前回、ジュネーブで開かれるシンポジウムで落星台経済研究所(ソウル)の李宇衍(イウヨン)研究員が「朝鮮半島出身者の労働条件は日本人のそれと差がなかった」とする発表を行う予定であると報じた産経新聞(7月2日)の記事を取り上げた。
そして、産経新聞は7月3日、同シンポジウムにおける李氏の発表を過去形で報じた。その記事には、李氏の「韓国では民族主義が高まり、何でも日本のせいにする現状がある。過去を率直に見なければ、社会の成長に結びつかない」という談話も掲載されていた。ただし、その記事の見出しは「軍艦島の誤解『悲しい』、元島民ら国連シンポジウムで訴え」であり、李氏の発言はこの記事の後半である。なお、このシンポジウムは民間団体の「国際歴史論戦研究所」(所長・山下英次大阪市立大名誉教授)が主催したものである(産経新聞)。
実は、私は李氏が徴用工の嘘を暴いた講演の記録を数週間前にYouTube にみつけ、そのURLを記録してあった。そして、たまたま今回の産経新聞の記事にその名前を見つけたというわけだ。前回と重複するが、そのURLは次の通りである。説得力ある説明なので、ぜひご覧になって頂きたい。
https://www.youtube.com/watch?v=5h5DInKFTjI
さて、このシンポジウムを報道したのは産経新聞だけである。徴用工に関する嘘がばれると、韓国裁判所の判決が否定されることになり、韓国は国際社会で信用を失う。これは韓国にとって致命傷になるだろう。
この問題は、日本の半導体関連素材の事実上の禁輸に発展しているが、韓国人は日本の措置を裁判で負けた腹いせと受け止め、反日意識がさらに高まることが予想される。しかし、徴用工に関する情報が嘘だったということになると、活動の勢いを多少殺ぐことになるのではないか。
こうした観点から、私はこのシンポジウムの一件は、日本の国益にかかわる重大なニュースであると考え、産経新聞以外の大手紙も追従報道し、その記事を韓国メディアが取り上げることを期待していたが、そうはならなかった。今回に限らず、日本のマスコミは産経新聞を除いて韓国に妙に遠慮深いように感じる。
また、韓国のマスコミもこのシンポジウムについて報じるのではないかと期待し、韓国大手紙のネット日本語版に注意していたが、見当たらなかった。つまり、韓国の大手紙はこのシンポジウムの一件を意図的に隠蔽したと思われる。
産経を除く日韓の大手紙が、情報隠蔽に共同作戦を行ったとは思っていないが、結果的にそうなったのは残念である。
ところで、半導体素材の禁輸についてだが、韓国企業は迂回輸入のルートを構築中だと想像する。つまり、いったんいずれかのホワイト国に輸入してから、韓国に再輸出するのである。和牛の輸出先ナンバーワンは、カンボジャであるのと同様のことが起きるのではなかろうか。