韓国の中央日報が日韓政府のコロナ対応について、京都竜安寺の石庭に例えた面白い記事を掲載したので、かいつまんで引用する(青字)。筆者は中央日報の東京総局長。なお、日本語訳が拙劣なので、多少手直しした。日本語が達者な韓国人が訳したらしい。
京都の竜安寺の石庭には、白い砂と15個の石しかない。ところが、どこから見ても石は14個。絶妙に1個隠れる。この庭園は▼世の中のすべてのものを見ることはできない。▼目に見えるものが全てではない・・・という人生の道理を象徴している。
京都の竜安寺の石庭には、白い砂と15個の石しかない。ところが、どこから見ても石は14個。絶妙に1個隠れる。この庭園は▼世の中のすべてのものを見ることはできない。▼目に見えるものが全てではない・・・という人生の道理を象徴している。
さて、1年を終えるところで、われわれはコロナ対応で何に気づかなくてはならないのか。
【場面1】大統領府は今年5月の韓米首脳会談の成果として、ヤンセン社のワクチン100万回分を獲得したことを「ワクチン外交の勝利」と自画自賛した。そして、疾病管理庁の長官は「効果と便宜性の側面でヤンセンが他社製品よりも優れている。米国が韓国を特に配慮したことを示す」と述べた。
ところが米国疾病管理予防センターの諮問委員会は先日、全員一致でヤンセンのワクチンは避けたほうがよいと勧告した。安全性と効能がどちらも劣るという理由からだ。
一方の日本政府の対応:ワクチン外交に関心が集まった4月の日米首脳会談のあと、菅義偉首相(当時)は会談内容を明らかにしなかった。担当大臣が「これで日本国内の16歳以上に対して全員接種できる数量が確保できた」と、淡淡と発表しただけである。その成果は後日、「ファイザー5,000万回分」として明らかになった。
「ヤンセン1,000万対ファイザー5,000万」という数字の差が韓国国民を腹立たしくさせ、国民は韓国の大統領と政府の誇張を限りなく恥ずかしく感じた。
【場面2】韓国政府は接種率を高めるために、アストラゼネカ(AZ)を高齢層に集中的に投じた。そして文大統領は10月のG20会議の時、「韓国が世界最速で世界最高水準の接種完了率を記録した」と、世界に向けて勝利宣言した。ところが実際には、AZを打った人々の抗体量はファイザーの5分の1にすぎなかった。
【場面2】韓国政府は接種率を高めるために、アストラゼネカ(AZ)を高齢層に集中的に投じた。そして文大統領は10月のG20会議の時、「韓国が世界最速で世界最高水準の接種完了率を記録した」と、世界に向けて勝利宣言した。ところが実際には、AZを打った人々の抗体量はファイザーの5分の1にすぎなかった。
その結果はウィズコロナから45日後の「ソーシャルディスタンスへUターン」である。
文大統領は批判を意識したのか、21日の国務会議で「試練が成功を導く」と述べた。大統領の自惚れが国民の試練を作り、その対価と侮辱をすべての国民が過酷に支払うことになった。こんな呑気なことがよく言えるものだ。
一方、日本の対応。日本はファイザー・モデルナ・AZの3社のワクチンを自国民を対象にして臨床テストし、その結果に基づき、AZのワクチンは全量開発途上国に譲渡し、自国では使用しなかった。科学を優先し、ワクチンの副作用を先制的に管理した。自慢も、自惚れも、誇張もなかった。
こうした対応の結果、今月22日の状況は、新規感染者7,456人(韓国)対249人(日本)、重篤患者1,063人対28人、死亡者78人対2人という結果に現れた。人口の違い(日本が韓国より2.34倍多い)を考慮すればほぼ100倍に近い。
一方、日本の対応。日本はファイザー・モデルナ・AZの3社のワクチンを自国民を対象にして臨床テストし、その結果に基づき、AZのワクチンは全量開発途上国に譲渡し、自国では使用しなかった。科学を優先し、ワクチンの副作用を先制的に管理した。自慢も、自惚れも、誇張もなかった。
こうした対応の結果、今月22日の状況は、新規感染者7,456人(韓国)対249人(日本)、重篤患者1,063人対28人、死亡者78人対2人という結果に現れた。人口の違い(日本が韓国より2.34倍多い)を考慮すればほぼ100倍に近い。
コロナ禍が沈静化した日本の岸田首相は、21日に国会で次のように述べた。「ウイルス変異株などの新しい状況に対して、慎重な上にも慎重を期し、先手先手で対策を打ってまいります」。
もちろんこの失敗だけを以て、韓国は間違えていて日本は正しかったと決めつけようとするつもりはない。だが、これだけは言いたい。「すぐに目に見えることや見たいことだけを以て、誇張したり自惚れたりするのはやめよう」と。これが龍安寺の教えである。
日本のコロナ禍が鎮静化した理由がワクチンだけとは思えないが、ここではその問題は論じない。
日本のコロナ禍が鎮静化した理由がワクチンだけとは思えないが、ここではその問題は論じない。
ヤンセンというワクチンがあるとは知らなかったが、韓国は早い時期にそのワクチンを入手して、軍隊に優先して配布したらしい。早々とヤンセンのワクチンを接種した人たちは、“ヤンセンのワクチンは品質的に劣る”という記事を見てさぞ怒ったことだろう。
それはともかく、この日韓政府の態度の差は、すぐ自慢したがる韓国人と、成果の発表に控え目な日本人の、性格の違いを如実に表している。
そして、有名な竜安寺の石庭を日韓政府の差に例えて問題点を指摘し、韓国政府を皮肉った筆者の機知に感心する次第である。