頑固爺の言いたい放題

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韓国の近代史を正しく理解した韓国人

2019-02-19 11:26:46 | メモ帳

韓国の歴史歪曲・捏造を批判するとともに、明治維新以降の日本の業績を称えた韓国人による著作がある。“親日派のための弁明”(金完燮キムワンソブ著、2002年、草思社)がそれである。

この著作は元々韓国人を対象として、韓国語で出版されたのち、日本語に翻訳された。現在、この著作は韓国では発禁処分となっているらしい。同書の序文に著者の基本的思想が簡潔に記されているので、以下にその抜粋を引用する。なお、下線は私(頑固爺)が施したものである。

韓国人にひろがっている反日感情の根本には、歴史学者たちによる恣意的な捏造と歪曲があり、これに基づいた強力な反日教育と民族イデオロギー策動がある。1905年以降、日本にとっての朝鮮は植民地というより拡張された日本の領土という意味合いがより大きかった。・・・大陸への入り口という地政学上の重要性のために、むしろ本土以上の投資を行い、産業施設を誘致するなど破格の扱いをした。(P.14)。

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朝鮮にきて苦労して農地を改良し、事業を興した日本人のなかには、朝鮮に近代文明を伝播し、朝鮮をすみやかに開発して日本と同じ水準に引き上げ同化しようという、よき意図をもった人も多かった。

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日本と合併することだけが、朝鮮の文明開化と近代化を達成できる唯一最善の道であった点については、当時朝鮮の志ある改革勢力にあいだに暗黙の合意があったと思われる。(P.15)

この部分は、日本による併合以前、朝鮮では極度の貧困から脱却しようとする複数の革命勢力が別々に活動していたが、いずれも力不足で、日本の助力が必要だと自覚していたという意味だと解釈する。

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韓日保護協約締結を主導し、朝鮮の初代統監となった伊藤博文は、政治的、財政的に日本に負担となる朝鮮合併を望んでいなかった。合併は一進会など朝鮮の革命勢力が要請したことであった。安重根(アンジュングン)の伊藤統監暗殺により日本の世論は急速に合併に傾いていったのだから、安重根は自分が望むのとは反対の「愛国」を実現したわけだ。

日本の統治におり朝鮮は多大の発展を遂げた。30年余りのあいだに1,000万人たらずだった人口が2,500万人に増え、平均寿命は24歳から45歳に伸び、未開の農業社会だった朝鮮は短期間のうちに近代的資本主義社会へと変貌した。(P16)

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日本は朝鮮との分断を望まなかった。戦後の独立の過程で、最低限、朝鮮半島とは統一国家を維持するべく努力したが、力のない敗戦国の主張は聞き入れられず、分断が固定化してしまった。アメリカとソ連はそれぞれ南北朝鮮を分割・占領したのち、みずからの傀儡を統治者として座らせ、衛星国とした。(P.18)

下線の部分は、1945年の降伏当時、日本は朝鮮統合を続ける意思を連合国に表明したということになるが、そんな話は聞いたことがない。頑固爺の不勉強か?

韓国人が日本人にたいして無礼に振る舞うということは、すでに国際社会で知られた事実であるから、韓国の桁はずれの反日感情は、国際社会における韓国のイメージを損ねることになるだろう。国内にいるとこのような雰囲気を推し量ることは難しいが、海外に出てみれば韓国が孤立していることはすぐにわかる。(P.20)

著者は2年間、オーストラリアに居住したことがある。

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開国期の朝鮮の歴史を眺めれば、朝鮮革命は多少外部勢力のなすがままに振り回された被侵略の歴史ではなく、朝鮮内部の革命勢力がみずからの意思で遂行した、主体的な変革の過程だったことがわかる。日本と朝鮮の革命家たちは、朝鮮王室とそれに取り入って革命を妨害する外部勢力と対抗しながら、30年のあいだ粘り強くブルジョワ革命を推しすすめた。朝鮮の文明開化は、かれらの血と汗の結晶なのだ。

「朝鮮王室とそれに取り入って革命を妨害する外部勢力」の「外部勢力」とは、清国とロシアを指すものだろう。「革命を推しすすめた」のは100年前の1919年3月の暴動までであり、その後は革命活動は鎮まったのだから「30年のあいだ粘り強く」という表現は正確ではない。1920-1945年の25年間は、国民の所得が増加し、近代化によって生活水準も向上したために、独立運動の意義が薄れ、独立運動は消滅した。しかし、韓国人は日本の敗戦によって棚ボタ式に独立したのではなく、自力によって勝ち取ったことにしたい。これは歴史歪曲派のみならず、著者も含めたすべての韓国人の願望である。

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日本は明治維新以後、多くの偉業を成し遂げ、日本だけでなく人類の歴史にも多大の貢献をした国である。このように輝かしい歴史をもっている日本が、いちど戦争に負けたために自分たちの歴史にプライドを持てず、みずからを虐げている現実は悲しく、もどかしいこときわまりない。(P-21)

この部分は、戦後日本の自虐史観を批判しているのだが、アメリカ人のケント・ギルバート氏、台湾人の黄文雄氏も同じことを指摘している。頑固爺も同感である。

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革命をとおして非ヨーロッパ地域で、最初に近代的な社会制度を構築し、自律的にブルジョワ革命を完遂した日本の明治維新は、世界の歴史上、十分に奇跡といえるものだ。そして、それ以降の日本の東アジア進出は、西洋帝国主義の侵略とはちがって搾取と収奪が目的ではなく、革命と近代精神を伝播しようとの意図が前提となっている。このような点において十分正当性をもちうる。日本帝国は朝鮮と台湾で民衆を抑圧する旧体制を清算し、近代的な法の統治を実現させた。その結果、日本が統治する地域の住民は文明の洗礼を受け、より人間らしい暮らしを享受できたのである。

前後の文脈から判断して、「日本の東アジア進出」とは、朝鮮半島、台湾、満州の支配を指すと解釈する。

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韓国社会で野放しにされている、このような破廉恥な歴史歪曲と反日策動は、結局は韓国を東アジアの孤児にするだろう。そしていつかはだれもが忘れたいと思う恥ずべき過去となり、歴史の傷跡として残るだろう。(P.24)

こうなってくれることを願うが、この著作が発表されて以来17年、「歴史歪曲」と「反日策動」はますます激しさを増している。残念ながら、金完燮氏の認識は楽観的だったと言わざるを得ない。ところで、金氏は今56歳のはず。まだまだ活躍できる年齢だが、韓国で今どうしているだろうか。迫害されていないことを祈る。