2014年7月
今回の彫刻は『龍と観音』と2つの主題がありますが、実際の彫り作業は、片一方ずつ仕上げるわけではなく、気まぐれ、気晴らしに、違うところにまんべんなく刃物が向いています
ブログにまとめると散在した絵になるので、先ずは観音様の粗彫りから紹介します。(チラチラと龍の進行も写っていますが)
観音様のお手本にしたのは、 自分の過去の作品 でした。
このお姿をちょっと変えたら、油手になる粘土細工をしなくても、だいたいのお手本になると考えました
さて、先ずは蚊取り線香か、液体蚊取りの準備です
外での作業は、汗と、蚊との戦いでもあります
刃物を持ったまま、エイッと叩いて、ノミで腕を刺すってあり得る事です。
粗彫りは、出来るだけ文明の利器を利用して、省力化を図ります
電気ドリルでおおざっぱに穴を開け、穴をつなげてノミの回数を減らします。
というか、農作業の疲労が溜まってか、6月始めから左肘が痛くなりやっとノミが持てる状態での作業を続けています。(8月現在も)
医者の診断では「上腕骨外側上顆炎」 これは、痛風と同じく、痛みは本人しか分かりません。それでも、
そうそう彫り初めて分かったのですが、イチョウの材からは、あの銀杏のくさい臭いがしてくるのです
ウンコ臭にもめげずに彫ります
こんな感じで、大小の径のドリルで場所に合わせた穴を開けます
ドリルの中心の剣先が5mm程深く入るので、それを見越して5mm浅く彫ります。
ノミで穴をハツれば、窪んだ平面が出来ます。
狭い所は細いノミを入れます
粗彫りの時が、木っ端や削り屑が一番大量に出ます
さて、下書きの時から観音様を波に乗せるか雲に乗せるか迷いました。
結局、孫悟空の乗る雲、觔斗雲(きんとうん)にしました。
日本では、「金斗雲」「斤斗雲」「筋斗雲」という表記も見られます。
雑学では、「觔斗」とは「宙返り」の事で、『觔斗雲の術』は10万8千里/秒で、中国の唐の時代の長さの単位を現代に直すと、10万8千里はおよそ6万500km、觔斗雲の速度はおよそマッハ17万6千、光速の約20%(秒速6万km)
それを彫りにかかりました。
マッハ17万6千に耐えられる曇って、どんなのこんなのって思いながら。
おそらく、UFOに乗った宇宙人が観音様じゃないのかな?
円盤形じゃ趣がないし~やはり、漫画孫悟空のモクモク感しかない
ノミや切り出しナイフで、渦巻き模様を彫り出します
とりあえず、こんなところでいったん置いて、次に。
次は、光背に取りかかりました
光背にはいろんな形、模様がありますが、この材質では細かい模様は彫れないと分かったので、シンプルなリングとしました。
鑿(ノミ)を叩く道具には、金槌もありますが、一番使い易いのは、この『横槌(ヨコヅチ)』で、これは山の樫の木を倒した手作りです。
普通の鎚に比べ、支点から打点(作用点)までの距離が短いので、打撃力は弱いのですが、打点が広いので、ノミを持つ自分の手打つことはまずありません。
光背は背のずっと奥ですので、彫り下げます
梅雨が明けた日差しはとても強く、駐車場では34℃くらいになります。
寒冷紗を2つ折りにして遮光しますが、汗はダラダラです
作業中2リットルくらいの冷たい物を飲みます
次に、衣に取りかかりました。
観音様は、白衣観音のイメージでもありますが、大波荒れ狂う海上は、風速25~33m/s位の台風並みの風が吹いているイメージですので、観音様の衣とはいえ、M・モンロー以上に乱れ、旗めいているはずです
向かい風なら、後方ではおそらく、表裏の区別がないほどめくれ絡んで
そんなお姿はネットでも探せませんから、想像です
膝の部分の、材の腐れが気になります
次は、両手に持つ、『宝珠』に取りかかりました
この部分に材の腐れがあるのは分かっていましたので、ギリギリの位置です。
大まかに彫り出した宝珠を、コンパスで円を取ります。
円を、球にしていきます。
見えない側面も球体に刃を入れます。
粗彫りはだいたいコレくらいにして、顔や細部は次の段階にとっておきます。
ここまで彫るのに、20時間くらいでしょうか
まだまだ、先は長いです
観音様の宝珠を欲しがる龍
なぜだか、オモチャのボールを欲しがるワンちゃんの様にも見えます
もっと恐い龍にしたいのですが~
龍の粗彫りは、次のブログで紹介します
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