ハーバート大学のラムザイヤー教授による慰安婦に関する論文が、韓国と米国で論争になっている。3月1日の中央日報(日本語版)の記事を引用する(赤字)。
「日本軍慰安婦は売春を強要された性的奴隷ではなく、利益のために日本軍と契約を結んで売春をした」と主張したマーク・ラムザイヤー米ハーバード大ロースクール教授が自身のミスを同僚教授に認めた。・・・
ハーバード大ロースクールの韓国系のソク・ジヨン終身教授は26日、米時事週刊誌ニューヨーカーへの「慰安婦の真実を探して」と題した寄稿で、ラムザイヤー教授の主張の問題点を指摘し、彼と交わしたメールと対話の内容を公開した。ソク教授はこの事件について「学問的自由には正しい証拠を提示する責任が伴うべきだという強い世論が形成された」と評価した。ラムザイヤー教授は自身の論文「太平洋戦争の性契約」で、慰安婦問題を「売春業者」と「予備売春婦」の間の契約行為と規定した。
しかし学界では、韓国の慰安婦被害者が作成した契約書を提示できなかったという指摘が提起されてきた。ソク教授は「ラムザイヤー教授の論文の脚注を調べた結果、戦時慰安所の韓国女性に関する契約内容がなかったうえ、該当契約を記述した2次出処もなかった」と指摘した。
これに対しラムザイヤー教授は「韓国人女性の契約書を確保すればよいと考えたが探せなかった」と認めた後、「あなたも探せないのは確実だ」とソク教授に話したという。
要するに、ラムザイヤー教授が「慰安婦は契約に基づく売春行為によって収入を得た」と主張したのに対し、この韓国系の教授は、「契約書が論文中で提示されていないことは、ラ教授のミステークだ」と主張し、ラ教授はそのミステークを認めた、ということになる。
爺が思うに、この論争は馬鹿げている。仲介業者が娘を売り渡す親と契約書を交換したとは思えないからだ。現金を手渡せば、それでおしまいである。また。売春婦が売春宿の主人と労働条件を定めた契約書を交換したとも思えない。
したがって、契約書が見つからなかったことが論文の欠陥ということにはならないし、ラ教授が謝罪する必要もない。この韓国系学者の狙いは、ラムザイヤー論文に契約書が提示されなかったことを理由に、論文そのものを葬り去ることだと推測する。ラ論文は慰安婦の拉致がなかったことを証明しているから、是非ラ教授には踏ん張ってほしいものだ。
と、考えていたら、シンシアリー氏のブログに、「反日種族主義」の共同執筆者であるイ・ウヨン氏の論文「契約はあった」の全文が記載されていたことを知った。韓国の「ペンとマイク」というメディアに掲載された論文をシンシアリー氏が日本語に翻訳したものらしい。
このイ氏の論文の核心部分は次のようである(赤字)。
●合意の内容を文書で残す欧米と違って、当時の韓国では口頭契約に依存していた。・・・たとえ文書による明示的な契約ではないとしても、親は娘がどういう仕事をするか知っていた。これは一般的に言う契約にほかならない。
●慰安婦は「性労働者 (sex worker)」だった。・・・行為者が一定のパターンに基づいて行動したなら、それは当事者が契約に基づいて行動したものであり、契約が存在したことを意味する。
まさに正論である。ラ教授はこのように反論すべきだった。同教授がこの論文の英訳を読んでいることを願う。
また、イ氏の論文には次のような記述もある。
●(慰安婦は拉致されたという)国際機関の報告書は、そのすべてが元慰安婦と吉田清治の証言、日本軍文書、河野談話を論拠として提示した。
●河野談話は、ほとんどの人が「被害者と加害者の証言があり、これを客観的に立証する日本軍の文書があると確信した中、日本政府が窮地に追い込まれたまま作成したものである。しかし、1993年以降はその日本軍文書は「強制連行」とは無関係であることが証明された。
●吉田清治の告白は彼の捏造であり、それを集中的に報道した朝日新聞はその誤りを認め謝罪した。慰安婦拉致に関して、証拠が山のようにあるがごとくに見えるが、実際には元慰安婦の証言だけが残っているのだ。
ここに述べられていることは、われわれが既に知っていることだが、韓国人は知らないから、この記述は価値がある。
さて、在米韓国人団体が、<change.org>という請願サイトで三菱製品の不買運動を呼び掛けているという情報がある。ラ教順は三菱重工がハーバートに提供した基金によって設けられた講座の教授に任命されたことを根拠に、三菱ボイコットを呼びかけているらしい。
このように、ラ教授の論文は米韓両国で多くの話題を呼んでいるが、なぜか日本のマスコミ(産経除く)は沈黙を保っている。
ところで、上述のイ氏の論文には“河野談話は誤りである”という意味の記述がある。次回はこの河野談話について考察する。