に通います。

ハナさんが反応してくれた歌「ふるさと」を通して
何かが通じ合ったのでしょう。

しゃべることのないハナさんがお茶の場所を教えてくれて、
いっしょにお茶を飲んだひととき。

それがハナさんとの最後の思い出となりました。

●若かりしハナさん語る

ハナさんが亡くなった夜のこと。

ハナさんが夢に出てきて、大事なことを伝えてくれるのです。

若かりしイキイキとしたハナさんが幸せに過ごしていた思いを語り、
一気に心が粉々に砕けてしまったいきさつを 
年老いたハナさんが、語ってくれるのです。

お茶碗を割っていたのは、この心の傷から来ていたのでした。

心の傷をずっと引きずってはいたものの、
実は、それは夢とうらはらのものでもあったこと。

そして、かなたの歌で、幼き頃の温かい思い出が蘇り、
かなたが共感してくれたことで、気が楽になった。
そう伝えてくれるのです。

夢の最後の「またいつかお茶をしましょうね」が、なかなか効いていました。

それにしても、
年齢が推移するハナさんの演技は、お見事でした!

●人には、かならず理由(わけ)がある

人にはいろいろな過去がある。
今どんなに理由(わけ)がわらからないように見えていても、
過去も感情も消えはしない。

しかし、心の扉を開けることで、
その過去が違う意味をもたらしてもくれることもある。

人とのちょっとしたふれあいが、
その扉を開けるきっかけになることもある。

その時、人は輝ききらめく。

いくら理由がわからないように見えていても、
何か理由がある。
一人の人間として、そこに寄り添ってほしい。

若くてもお年寄りでも同じよ。
それを忘れないで。
 
私は、そんなふうに受け取りました。
さつきさんのしぐさ、指先、表情、声色、言葉・・・
すべてから、伝わってくるようでした。

説教じみた「教える」という臭いは全くありません。

ああ、こんなやさしい伝え方があるんだ。
それが、私には最もインパクトのあることでした。

●忘れ得ない舞台

私にとりまして、
子どもが通う小学校の校長先生の奥様で
インタビューをさせていただいた方が、
その時語っていた通り、本当に津で公演してくださったのです。

裏方、ボランティアと少し関わらせてもいただけて、
これまでにない忘れ得ない舞台となりました。

これだけの舞台を作るのにどれほど練習されたことか、
ピアノとのコラボの絶妙さ、
同じ衣装の違和感を感じさせない照明・・・・・
などたくさんたくさん、実に実に面白く見せていただきました。
チームの方々から元気も頂きました。


よく津で公演してくださいました。
ただただ、感謝するばかりです。

これからは、全国展開されていくとのこと。
陰ながら、応援しています!!

また津で公演していただける日をお待ちしています。

さつきさん、
舞台つくりの皆さん、
ボランティアにかけつけてくださった皆さん

ありがとうございました!!

 

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命に関わらないことは放っておく。

2009-09-23 | 縁側の日

 縁側の日

 月に一度
 中道和久さんをお招きして開いています。
 認知症に関心のある人、
 どなたでもどうぞ!

●9月2日(木)より

8月はお休みで、
2ヶ月ぶりの縁側の日でした。

この日は、素敵なお客様もありました。
「ふたたびのゆりかご」(発行:講談社)の著者・多賀洋子さんが来て下さったのです。

多賀さんにお会いしたくて参加された方もあれば、
何も知らずに参加された方もあり、
15人もの参加がありました。

なにせ、いつもライブの縁側の日です。
多賀さんが、ゲストなのか、一参加者なのかも
中道さんからお聞きしておりませんでしたが、
流れ的に、
まずは多賀さんのお話を聞かせていただくことになりました。

●デイサービスに行けるまでに4年!

多賀さんご夫妻は、
田舎でゆっくりと老後を過ごそうと胸を膨らませて
京都から引っ越してこられました。

ところが、
その頃から、ご主人の様子に異常が起こってきたそうです。

おかしいなと思いながら、
「認知症」という診断を受けデイサービスを利用できるようになるまで、
ほぼ4年。

そんなにも長い間!
と驚きましたが、よくあることかもしれません。

それまでの戸惑いと苦悩から安らぎへの道のりを
順序だてて、わかりやすくお話しくださいました。

本から受ける多賀さんの印象より、
実際にお会いした多賀さんの方がずっと穏やかで易しい語り口調でした。

こんなに穏やかな方でも
ご主人の「認知症」という事態を受け止め、
そのご主人とつきあうのは、大変なことなんだ・・・。

それは、当然のことなのですが、
私は、あらためて「認知症」の重さを想いました。

 
いくら一山超えて、笑い合えるようになっっているとは言え、
ご主人の症状は、
本を書いた頃からも進行しておられるのです。

楽しく生きる知恵を出す営みを試行錯誤していらっしゃる点では、
私たちと何ら変わりはないでしょう。
 
多賀さんが、いろいろな本を読まれたりして得た認知症の人と付き合うためのポイントをいくつか紹介してくださいました。

その中で皆さんの話題になったことから一つご紹介いたします。

●命に関わらないことは放っておく。

私も母と一緒におりますと、
理由はわからないが、「どうしてもダメ」ということが出てきます。

私の母の場合ですと、お風呂に入りたがりません。

母に限らず、認知症の人にありがちなことなのだそうです。

とにかく理由は、わからないのです。

私は、毎日毎日何とかお風呂に入るように、
あの手この手で誘いましたが、全くダメでした。

「お風呂に入るといいよ」と説得しても、全くダメ。

それで、私は疲れ果てて
「母をお風呂に入れさせる」ということは、あきらめたのです。

「お風呂に入らなくてもいいや。死ぬわけじゃないし」
そう思えるようになったんですね。

それからというもの、
私は楽になり、
母は穏やかになりました。

そして、デイサービスに行くようになり、
デイサービスではお風呂に入るようになりました。
かなりヘルパーさん泣かせですが・・・。

家では、よほどタイミングが合うと入ります。
それくらいだと、私も疲れるようなことはありません。

「命に関わらないことは放っておく」。

やりたいようにやりたいだけすれば、
次の行動へと移りますから、大丈夫です。

これを心得ておけば、
もっと楽になるご家族がたくさんあるのではないでしょうか。
 

 

  
 


 


 

 

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さつき里香さん 一人芝居のお知らせ

2009-09-07 | 教室

久しぶりのブログです。

ご無沙汰してしまいました。

朝夕は、めっきり秋らしくなりましたね。

 

今日は、皆さんにぜひお知らせしたいことがあります。

「星星の扉」 ~ さつき里香一人芝居 ~

9月18日(金) 18:30会場 19:00開演

9月19日(土) 13:30会場 14:00開演

             17:30会場 18:00開演

  当日・前売り:3000円

   ★チケットは、豊吉も預かっておりますので、おっしゃってください。

    総合文化センターチケット売り場にもあります。

●おかえりなさい、さつきさん!

さつき里香さんは、

私がインタビューさせていただいた女優さん。

すぎな通信55号で紹介させていただきました。

その時、

「いつか三重でも公演できたら・・・」

とおっしゃっていたのですが、

それが、この度実現されるのです。

 今は、千葉県にいらっしゃるというのに・・・。

 

待ってました!

おかえりなさい!

という感じです。

 

 ●歌あり踊りあり、若者からお年寄りまで

一人の若い女性が、

認知症のおばあさんと出逢います。

悩みながら生きていた彼女が見つけた希望とは?

 

テーマは、「認知症」に限らず、

悩みながら自分の道を歩む若者にもフィットするとか・・・。

「認知症」というと、つい重く受けとめがちですが、

歌あり、踊りありで、

一人3役もされるとか。

どのように表現されるのかが、とっても楽しみです! 

 

「認知症」を知っている人でも知らない人でも、

中学生くらいから大人まで見ていただける。

 そんなストーリーなのだそうです。

 

東京、横浜の公演から、時間をおいての公演です。

東京、横浜よりもうーんといい仕上がりになっているそうですよ!

 

ぜひ、一人でも多くの方々に見ていただけますよう

ご案内申し上げます。

 ★新聞にも掲載されました。

★里香さんのHPもご覧ください。

 http://www.satsukiss.com/

 

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