3月18日に読売新聞を開いたら、第6面に“米 アジア系ヘイト急増”という見出しをつけた大きな記事があった。そして、小さな見出しで“ジョージア6人射殺、動機を捜査”とある。
記事の内容は、「アトランタ近郊にあるマッサージ店で、女性8人が銃撃されて死亡。その内の6人はアジア系。犯人は白人男性で、NYタイムスはその動機を“人種的ではないかとの懸念が高まっている”と報じた」である。そして、各地でのアジア人に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)の実例を挙げて、この事件をヘイトクライムの一環であるかのように論じている。
つまり、犯行動機はヘイトクライムではないか、というNYタイムスの推測を引用し、見出しを“アジア系ヘイト急増”として、記事全体を“ヘイトクライムへの恐怖”という視点でまとめている。
この記事はヘンだ。コロナが絡んだ中国人へのヘイトなら、中國料理店など中国人が集まる場所を狙うはずだが、それがマッサージ店だけが狙われたというのは解せない。マッサージ店の実態が売春宿であることは衆知の事実であり、犯行動機はセックスが絡んでいると判断すべきではないか。そして、被害者は各地のマッサージ店の実状から考えて、韓国女性ではないか。
と思いつつ、産経新聞を見ると、読売より小さい扱いで、「米 銃撃相次ぎ8人死亡」という見出しで同じ事件を報じ、犯行動機として「米国ではアジア系住民に対するヘイトクライムが多発している」と述べている。つまり、読売の報道と大同小異である。
そこで、朝日新聞のネット版を見ると、犯行動機は「性依存」とある。犯人は動機について「ヘイトではない」と自白したらしいから、朝日の報道が正しいと判断する。しかし、被害者の人種には触れていない。
次に毎日のネット版を見ると、犯行動機はやはり「性依存」であり、被害者は韓国人となっている。これで、クロスワードパズルが全部埋まったような感がある。
では、韓国の新聞はどう報じたか。朝鮮日報、中央日報、ハンギョレ新聞の3紙を調べたが、いずれもこの事件をヘイトクライムという視点で報じている。そりゃそうだろう、“慰安婦たちは拉致された同情すべき女性たちだ”と主張している手前、現代の韓国女性がアメリカで自発的に売春しているとは言いたくないことはわかる。
話を日本の新聞に戻す。読売と産経は米国でアジア系に対するヘイトクライムが頻発しており、さらにNYタイムスがそのように報じたことで幻惑され、ヘイトに焦点を当てたのだろう。
しかし、産経は本日(19日)再度この事件を取り上げ、犯行動機は「性依存症」と報じている。昨日、早まって動機をヘイトとしたことの修正をしたということだろう。それでも、被害者の人種には触れていない。朝日は当然だとしても、読売と産経も被害者が韓国人であることを隠している。そして、マッサージの実態が売春であることも報じていない。それでも「性依存症」とあれば、“頭隠して尻隠さず”も同然なのだが(笑)。
念のため、本日の韓国の各紙をチェックしたら、中央日報とハンギョレ新聞は動機を「性依存の可能性」があるとはしつつも、ヘイトの可能性もあるとしている。なんとかして、犯行動機をヘイトにしたい意図が窺える。
それでも、両紙とも被害者たちが売春婦だったとは述べていない。米国では、マッサージの実態が売春であることを多くの韓国人が知っているはずだが、それでも「売春」は隠したいらしい。
教訓:新聞は必ずしも常に真実を報じるとは限らない。と、今頃気づくのは遅すぎる?(笑)