頑固爺の言いたい放題

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こんなに「おいしい議員特権」

2021-12-28 16:15:26 | メモ帳
WILL誌2月号に「こんなに『おいしい議員特権』」と題した丸山穂高前衆議院議員の寄稿文が掲載されている。

丸山穂高氏は2012年より衆議院議員だったが、去る10月末の衆議院議員選挙では立候補しなかった。その理由や経歴についてはネットでご確認して頂くが、爺としては同氏にあまり好感を抱いていない。しかし、この論文は真実を語っていると判断する。

丸山氏の寄稿文から、興味深い部分を拾って引用する。(赤字)

【使い切れない文通費】東京には格安で住める議員宿舎があるので、滞在費はほとんどかかりません。・・・郵便を利用することはほぼない。・・・・文通費については論点を「日割り」にすり替えるパフォーマンスに、騙されないようにしなければなりません。

【ボンボン入ってくる立法事務費】立法活動に向けた調査などの経費として、「立法事務費」も支給されます。これは議員個人ではなく「会派」に与えられるお金です。・・・議員一人当たり、月に65万円、年間で780万円交付されます。・・・これも領収書不要。

立法事務費は会派に支給されるから、会派本部が各所属議員にいくら渡すか決める権限を持っているはずだが、一人当たりの金額が決まっていることからして、会派本部には何の権限もないことになる。つまり、立法事務費は文通費と並ぶ議員のお財布ということらしい。

ともあれ、この制度の趣旨からして、各議員はそれぞれ立法案を各会派本部に毎月提出することになるが、議員が立案した法案がそれほどあるとは思えない。さらに、領収書不要というのが気になる。

【歳費とボーナス】歳費(給料)はどの議員も一律に、月額129万4千円で、手取りは人によって差がありますが、私は約80万円。(ボーナスは)2020年は一回当たり額面318万円、手取り214万円でした。それが年に2回。

【交通費】新幹線のグリーン車含む、すべてのJR路線を乗り放題できる「JR無料パス」。これは東京からの距離によって3種類のパスが選べます
  • JR無料パスのみ
  • JR無料パス+東京・選挙区間3往復分の航空券引き換え証
  • 1カ月当たり*東京・選挙区間4往復分の航空券引き換え証 
【院車】衆参合わせ議員定数710人に対し、203台の院車(公用車)が用意され、各会派に割り当てられます。運転手つきで、ガソリン代はかかりません。

【政治資金】議員特権とは別のもう一つのお財布ともいえる資金で、企業や個人からもらう寄付、パーティーの収入、税金でまかなわれる政党交付金などが主な収入源です。

【二世・三世議員に有利な政治団体の相続税】通常、親から子に、一定額以上の財産をあげれば贈与税や相続税が発生します。ところが、政治資金として政治団体に入っている分には課税されません。

丸山寄稿文により、議員特権は「文通費」だけではないことが暴露された。野党にはまたとない援護射撃のはずだが、野党議員にもブーメランであり、痛し痒しといったところか。

さて、自民党の茂木幹事長は先の臨時国会が始まった時、「文通費案件は討議する時間的余裕がないので、先送りしたい」と発言した。その意味するところは、<自民党は「使途公開」をまったく否定するか、または一部(例えば、月100万円のうちの50万円)は領収書不要として残したい>のどちらかである。そのどちらであれ、自民党は「使途公開」を渋る理由を次の通常国会で説明すべきである。

また、丸山論文には次のような記述もある。(赤字)

文通費が足りないと言っている議員は、使い道が誤っています。通信費は公の書類を発送するために使うべきところを、自身の会報を送るのに使っていたりする*。・・・足りないという主張は、用途を誤っているとしか思えません。私が議員の折も、足りないどころか使い切れませんでした。

*(注)自身の会報(後援会々報)は文通費の内の通信費に計上できないのか。できないとしても、なにかほかの費目があるはずで、自己負担になることはないだろう

この丸山寄稿文により、法外な議員特権は文通費だけではないことが明らかになった。野党は今度こそ自民党をトコトン追及して、文通費の「使途公開」「余剰金返納」を認めさせるとともに、「立法事務費」等にも切り込んでもらいたいものだ。