「週刊新潮」7月15日号に掲載されている巻頭グラビアページ「土石流が生んだ惨状」の最初の一枚の写真の説明、「伊豆山から熱海の街と太平洋を見下ろす」には違和感がある。

その違和感について説明するには、伊豆山の位置関係を正しく把握して頂く必要がある。土石流災害が発生した「熱海市伊豆山」とは、熱海市の中心地である「熱海市熱海」の北側に隣接する行政区域を指す。海岸線から伊豆半島の稜線にある伊豆スカイラインまでの斜面全体が「伊豆山」なのである。
そのまた北側は「熱海市泉」で、その先が神奈川県湯河原町になる。写真で言えば、上部が太平洋で、上部の右端にある高層ビルは温泉ホテルの「水葉亭」。そして、その先を右に回ったところが「熱海市熱海」で、熱海の温泉旅館・ホテルの8割ほどがそこにある。
こうした位置関係が分かれば、この写真説明「伊豆山から熱海の街と太平洋を見下ろす」がmisleadingであることがお分かり頂けるだろう。写真の下の部分は標高推定300メートルほどの「伊豆山」の一角であり、ここから見下ろす先(上の部分)も「伊豆山」なのである。伊豆山も熱海市の一角なので、写真説明の<「熱海の街」を見下ろす>という表現は間違いではないが、misleadingである。
一般に、「伊豆山」には“標高が高い地域”という語感があるため、海岸に近い地域は「伊豆山」ではないと思っている人が多い。この写真説明を書いた人もも、その一人ではないだろうか。
いずれにせよ、この「週刊新潮」の曖昧な表現は大したことではない。むしろ、爺が気になることは、土石流発生から1週間以上経過しても、毎日「熱海の土石流」の状況がメディアを賑わしていること。知名度が高い観光地だけに当然だが、観光地としてはマイナスイメージである。
どこの観光地も新型コロナで大きなダメージを蒙っているが、ワクチンが行き渡ったあとのV字回復を期待しているだろう。そこに今回の土石流災害がやってきた。熱海としては泣きっ面に蜂といった感がある。
爺は隣町の住人として、熱海が敬遠されるようなことにならぬよう願うのみである。