文通費案件は12月9日に論じたが、その後も自民党の態度が気にくわないので再度取り上げる。
「使途公開」と「余剰金の返納」に関して、回答はイエスかノーのどちらかしかないと思っていたが、そうではないらしい。今日(18日)の産経新聞の<文通費 法改正見送りへ>という見出しの記事の一部を引用する。(赤字)
野党が求める使途公開や国庫返納の導入に踏み込んで議論するには、使途公開の範囲や手法など論点が多岐にわたり、「今国会では時間が足りない」(自民国対幹部)との立場だ。
「使途公開や手法など論点が多岐にわたる」とは、会合の相手を知られたくない場合があるから、領収書不要の部分をできるだけ多く残しておきたいというのが自民党の本音だと想像する。
だが、それは野党議員も同じはずだ。それを知りつつ野党が使途公開にこだわらないのは、そういう特殊な会合の回数はあまり多くなく、したがってその支出総額も大したことがないから、自費で負担しようと考えてのことだろう。
さて昨日、維新の会の鈴木宗男議員が予算委員会で質問するというので、この案件を取り上げるだろうと予想し、NHKの国会中継にチャネルを合わせた。鈴木議員は、期待通りこの案件を取り上げ、次のように発言した。(赤字)
「北海道や沖縄の議員と東京の議員が同じ金額であるのは不公平だ」「議員宿舎があるし、鉄道パスや無料の航空券もある」
前半の部分を聞いて、「遠隔地と東京首都圏では交通費・滞在費に差をつけるべきだ」と主張するのかと思ったが、後半部分では「遠隔地在住でもいろいろ恩典があるから、地方議員を優遇する必要はない」と言っているように受け取れる。要するに、何を言いたいのかわからなかった。
これに対し、鈴木財務大臣は「法律をつくるべきだ」、首相は「大いに議論をしてほしい」と発言した。鈴木宗男議員の発言は意味不明だし、財務大臣と首相の発言にしても、何か言わなくてはならないから言っただけ、と言う印象だった。
この意味不明な問答は何だったのか。鈴木宗男議員は「文通費案件も予算委員会で取り上げたよ。頑張っていることをわかってね」と国民にアピールしただけなのか。そして、彼はすぐほかの案件に話題を移した。
野党にとって、この案件は自民党の印象を悪くする絶好のチャンスのはずだが、新聞に見るかぎり、文通費案件が予算委員会で真剣に議論されてはいないようだ。
ことによって、野党もこの事案が先送りになることを喜んでいるのではないだろうか。先送りはやむをえないが、1月の通常国会では与野党とも本気で議論してほしいものだ。