いつ頃からか記憶にないが、意外なことに対して“ウソ”と表現するようになった。例えば、マンションのエレベーター内での会話。
「お寒ございます」
「はい、天気予報だと夜は雪になるそうですね」
「ウソ!」
これに対して、「いや、嘘じゃありません」と返しそうになったが、それでは適切ではないと思い、その返事は口の中で飲み込んだ。
先般、エンゼルスの大谷選手が三試合連続でホームランを打った時、TVのニュースはアメリカの実況放送の画面を写し出し、その翻訳文を画面の下に表示したが、そこには“ウソ”とあった。多分、アナウンサーは“新人が3試合連続でホームランを打つとはUnbelievable です”と言ったのだろう。
洋画を見ていて、登場人物が “Unbelievable!”と言うと、日本語字幕には“ウソ!”と表示される。“信じられない”では駄目なのか。ちなみに、“Oh, my God!”も“ウソ!”と訳される。翻訳者は自分が日常使う言葉を使って翻訳するのだろう。
私には“ウソ”は非常に聞き苦しいのだが、そう感じるのは私だけなのか。辞典を見ると、“嘘”の項目には“真実ではないこと”“本当ではないこと”などがあるが、“信じられない”という意味は記載されていない。
“信じられない” ことを“ウッソ”と表現するのは、中学生(それも女子)程度の、知能レベルが未成熟の人たちだけかと思っていたが、今やその愛用者は着実に増えつつあるようだ。私にはその事態そのものが “ウッソ”である。