頑固爺の言いたい放題

森羅万象なんでもござれ、面白い話題を拾ってレポートします。

北方四島問題:産経新聞対駐日ロシア大使の論争

2019-02-09 11:40:04 | メモ帳

産経新聞と駐日ロシア大使の間で進行している論争が興味深い。

産経新聞の斎藤勉論説顧問が最近の講演で語った内容が産経新聞に掲載された(1月25日)。その要旨は次のようである

プーチン政権はクリミア半島を奪い、グルジアに侵攻するなど国際法違反を犯している。民主国家だというが、体質はソ連時代から変わっていない。北方領土については紛争ではなく、独裁者スターリンの指令による国家犯罪だ。日本のポツダム宣言受諾後、四島に入り込み、火事場泥棒的に強奪した。

(頑固爺所感:前半のクリミア半島とグルジアに関する部分はよくわからないが、後半はその通りである。ロシアの指導者はこの一件をロシア国民から隠蔽してきたので、こう明らさまに言われては立場がない。だから、「返還交渉の前提は、日本が北方四島は戦争の結果ロシア領になったことを認めること」と主張しているのだと思う。つまり、北方領土(四島にせよ、二島にせよ)を返還するのであれば、それはロシアの恩情によるものだという形にしたいのだろう。)

この記事を見て、ガルージン駐日ロシア大使は次のように反論した(2月8日付産経新聞)。

斎藤勉論説顧問によるロシアに関する不快な記事に対して、断固として反論する。あなたは1945年に対日参戦したロシアを非難するのか。完全に合法的に行われた南クリール(北方四島のこと。筆者注)獲得を「犯罪」と呼ぶのか。あなたは歴史の教科書を開き、注意深く最後まで読むことをすすめる。そうすれば、第二次世界大戦時に日本がナチスドイツの同盟国だったことを想い出していただけるだろう。そう、日本は最も罪深い犯罪者であるヒットラー政権と同盟していたのだ。(中略)

人間性を犯すこうした罪により、ナチス幹部はニュールンベルグ裁判の判決により罰せられた。斎藤さん、あなたはこのことを忘れてしまったのだろうか。・・・そしてあなたのような人にとっても、当時の日本の行いについて悔い改めるにはまだ遅くはないと考えるのである。

(頑固爺所感:これには呆れた。ガルージン氏は痛いところに反論できず、問題点をすり替えた。韓国がレーダー照射を低空飛行問題にすり替えたのとよく似ている)

この発言に対し、斎藤氏は2月8日の産経新聞紙上で反論した。その要旨は次のようである。

失礼ながらまともな反論とは言い難い。「完全に合法的に行われた」というが、その証拠を示していない。・・・「同盟国」ゆえに日本もナチスと同じ犯罪者だというのか。・・・戦後、60万人もの日本人がシベリアに抑留され奴隷同然に酷使されたことは犯罪ではないのか。

斎藤氏の主張は正論である。しかし、日本政府がこうした強い態度に出ると、ロシアは平和交渉締結を先送りするだけだろう。だから、安倍首相はとりあえず四島でなく、二島返還で妥協しようとしているのであり、それはやむをえない措置だと思う。

さて、ガルージン氏は再度反論するだろうか。ガ氏は反論すればするほど窮地に追い込まれるのではなかろうか。頑張れ、産経!