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定年退職してしまいましたが、再任用でまだまだ老後の蓄えをしなくてはなりません。それでも悔いのない人生にしたいと思います。

熊本県立農業大学校2年機械応用・ガソリンエンジン分解組み立て!1日目

2019年05月22日 22時05分07秒 | Weblog

 2019年5月

定年後の再任用で心配なこと!
やったことが無い、農業機械の講義です。
その一つ、【2年生:機械応用ガソリンエンジン分解・組み立て】です。
 2年生学生の希望者のみを対象に、数回のグループに分けて、1回3日間午後連続で行っています。
 その1回目の報告です。
学生一人1台のガソリンエンジンをあてがって、分解・組み立ての個別指導なので、1回につき最大7名を相手に、T先生と私で実習指導に当たっています。
 私は講義演習の準備や学生への直接指導してくれる先生は、非常勤講師のT先生で、元ヤンマー農機のエンジニアです。 個人的には機械いじりは好きですが、分解・組み立ては初めてです。
自身の勉強もエンジンの仕組み、部品、メン テナンスを勉強中です。
忘備録として、夜な夜なやっと1日目の様子をブログにまとめました。



これに則って実施します。




完成品ですが、先ずはエンジンがかかることを確認します。
使う教材機種は、三菱GB-131型:空冷4サイクルOHV:傾斜型形横軸ガソリンエンジン)です。 まずは、エンジンが掛かるのを確認します。(始動するのを分解組み立てするから、分解組み立て後は始動しないと終われません!)




作業に入る前に、道具箱の中の道具の確認です。58品の工具一覧表を見ながら、全部の有無をチェックしていきます。両口スパナ・メガネレンチ・ペンチ・ドライバー+-までは見慣れていますが、スピンナハンドル・トルクレンチ・エクステンションバーソケット・・・・となれば、分からない者が多数です。でも、全部覚えなければなりません。これを毎回行うので、紛失はありませんし、若い彼らは最後には覚えてしまいます。



いよいよ分解開始です。分解を前に、潤滑油(4サイクル用エンジンオイル)を排出します。
これはオイルバットに溜め、保存し、後で再利用します。
オイルドレンプラグを緩め外し、本体を傾けてケース内のエンジンオイルを出来るだけ全部抜きます。この機種のオイル量は0.5ℓです。



次にマフラーを外しますが、マフラ本体とエギゾーストパイプの組み合わさった状態で、本体連結部からまとめて外します。メタルガスケットがはまっているので傷を付けないように注意します。
外した部品は、分解棚(3段)の下の段から順に、さらに奥の左右どちらからか順番に並べると決め、ネジ類もまとめて置きます。(組み立てでは最上段から順番に組み立てるとミスが無い。)



ガソリンタンクは、事前に燃料(ガソリン)を抜いておき(保存・再利用)、燃料タンクのボルトを緩め取り外します。 フューエルコック部分は、コックを閉じて、今回はタンクと一体的に取り外しました。
カップにゴミ、油澱が目立つ場合には、分解して清掃します。 続いて、空気清浄器(エアクリーナー)、気化器(キャブレタ)を外します。



コントロールパネルアセンブリという部品です。
スロットルレバー、ロッドスプリング、ガバナロッド、ガバナスプリングで構成されますが、まとめて取り外します。
複数の特殊なテンションスプリングが複数の穴にはめてあるので、気を遣います。
写真右側から垂直に下を向いているのがバナレバーで、外すときにはガバナレバーの溝にマイナスドライバーを差込み、溝を広げながら外します。



どの穴に、どのテンションスプリングがどっち向きで付いていたのかわからなくなるので要注意です。
取り付け位置をマーキングしたり、スケッチしたりの工夫が必要ですが、デジカメ記録が一番便利です。



リコイルスタータを取り外すために、ファンカバーを取り外します。 プラスチック製の黒いフロントカバーも外します。



たくさんのヒダが丸く付いているのがフライホイール(はずみ車)で、中央にリコイルプーリがクランクシャフトに取り付けられています。 写真は、イグニッションコイル(発電機)の取り外しにかかったところです。 



イグニッションコイル(ダイナモ:発電機)から出ている、リードワイヤを外します。
ラチェットレンチで2本目のボルトを緩め、本体から取り外します。

 フライホイルはリコイルプーリと共に、60N・m(ニュートンメーター)で強力に締め付けられていますので、外すにはフライホイール取り外し具(写真:黄色のカギ付器具)をマグネットの間に噛ませ回転を殺して、M14ナットをスピンナハンドルを使って緩めますが、ナットは緩めたままにしておきます。なぜか?




その理由は、ガッチリはまったフライホイールはハンマーで叩かないと外れません。
そして、叩き方にテクニックがあります。
緩んだナット面とクランクシャフト軸端面を真っ平らに合わせたところで、ハンマーで垂直(平面均等)面で衝撃を与え、慣性の法則(反力)で外します。
もしこの時、面を合わせなかったり、斜め叩きするとナットや軸端のねじ山を壊すので注意が必要です。



クランクシャフト軸には、切込み溝凹に【半月キー】が仕組まれており、フライホイール中央の穴の凹の切込み溝に、【半月キー】が凸となって緩みなく確実に一緒に回転する仕組みとなっています。
【半月キー】は小さくて無くしやすいので、フライホイールのマグネットにM14ナットと共にくっ付けておきます。




これはロッカーアーム(揺れ腕)アセンブリという部分で、すでに弁椀室(べんわんしつ)カバーを外したところです。
カムシャフトの動力で、吸気弁・排気弁の交互の開閉をする機関となります。
(古い映画等で、船のエンジンルームが映ると、湯気の中で露出したたくさん並んだロッカーアームが交互に上下している、あの部分です)


 ロックナットとピボットナットを外し、シーソーみたいに交互に上下するロッカーアーム(小さな双眼鏡形)を外します。

写真下に、球形頭の棒(プッシュロッド)が内部のカムシャフト側から上がっています。
(シリンダー内のカムシャフトに向かって、差し込まれている) このプッシュロッドを引き抜きますが、見た目まったく同じの棒を、左右間違わないように置いて、後では同じ位置で取り付けなければなりません。

プラグレンチを使って、スパークプラグを外します。
学生にとってはプラグを外すのは、刈払機でもバイクでも慣れています。
写真はありませんが、この後、シリンダーヘッドとガスケットパッキンを外します。


側面のクランクケースカバーを取り外します。ある程度緩んでくると、排出残のエンジンオイルが漏れて作業台にこぼれますので、エンジンブロックの下に枕木を敷いて斜めにし防止します。

ネジは取り外しても液体パッキンの密着で、なかなか外せません。左右底部にある注油口部をプラスチックハンマーでコンコン叩くと隙間が空き、写真のようにクランク軸を親指で抑え、指で左右交互にキコキコすると外れます。
この時、PTO軸部にはシム(リングのパッキン)がはまっており、これに気づかず無くさないように注意します。

側面のクランクケースカバーが外れました。
これから写真中央のたくさんのギアが付いているカムシャフトを抜き取ります。

カムシャフトギアを抜き取ると、カムに接していたタペット(吸気・排気の弁)が宙になりポトンと落ちるので、指を添えて取り出しているところです。

 

 カムシャフトギアアセンブリ、タペットも外れました。
この時も軸部にはシム(リングのパッキン)がはまっているので、無くさないように注意します。



排出残のエンジンオイルを、エンジンオイルバットにスタメ(肥後弁:斜めにして排出する)ます。

 コネクティングロッド・クランクシャフト(中央)・オイル掻き(右に飛び出している鋭三角の棒)、写真左側のL字型に曲がったガバナシャフトが見えます。



クランクシャフトは、ピストンの上下運動を回転運動に変えるもので、ピストンとコネクティングロッド、ロッドキャップで繋がれています。



コネクティングロッド大端締め付けボルトを緩めますが、バランスウェイトが邪魔です。 クランクを回転させすき間を作り、ラチェットハンドルを突っ込み、2本のボルトを緩め、クランクシャフトを取り出し、ピストンも抜きます。



内臓を全部取り出したエンジンブロック(本体フレーム)を灯油洗い桶に入れ、スクレイパー(こそぎ取る器具)や、ワイヤーブラシを使って、液状ガスケットの塊をこそぎ落とし、洗浄して綺麗にしておきます。



ピストン&コネクティングロッドアセンブリも取り外せて分解が完了し、綺麗なエンジンブロックで組み立てに臨みます。



これまで外した部品は、分解部品棚(3段)の下の段から順に、さらに奥の左右どちらからか順番に並べると決め、ネジ類もまとめて置いています。(一番上は、基本に道具箱のみ置く)


 一番下の段で、先に取り外した燃料タンク、エアクリーナー、気化器(キャブレタ)などが見えます。
 



真ん中の段には、エンジンの中枢部品が並んでいます。こうして整理して置くと、組み立ては上の段から(時計回りor反時計回り)等の順番に手を付けたら間違いも少ないことになります。


 エンジン分解は、1回を90分、休憩10分して、さらに90分。
これを3回行い完結します。椅子に座るのは禁止なので、コンクリート床に立ちっぱなしは結構腰に来ます。
次回は、2日目を紹介しますので、お楽しみに!

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