このブログで3月2日、「ラムザイヤー教授が謝罪」というタイトルで、同じハーバード大学の韓国系教授が「ラムザイヤー教授の論文には契約書が提示されていない」と批判し、同教授が謝罪した、と述べた。その後の経過について、まず事実関係を報告し、最後に爺の見解を述べる。
●ハーバード大学の同僚教授の批判に追従して、韓国の保坂雄二前世宗大学教授*など36人の学者たちも同様の声明を発表した。その声明から引用する(赤字)。出所は韓国のメディアウオッチ。
日本軍慰安婦問題に性契約自体が存在せず、すべての女性が連れていかれたり、他の名目で騙され連行され、逃げられない環境で性奴隷になるしかなかったのが歴史的事実だ。・・・
ラムザイヤー教授は日本政府と日本軍が介入しなかったと虚偽の主張をし、業者と女性がお互いの利益のために性契約を結んだという虚偽に基づいた論文を書いた。彼の論文を通じ、日本の売春業者の状況を拡大解釈して、日本軍慰安婦が全員売春婦だったと言い張る致命的なミスを犯した。
(注)保坂祐二の経歴:1956年生まれで東京出身。東京大学工学部に入学後、中途で韓国の高麗大学に転じて卒業。1998年に世宗大学教員となり、2003年帰化するも、日本名を選択した。独島(竹島)研究の専門家で、現在世宗大学独島綜合研究所所長。
●キム・ビョンホン国史教科書研究所所長が「保坂前教授が編集した本『日本の慰安婦問題の証拠資料集1』で慰安婦業者が作成した契約書の内容が明確に確認された」と述べた。実際に、その本には契約年限と契約金、労働場所、違約時の履行事項などが具体的に示されている。
●ハーバード大学の校内新聞ハーバードクリムゾンは3月8日、その論説で、「第2次世界大戦前後で、旧日本軍が最大20万人の慰安婦を性奴隷として働かせて、生存者の証言が数十年間続いた」、「ラムザイヤー教授の論文は実在的根拠がない」などと述べた。(出所:中央日報)
【頑固爺の見解】
キム・ビョンホン氏の指摘は、「契約書を提示できなかった」ことでラムザイヤー論文を無価値と批判した保坂祐二らの主張が誤りであることを示す。しかも、それが当事者である保坂祐二が編集した本にあったことはまことに皮肉である。
しかしながら、ハーバード校内新聞の論説の趣旨から判断して、この援護射撃は結実しなかったと考えざるをえない。
すなわち、その論説にある“20万人が性奴隷にされた”という部分から判断して、同大学の韓国系教授の意見をそのまま採用したものと思われ、これがハーバード大学の統一認識になった感がある。言うまでもないことだが、その韓国系教授は韓国側の意向に沿って発言したものと思われる。
ラムザイヤー論文は最近までネットでは閲覧できたが、今では削除されており、同論文を掲載したInternational Review of Law and Economics 誌3月号はいまだに発行されていない。こうした状況から、ラムザイヤー事件は既に決着したと考えられる。
ラムザイヤー論文は慰安婦の拉致を否定するものだが、それでは韓国の裁判所や市民団体の主張が根本的に覆るため、韓国側が必死の巻き返しを図ったのだろう。そして、残念ながらその巻き返しは成功した。
真実を語ったにもかかわらず、それが否定され、嘘がまかり通る結果となり、ラムザイヤー教授はさぞ口惜しかろう。
日本のマスコミはこの事件の顛末を十分知っているはずだが、なぜか沈黙を守っている。特に、慰安婦拉致の嘘を長年拡散してきた朝日新聞はこの事件をどう認識しているのか。聞いてみたいものである。