Goo・ちょき・パーで、なに作ろう!

定年退職してしまいましたが、再任用でまだまだ老後の蓄えをしなくてはなりません。それでも悔いのない人生にしたいと思います。

名人から鋸づくりを習う・パート1

2012年01月10日 22時46分52秒 | Weblog

熊本県人吉市の刃物鍛冶の『岡秀(オカヒデ)』は、日本で唯一残っている手づくり鋸の名人の称号を持つところ
その岡秀で刃物づくりを習い始めて早くも約3年目になろうとしている
前作、『槍鉋(ヤリガンナ)』が完成して、『次は何を作ろうかな~』と相談したところ。
『もうナイフも包丁もたいぎゃ作ったろけん、今度は鋸を教える
と、この上ない名誉なお誘いを頂戴した
『バッテン、鋸は難しかバイチミ(君)に出来るかな』の、試すような言葉付きだった。
『やります、やります、作らせて下さい~

2011年12月14日(水)

さっそく作成開始

鋸の場合、用途や種類により、この様に予め何十枚単位で原型の鋼材を作り置きしているとの事。
厚さ1mmくらいの鋸らしい型板がまとめられていた。

 

冬の作業場はシンシンと冷えるので、鍛造の釜を焚くためにエンジンオイルの廃油を暖めておく
さて先生は、2枚の板金(イタガネ)を取りだした。
『エッ、2本の鋸を作るのですか』と質問すると~
『鋸の場合、薄い板金だから、1枚だと鍛造が難しい~。そこで2枚重ねて叩くとうまく広げられる
『ヘー、なるほどですね!(納得)

 

そして、取っ手になる部分にこの様なC型の『鉄のクリップ』を突っ込み叩き締めだした。これでズレ無いように固定する訳だ
この奇妙なクリップは焼き入れの水槽の近くにあり、カンカンボックスに入っているのは以前から知っていたが、この為とは初めて知った

 

バーナーに火を灯すが、もうもうとした白煙ばかりで、なかなか火が着かない~この後、爆発的に炎が吹き出し、天井まで火柱が上がった
眉毛が焼き焦げたかと思った
先生は、釜が温まる間にと、鍛造製作過程を3枚の鋸を使って説明した。
右の原型板金を鍛造して左の大きさまで叩き延ばすことになる。

 

ヤットコで鋸の頭側をガッチリ挟む為に、太いリングをはめて強いグリップにする。先ずは取っ手側を微妙な角度を付ける様に、ハンマーで叩き延ばす

 

裏、表と叩き成形をして行く。叩いている途中、叩きの振動と高温で柔らかくなったクリップが外れ飛ぶ
手で抓んで取り付けたいが、熱いのでそれは出来ない
イライラするけど落ちたところに鋸を持って行き狭い穴に突っ込む事数回。

   

さて、いよいよベルトハンマーで本格的に鍛造する。
『鋸はナイフや包丁と違って、刃側が厚く、ミネ側を薄くなるように叩かないとダメこの厚みを間違うと、刃で木を削っても、ミネの厚みが引っ掛かって抵抗が増して、鋸の刃は入って行かなくなる。だから、ミネ側を強く回数多く、刃側はハンマーを半分だけかけて、弱くせにゃならん。』『最初、中央のミネのここら辺から、逆U字に刃の方にグルッと叩いて戻る。やってごらん。』
『トントントントン、もっと強く~トントントントン、はいそこでUターン刃は弱めて、トントントン~はい、ひっくり返して~今度は刃は左側だけんね!力加減を間違えるなよ~同じように、トントントントン、もっと強く~トントントントン、はいそこでUターン刃は弱めて、ハンマーの半分だけかけて~トントントン~はい、もう1回焼いて~まだ延びが足りん
緊張で、ペダルの踏み込みを加減する右足は固まっている
背中の背骨の窪みに汗が流れ落ちる

 
『今度は頭の方を叩いて延ばすバイヤットコを人型のハの字にして、こうしっかり持ってずれないように。トントントントン、ミネはもっと強く~トントントントン、先に延ばさやんばい。はい、ひっくり返して~今度は刃は左側だけんね力加減を間違えるなよ~、ハンマーの半分で叩く~トントントン~



今度はヤットコを持つ腕が、ゴッチゴチに
次に『どれっ』っと取りあげた。確認するのかなと思ったら、クリップを外して、2枚の板金をひっくり返し、今叩いた面がお互いに内側になるよう再び重ね合わせた
この入れ替えを行う事で、両面を叩くことになり、より均一に延びるそうだ。なるほど~




ここからはさっきの繰り返し



途中何度か曲げ尺で延び具合を確認~目標の8寸=24cmにはもう少し



寸足らずのため、再び延ばしのための鍛造
8寸になったところで、右の写真の圧延機で表面の凹凸を綺麗に延ばしていく。
『最初から圧延機で延ばせば簡単なのに』とも思うが、やはり鍛える鍛造が必要とのこと

 

帰り際、『年内最後の焼き入れに間に合わせるために、今度の土曜日に来なさい。特別個人授業をするから、ナフコ(ホームセンター)で、150mmのヤスリを買って来なさい。』が、宿題だった

2011年12月17日(土)

いよいよヤスリを買って、課外授業を受けに言った。
刃はまだ無いけど鋸らしい形になった
曲げ尺を当てて、刃の直線をケガキした

 

刃の部分の、はみ出た部分を切断機で切るあの堅い鋼鉄板が押し切れていくから凄い次いで、既に刃が着いているお手本の鋸を当てて、U字型の改良刃の部分を描き出した

 

さて、いよいよ刃の打ち抜く作業~残念ながらここだけはさせてもらえなかったミシンみたいに上下する△の刃が鋸の刃を型抜きする仕組み。リズムは一定だが、やや斜めの角度を付けて正確に運針していくのは至難の業

 

歪み取りをしたところ~改良刃が綺麗に並んでいる。

 

次はグラインダーで刃を深める~というところに『ピンポーン・ピーヒャラピーヒャラ』の来客の知らせ
先生は中断して来客対応
今日は昼間だから、来客は仕方ない、商売の方が優先だ
いよいよグラインダーに1.5mmの薄いデスクを取り付けて刃をU字型に掘った

 

次は、改良刃と改良刃の間に4つのVの刃を打ち抜く~これはもっと難しい工程となる

 

ちなみに打ち抜いた△の屑は下にこんなにたまっていた。
刃が付いて改良刃の深さとのバランスをとるために、再度U字の深さを調整した

 

いよいよ、ヤスリによる『目立て』に移った
先生は手のひらにヤスリを乗せると、鋸ハサミに挟んで1cm程出た刃に掌の中のヤスリを当てて、シャーッ・シャーッと滑らせた。見ていて手のひらを切りはしないかとハラハラ
同じ高さにするためだそうだ。
鋸が切れる仕組みは、押す時切れる刃と、引く時に切れる刃が交互についているから木材が切れる
ところが、打ち出しで形だけ付いた刃にはどっち向きかは書いても無いし、角度(切れる刃)も付いていない
ヤスリは切り出しナイフみたいなものをたくさん付けるイメージだが、抵抗が大きくてなかなかヤスリが動かない
先生はマジックで、2と4の刃に印を付けて、『これが引く時切れる刃を付けるところ。こっちからこう斜めに刃ば付けやんたい
と説明してくれるが~それは言い替えたら、
1と3の谷の向こうの上り面にヤスリを当てるという意味だろうが、やっていると分からなくなる。
迷って手が止まると、『な~んばしよるかいお手本の鋸を置くから、コンとおりに擦れば良か

 

お手本があっても、手元とお手本のピントが合わず、結局間違ったところを擦っていた
それに気づいた先生~『あ~ん、ストップストップ、どこば擦りよット どう交代~あぎゃん言うたのに、これだから素人はこまるなあ~』
と、再度実技で説明『これが引く時切れる刃、これとこれ、この順番を間違えると切れる刃にはならんバイ
先生はしばらく矯正を試みたが、間違った角度の刃を元に擦り減らして、再び正しい刃にするため~『ああん、イカン刃が細ってしまう。もう一度最初からやり直し~こまるなあ

 

悪い失敗をしでかしたなあ~と申し訳なく思うけど
『最初からやり直しとは、どういう意味
なんと先生はグラインダーの平面に尖がった刃を当てると、1mmくらいサーっと削り落してしまったあっという間に△の刃は台形になった
『同じ身幅の△刃を取り戻すためには、刃頭を切り、谷を掘り下げれなければならん~だけん使い込んだ鋸はだんだん細って来る~まあ、ぎゃん失敗で頭を落とすヘマはせんけどな~』(先生、嫌みが過ぎます
谷を掘り下げるのをヤスリでするのは大変な作業になるなあ~と覚悟はしていたが、先生はもっと薄いディスクをはめて、それで小さい刃の谷をジャンジャンと掘り下げていった。なんとなく安心した

 

相対的にU字の改良刃が浅くなるために、再度1.5mmのディスクで掘り下げた。
『今度は間違えたらイカンばい~使う前(完成する前)から細ってしまうバイ
今度は慎重に確認しながら再度挑戦。
右の様な感じに、なんとなく鋸らしい刃が付いた。買ってきた鋸にはこの角度が付いているからそのとおりに擦れば良いのだが、まるっきりノッペラ状態に規則正しい刃を付けるのは、本当に難しい
第一ヤスリが引っ掛かり動かないのだ
2往復擦って、全部に刃が付く事になる。最後の頃には素人ながら擦り方が分かって来た

 

今日はどっと疲れた課外授業だった。
でも鋸の目立てのなんたるかが分かってえるものが大きい半日だった。



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