平成21年6月3日水曜日。さ~て、いよいよ念願のナイフ作りに入った。包丁の完成も待たずして気持ちは早まり、ナイフのデザインを厚紙にしていた。
先生方や、仲間たちは『デカ!槍を作るとか!』『ちょっと、危ない人じゃないですか~』って口々に言い出す(笑) 初心者ではあるが、初心貫徹『デカイ、ナイフ!』が目標だったから、1センチも短めるつもりは無いのだ! 名人が、デザインにマッチした
鋼材を準備してくれた。
さっそく、焼き釜に差し込んだ。久しぶりの機械ハンマー~適温になるまで、ペダルを踏んで、空打ち練習し、感覚を取り戻す。 名人指導『今度はナイフだから、刃渡り18センチなら、13センチ位の鋼材部分を伸ばして、18センチにするつもりで打たやんバイ~先ばかり打つと伸びらんで、シャモジになるから、手前から打って先に延ばすように~』 適温に焼けた~、ペダルを踏んだ、『カンカンカン!』ハンマーはリズム良くたたき伸ばしている。FUFUFU~うまく行っている~と思いきや。
『手前から先へ、手前からさきへ~、刃・刃!~ただ延ばしていたら、刃はつかん!刃の側がこっちなら、鋼材の半分だけに、ハンマーを落として、薄くしていく~手間から、先に~手前から、先に~、延ばして延ばして!~もう冷えてる!~焼いて!』
ってな調子で、金属の差し棒で場所を支持するから、やはり緊張。3回くらい焼いて叩いて延ばして、形が出来ていった。 今度は、日本刀のような切っ先の整形。これは、金床の上で、ゲンノウを使っての作業になる。 名人指導『ミネとシノギ部分は、ゲンノウの平らなところで叩いて、まっすぐ平らに綺麗にして~切っ先は、包丁の取っ手部分を尖らせた様に、金床のこの丸い角を使って、尖らせる~』
『ハイ叩いて~トントントントン、返して、ヤットコの持ち方が逆!トントントントン、返して~、切っ先!~ゲンノウは斜めに打たんと尖らんばい~』ふう~!~指導があるときには、息をするのを忘れていた自分に気づく。
名人は交代して、出来を検査!『う~ん、まあ、良かか!』と言いながらも、結構打ち直して仕上げてくれた。 刃渡り約20センチ位のナイフの原型が出来た。しかし、冷えたところでディスクカッターで、18センチくらいに切断された!
理由は、取っ手の部分まで鋼材を使うと、全体で30センチも使うので、高価な鋼材節約の為に、刃渡り部分を切り出し、取っ手部分は、普通の軟鉄を溶接で継ぎ足して30センチのナイフにするとの事。~そういうもんかと従うしかない。って言うか、返事するまもなくもう切られている!
次回では、鋼と軟鉄が溶接されて出来上がっていた。
グラインダーで大まかに出っ張りを取り、綺麗にしたら~80番のSPで磨き作業。
そしたら、次は水砥石で全体をぴかぴかに磨いた~では、さっきの80番のSPで磨きしなのは何?どうせ水砥石で簡単に磨くんだったらSPでの磨きしなくて良かったんじゃ?という疑問が出てきた~?名人も作業工程を間違えるのかな?って事は何度かあった(笑)
毎回、入門生徒が3~5人居て、それぞれ作業工程が違うので、指導に手が回らない時には、SPで磨きの時間調整~って事か?と、”放置プレイ”の意味がわかると、SPがけには突っ込まなかった(笑) 次は、刃をつける前の、ヒルト(ツバ・鍔)と、取っ手部分の製作に入った。
分業体制かどうか分からないが、今度は1キロくらい離れた、名人仲間の工房に移動して、ヒルトがはまる部分の削り込み、真鍮(シンチュウ)の棒から、ヒルトの切り込みと切り出し、ヒルトを留めるヒルトピン(真鍮棒)が入るところの穴あけ~取っ手の材料はブビンガ木(東南アジア系の硬い木)を使うが、それを留めるための穴あけ作業をした。これらの作業は、刃をつけると危なくて出来ないので、今、やっておく工程とのこと、納得。
季節は8月、この工房の蚊の多さにはマイッタ!その名人仲間はスキンヘッドで、頭に蚊が入れ替わり立ち代り止っている(笑)でも、叩いてやるわけもいかず、後ろでジッと見ていた(笑) 出来上がったヒルトをナイフにヒルトピンで留めると、ナイフらしさにいっそう近づいた。
ここまで来て次は、焼き入れ工程。包丁のところでも説明したが、鋼は1気圧で、鉄の純度100%の場合には、911℃~1392℃の温度で、オーステナイト組織になり、これを水中または油中で急冷すれば、マルテンサイト組織の非常に硬くて脆い層組織に変化する。 これまでの焼きの回数は、包丁よりも少なかったから、炭素量は0.3%以上はあるだろう~『脱炭素』にはなっていないと期待できる。今回もこの焼入れ作業は、名人の手によって行われた(泣) さて、マルテンサイト組織になったナイフを水砥石で研いで刃をつけた。もう、振り下ろせば木でも切れる状態。
それからしばらくは、ずっと磨きの週が続いた。水砥石の80番の磨き傷が入っているのを消し去り、顔が映ることが目標!この作業は、指のスライスが出来る、危険一杯の作業!~小さいゴム板や板にSPを巻いて、指を当てないように注意。それでも、何100回もSPを滑らすのだから、角度を油断するとSPはすぐ短冊になる~幸い怪我はしなかった。 8月は殆ど磨き作業、80番から始めて、120→180→240→600番まで進めた。
ある夜、パチンコ屋に止めていたら、『無断駐車、1万円の罰金』の張り紙~無視をして気にしなかったが、次回から、コンビニに駐車するようにした。
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