来年10月から消費税が8%から10%にアップするが、年間売上1千万円以下の事業者は消費税納付を免除されており、このような小規模事業者にとって増税は無関係か、むしろ有利になる場合もある。
そのいい例が年間売上1千万円以下の月極駐車場の経営者である。その経営者をA氏とする。A氏はこれまで月1万円の使用料に係る3%→5%→8%の消費税アップを、その都度、名目上の使用料を値下げする形で対処してきた。例えば、消費税が8%のときは、顧客に対して駐車場使用料が9,200円、消費税800円、合計1万円の如くに説明してきた。しかし、消費税は納付せず、A氏の特別利益として計上してきたから、いずれの場合でもA氏の手取りは1万円だった。
だから、消費税が10%になっても使用料本体を9,091円、消費税を909円、合計1万円としてもいい。もちろん、909円の消費税は納付しないから、A氏の手取りが1万円であることに変わりはない。・・・選択肢(1)
冒頭に「消費税増税は無関係か、有利になることもある」と述べたが、それはこの選択肢(1)のことである。
一方、A氏の同業者はこれまで消費税をそのまま顧客に転嫁してきているので、同業者と同様に対処しても客が減らぬと判断し、10%になることを機会に消費税をすべて顧客に転嫁することを検討中である。すなわち、使用料本体が10,000円、消費税が1,000円、合計11,000円にする。つまり値上げである・・・選択肢(2)
A氏が選択肢(1)を選ぶか(2)を選ぶかは周囲の同業者の動向を見極めてからでいい。なお、駐車場業者の中には賃貸アパートに附属する駐車場を賃貸している業者も含まれ、この業者はかなり多い。
では小規模飲食店の場合はどうなるか。飲食店の場合は、仕入れる食材に消費税がかかるから、駐車場の場合よりも計算が複雑になるが、考え方は同じである。