「朝鮮出身の帳場人が見た慰安婦の真実」(崔吉城著 ハート出版 2017年11月)という著作がある。この原本は「或る慰安所の帳場人の日記」で、1943-44年ごろシンガポールやミャンマーで日本軍の慰安所の管理人をしていた朝鮮人(朴チグン)の日記である。この著作に関し、ソウル大名誉教授の李栄薫(イヨンフン)氏が韓国語で解説している動画があるので、ご覧頂きたい。
この講義のキモは、慰安婦は「性奴隷」ではなかったことを明確にしている点である。
(1) 給料が通常の職業ではありえない巨額であること。
(2) 給料を前借りして2年契約の仕事に就き、期間満了の時には前借りを完済して、貯金または故郷への送金もしていること。
(3) 客が少ないと悲しみ、多いと喜んでいること。その理由は、客の多寡は収入に直結するからであろう。「性奴隷」なら、この逆になるはずである。
(4) 休日には映画を見にいくなど、行動が自由だったこと。
(5) 慰安婦募集の新聞広告が残っていること。
本著作によれば、慰安婦たちは日本軍の管理下に置かれていたことが明らかだが、これは重要ではない。なぜなら、この点は日本政府も認めていることであり、それが2015年における朴大統領時代の「日韓慰安婦合意」に示される日本政府の譲歩につながった。
気になる点は、李栄薫氏が「女性たちは騙されて連れてこられた」と述べていること。しかし、「騙された」は論理的に成立しない。その理由は、巨額の前借りをしていたこと、そして募集時に提示された給料が普通の職業ではありえない高額であったことから、いくら世間知らずでも、どんな職種であるかは想像できたはずだからである。ただし、親が商談に臨み、金銭を受け取って、娘には嘘を言って騙したということは考えられる。
李氏の論理性に欠ける説明の背景には、韓国では拉致がなかったとは明言できない事情があるからではないかと思う(後述)
https://www.youtube.com/watch?v=1fGampvrKGE
この李氏は2004年にTV番組に出演した時に「慰安婦は強制連行されたのではない」と述べたことから、韓国社会が大騒ぎになるハプニングが起き、同氏に非難が殺到して、結局李氏はナヌムの家(慰安婦たちの合宿所)を訪ね、膝を屈して元慰安婦たちに謝罪して事態が収まった経緯がある。その事件が今なおトラウマになっているのではないか。
ところで、このブログで最近徴用工に関する嘘の件で数回取り上げた李宇衍氏は落星台研究所の研究員だが、そのグループを率いているのがこの李栄薫氏である。
さて、李栄薫氏が動画で語っていることは、われわれ日本人にとっては、さほど目新しい情報ではない。「あぁ、そうだっただろうね」で終わりである。注目すべき点は、この情報が韓国発であり、韓国人はいつでも見ることができることである。こうした真実を語る情報がネットで韓国人社会に拡散すれば、反日の動機がそのぶんだけでも消えることになる。日本の名誉を守る見地からも、こうした良識派の努力が実ることを期待する。