海音寺潮五郎の未刊長編小説が刊行されました。 かごしま近代文学館が編集発行したものです。 財団法人 海音寺潮五郎記念館は、2012年12月に解散しましたが、 その際に、海音寺の著作権、原稿等、著作に関するものは、すべて、 鹿児島市にある「かごしま近代文学館」に寄付しました。 一昨年、2017年11月2日(木)~12月3日(日) 「海音寺潮五郎の切捨御免!日本の歴史を点検する」 と題する特別展が開催され、見学に行きましたが、 海音寺の作品を日本の歴史順に並べて、その時代をどう描いたかを詳細に研究して、発表されていて、 学芸員の方々に感謝し、ここに寄付して本当によかったと、叔父や姉たちと語り合いました。 今回は、海音寺が、昭和30年から31年に南日本新聞に連載した「西郷隆盛」と、 同じく昭和30年から31年に河北新報に連載した「火を噴く山」を底本にして、 明らかな誤字誤植を訂正し、登場人物名、地名に関しては、 のちに発表した「西郷隆盛」全9巻(朝日新聞社) 「西郷隆盛 天命の巻」(学習研究社)を参照して制作したとのこと。 このことだけでも大変な作業であったと思われます。 読んでみたら、 戦時中の、軍の戦意高揚作品、強要の検閲、 戦後の占領軍の武士道礼賛作品禁止等の検閲から解き放たれ、 自由に作品が発表できるようになって、次々と作品を書きまくっていた時代のものですから、 若き西郷の藩の改革、新しい日本を作る気概が、生き生きと描かれ、 藩主斉彬、志士たち、その他の幕府、他藩の要人にまで、いかに愛され信頼される人物だったか、 ワクワクしながら読める作品です。 奄美大島に流され、召喚状が届いたところまでですから、もっと先まであればよいと思うのですが、 これだけでも、明治維新の始まり、そこに西郷がいかに関わっていったかを 楽しみながら、知ることができます。 ぜひご一読を。 購入はかごしま近代文学館のこのサイト「図録・グッズの購入方法」(かごしま近代文学館HOME>ショップ) からできます。 |