頑固爺の言いたい放題

森羅万象なんでもござれ、面白い話題を拾ってレポートします。

アメリカ人が主張する憲法改正

2018-04-07 16:21:26 | メモ帳

「日本国憲法は日本人の恥である」(ジェイソン・モーガン著、悟空出版)のタイトルを見れば、その内容はおよそ想像がつく。「アメリカがアメリカの都合のいいように作った日本国憲法を、なぜ日本は後生大事に守り続けているのか」だろう。

私はその内容よりもモーガン氏の経歴に興味を持った。すなわち、モーガン氏が「歴史研究家を目指しながら、日本に職を求めたのはなぜか」である。本の帯封に書いてある経歴は次のようである。

1977年生まれ。テネシー大学で歴史学を専攻後、名古屋外国語大学に留学、名古屋大学大学院を経て、中国の雲南大学に留学した後、ハワイ大学大学院で中国史を研究。卒業後韓国に英語教師として滞在後、再び日本に来て2014-15年に早稲田大学法務研究科で研究。2016年ウィスコンシン大学で博士号を取得、社団法人日本戦略フォーラム研究員を経て、現在麗澤大学外国語学部助教授。

経歴を読めば、モーガン氏はアメリカの歴史学界に居場所がなかったのではないか、という推測が成り立つ。そして、本文には次のような記述がある。

2014年、産経新聞はカリフォルニア州ロサンゼルスなどの高校の教科書に、「旧日本軍は約20万人の女性を強制的に慰安所で働かせた。逃げようとして殺害された女性もいる」という記述があることを報じた。とんでもない歪曲である。日本政府は州政府にその修正を求め、日本人有識者19人も出版社マックグロウヒルに是正を求めた。これに対し、教科書の著者は「言論と学問の自由を侵害している」と批判した。

当時ウィスコンシン大学の博士課程だったモーガン氏は、教科書の記述が誤っていることを指摘する論文をアメリカ歴史学界の機関紙などに投稿したのに対し、歴史学界はモーガン氏を異端と決めつけた。この騒動の結果、モーガン氏はアメリカでの就職活動が難しくなり、留学したことで馴染みがある日本で就職したのである。

アメリカの歴史学界は中国から提供された史料をベースとしているので、基本的に反日であるらしい。そして、誤った歴史を修正しようとすると、学界はDenier(修正主義者)と呼んで排斥するという。慰安婦像が増え続けるのは当然の成り行きであることがわかる。教科書が修正されなかったことは言うまでもない。

さて、モーガン氏の主張を本文から抜粋して引用する。

日本国憲法は日本国民が自らつくったものではなく、アメリカに押し付けられたものである。・・・そもそも憲法とは、「国の最高規範であり、根本規範である」とされ、当然その国の国民によって定められるべきものである。たとえ戦勝国であっても、それを押し付ける権利などない。それは国際法上も明確に定められている。

 

本国憲法は、2017年現在、現行憲法としては、施行されてから一度も改正されていない世界最古の憲法となっている。・・・日本国憲法をこれまで見直そうとしなかった日本の姿は“恥ずべきこと”と言えるのではなかろうか。

憲法改正反対派の人たちは、事あるごとに「平和憲法を守れ」「憲法第9条こそ世界に誇るものである」と口々に叫ぶ。私も理想論としては理解できる部分があるし、世界中の国がそんな憲法を持つようになれば、人類の未来はもっと明るいものになると思う。しかし、残念ながら、そんなことは絶対にありえない。

1955年に結党した自由民主党は、党の綱領に、「平和主義、民主主義及び基本的人権尊重の原則を堅持しつつ、現行憲法の自主的改正をはかり」と明記した。つまり、「憲法の改正」である。しかし、国民の間で議論は進まなかった。

それから60年が経過した今、安倍首相が憲法改正を推し進めようとしている。私は、この安倍首相が進める憲法改正の動きこそ、日本国民が大きく変わっていく国際社会の中でどう生きていくかを決める第一歩になると思っているし、GHQの洗脳によって奪われた国家観をもう一度取り戻してほしいと思っている。

アメリカが押し付けた憲法であっても、それが日本にとっていいものであれば、修正する必要はない。しかし、現行憲法は世界の政治情勢とあまりにも懸け離れたものになった。モーガン氏の主張はケント・ギルバート氏などの主張と同じであり、目新しいものではないが、こうした正論がアメリカ人の中から、それも歴史家の中から、出てきたことは、改憲派として心強いことである。