2015年7月上旬
前回に続き、また鍛冶屋のまねごとです
梅雨の鬱憤を晴らす様に、刃物づくりに火がついた感じです
今回は、凄く錆び付いたバネ板があったのを引っ張り出しました
本当に使い物になるかと、ちょっと削ってみたら、綺麗な金属が出てきました
8寸=32cmで、何が作れるか
とりあえず、全面のサビを削り落とす事にしました
長い時間掛けてサビを落とし、キラキラの地金を削り出し、尖った形を見て、『鉈(ナタ)』を作る事に決定しました
実は、ナタは3年前にも作っていたのですが~なのにまたナタ
今度は、日本刀みたいに切っ先が尖った形にしました。
柄( ツカ or エ )になる部分を、切り出す印を書きました
黒いブツブツはサビが深く入っている所です。
バイスに挟んで、ディスクグラインダーで切り出す準備です
ディスクグラインダーは、キックバックが起きやすく、とっても危ないので、写真は結果のみです
いよいよ火を熾し、切り出した鉄材を焼きます~約500度くらいで青紫の酸化皮膜が現れだします~まだまだ、温度を上げなければなりません
ブロアーで、ブンブン噴いて、炭火を赤→オレンジ→白 に近づけていきます
背中には汗が流れ伝い~火を見ている顔面も、眼球も、全てが熱い
そして、今が撮影タイミングを狙ってスマホを構えても、シャッターが切れない
想定外に表示された『CPU温度上昇によるエラー』
『まいったなあ~これからと言う時に~』
仕方ないので、濡れタオルに包み、復旧とエラーを数回繰り返した。
鉄の色の見方は、人吉市の岡秀(オカヒデ)に通ったおかげで、だいたい見当を付ける事ができた。
炎の色と、鉄の白っぽい色で、だいたい1000℃を超えたと判断した
焼き入れ工程です
「焼き入れ」を専門的に言えば、鋼は1気圧で、鉄の純度100%の場合には、911℃~1392℃の温度に加熱すると、オーステナイト組織の状態になりますが、これを水中または油中で急冷すると、マルテンサイト組織(炭素を含有する鉄合金では組織は非常に硬くて脆い層組織)の状態に変化させる熱処理のことです
この火バサミは何をしているかと言えば、水を垂らしているところです
岡秀(オカヒデ)の師匠は、焼き入れ前に水を垂らして、小さな水玉が鉄の上を転がり回る様子で、焼き入れ適期判断をしていました。
”小さな水玉が鉄の上を転がり回る様子”は、説明が難しいです。
岡秀での焼き入れ
バケツに水を入れて準備し、いざ、水中に投げ込みました
『ジャージュブッ』と、水煙が立ち上がります。
ところが、『ピチャ・ピチャ』と音が立ち始めました
なんと、向こう側のバケツの側面から、水が噴いています。
投げ込んだ時に、バケツの壁まで突き破ったみたいです。
でも、なんとなく、嬉しいバケツの穴開きです
冷めた所で、取り出しました。
表面が黒いのは、酸化皮膜の黒です。
今回はここまで
次回は、研ぎの過程を紹介します
お楽しみに