頑固爺の言いたい放題

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価格破壊が進行する温泉宿業界

2018-12-08 15:33:00 | メモ帳

● 低価格で集客する「大江戸温泉物語」グループ

熱海伊豆山温泉は前面に相模湾、左手に真鶴半島、右手に伊豆半島、正面に大島、その手前に初島を望む全国でも指折りの絶景の地。ここにある水葉亭は1年ほど前、「大江戸温泉物語」グループの一員となって、装い新たに営業を再開した。 

http://suiyotei.ooedoonsen.jp/

熱海温泉の相場水準からすれば、水葉亭の宿泊料金は一泊2食で15,000円(ウィークデー、税込)程度が適正と思うが、高くても9,000円、時には7,500円という低価格(山側の部屋はさらに安い)で集客している。但し、食事はバイキング形式のみ。

安値で集客し、ほとんど毎日満室になるから、バイキング形式の食事提供に無駄がない(食べ残しが少ない)。人手不足に悩む業界としては、最適のビジネスモデルである。

単価を下げて数でこなす方式は、水葉亭に限らず「大江戸温泉物語」グループ全店に言えることで、共通のビジネスモデルを構築した。そして、それぞれの存在が宣伝媒体となり、相乗効果を生み出している。

 ● 異業種参入した「ゆめやど」

「ゆめやど」は通信販売の大手「ベルーナ」が運営する温泉宿紹介サイトである。通販で構築した顧客ベースを温泉宿の集客に活用しているのだ。理に適った拡大戦略である。

「ゆめやど」の経営戦略は非常にユニークである。ほとんどの宿泊施設はその名前で検索すると、「楽天」とか、「ヤフー」とか、「るるぶ」といった紹介サイトの中に見つかる。しかし、ネットで見つかるサイトからは「ゆめやど」グループの宿を見つけて予約することは難しい。

例えば、「ヴィラージュ伊豆高原」で検索して出てくる紹介サイトでは、素泊まりおよび朝食つきの宿泊プランは示されるが、2食つきのプランは出てこない。「ヴィラージュ伊豆高原」の公式サイトでも同様である。

https://www.yumeyado.jp/yado/1323

だから、「ヴィラ―ジュ伊豆高原」に予約するには、「ゆめやど」のサイトから入るか、電話するしかない。「ベルーナ」の衣料・健康補助食品などの注文受付でも、顧客に年配者が多いためか、ネットよりも電話予約に重きを置いているように見受ける。

予約の方式はともかく、「ゆめやど」で紹介される宿泊施設は値段がかなり安い。上に掲げた「ヴィラージュ伊豆高原」は部屋の面積が80平米でかなり広いが、料金は9,800円(税込)とかなり安目である。このホテルは来週に行くので、改めてご報告する。

ちなみに、私が10月に宿泊した熱川温泉のホテル・セタスロイヤルも「ゆめやど」グループであり、全室オーシャンビューで料金は約9千円。これもかなり割安だった。

さて、「ゆめやど」には謎がある。それは、「ゆめやど」に参加している宿泊施設は「ゆめやど」を専属の集客窓口としていること。しかし、「ゆめやど」だけに集客を任せて、十分集客できるのだろうか。もっとも、これは客が心配することではないが・・・。

ともあれ、「大江戸温泉物語」にせよ「ゆめやど」にせよ、共通する点は安値で集客し、経営効率を高めていること。消費者にとっては大歓迎だが、同業者にとってはさぞ迷惑なことだろう。