2022年7月18日
アダプター(低電圧変電器)が電化製品生活の馴染みになって50年近くなるだろうか?
中学、高校時代からお世話になっているが、決まって一番曲がる所が断線するのがネック。
これはfacebook友達からの依頼の、Mac Book Pro というタブレット用のアダプターです。
誰でもひび割れたりすると、こんなに素人テープ補強しますよね。
そのうち、完全断線し全然起動しなくなり、アダプターのみ買い替えたりします。
僕も経験ありで、何度も修理してきましたので、この修理を請け負いました。
テープ補強を開いてみると、マイナス極の撚線(よりせん&編み線)が確かに断線しています。
さらに、シース絶縁体と言われる、化繊の網が巻いてあり、ハンダづけで治そうとしても、シース絶縁体が邪魔して上手く着きません。
本体側とコード側の、化繊の網をナイフやピンセットで根本から切り取り、導線のみにします。
ビニルシースに巻かれたプラス極は、ラジオペンチで引っ張ってみて、内部で断線していないか確かめます。
テスターで導通テストもしますが、断線していても、細い導線1本でも付いていれば通電しますので、物理的に引っ張ってみて、抜けてくる電線がないかを確認する方が確実と、経験的に判断しています。
ハンダ付けする方法は、予め本体側とコード側の計4本の先端を、ハンダ付けしておく方が確実に付きやすいです。
特に本体側の電線は短い所で断線カットですので、双方の線をねじろ合ってのハンダ付けは出来ません。
これは、熱圧縮チューブ というものです。
以前は無かったので、接着剤とストローを使って、ショート防止と被覆をしていましたが、これは密着出来ます。
径の違う、2種類を選びました。
先ず、プラス側に小さな径の熱圧縮チューブ を縦に切れ目を入れて、被せました。
全体を被覆する大きな径の熱圧縮チューブ は、先にコードに通しておきます。
この順番を忘れると、せっかく繋がったコードを再び溶かさねばならなくなります。
(そんな出戻り失敗を何度もしてきました)
プラス電線のハンダ付けは撮影忘れです。
小さな径の熱圧縮チューブ を根元までしっかり被せ、ショート防止です。
マイナス電線のハンダ付けは、気を遣わなくてはなりません。
電線に余裕は無いし、コテの接触で小さな径の熱圧縮チューブを焼いて、穴が空きかねません。
そこでワニ口(グチ)クリップ を使います。
2つの線は熱くて指では摘んではいられませんし、これで挟むと近くの線を焼くこともありません。
しかも、ハンダが溶けたら自然と閉じ圧着し、冷めて固まるまで放置出来ます。
ハンダが溶けて、自然と圧着し固まりました。
以前(少年時代)は、ラジオペンチでやっていたのですが、固まったと思って緩めたらポロっと外れたりと失敗を繰り返していました。
先にコードに通しておいた、全体を被覆する大きな径の熱圧縮チューブ を引き上げ、本体根本まで密着させます。
ヒートガンの出番です。
ヒートガンの種類は色々ありますが、この小さなサイズ(350℃)で、殆ど事足りています。
大きなものはかえって電工には使いにくいです。(肥後弁:ヤッコガス(焼き焦がす))
ドライヤみたいなノズルを装着して、スイッチオン!
熱圧縮チューブ が、みるみる圧縮してきました!
完成です!
さて、作業に入る前から気になる事がありました。
Mac Book Pro のアダプター本体を読むと、インプット100~250ボルト、アウトプット12ボルトと刻印してあります。
事前の接続前の30ボルトレンジ測定で、8.5ボルトしか出力できていませんでした。
依頼主には、修理前にこのことを伝えていました。
『結線はするけど、電圧不足は内部の素子の問題・アダプターを開けてもどうにもならないから、僕は結線することしか出来ません。』と。
修理の成功は、とりあえず使ってもらっての結論となります。
半田ごて・テスター・・・これだけで、何個のアダプターを修理してきたでしょうか?
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