この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

グエムル 漢江の怪物

2006-09-03 23:42:59 | 新作映画
 ポン・ジュノ監督、『グエムル 漢江の怪物』、Tジョイ久留米にて鑑賞。

 正直言って今まで韓国映画を観て面白いと思ったことがありません。
 韓国映画に注目したのはかなり早い方だとは思っています。何しろ『火山高』を劇場まで観に行ったぐらいだから(あの頃は今のように韓流ブームがやってくることなど思いもしなかったなぁ)。でもその『火山高』が自分的にはどーもイマイチで、それからも『猟奇的な彼女』や『オールド・ボーイ』などを見たんですけど、やはりピンと来ませんでした。悪くはないけれど、そんな世間で評判になるほどのものかなぁ、ぐらいの感想しか持てませんでした。
 ですから韓国映画は生涯自分には合わないのかも?なんてネガティブなことまで考えていました。
 そんな自分がなぜ本作を観に行ったかというと、やっぱり前評判が高かったですし、何より怪獣映画が好き、っていうのもあるかもしれません。
 さて前振りが毎度の如く長くなってしまいましたが、本作の感想をズバリ一言で述べると、
 面白い!!!
 これに尽きます。
 何がどう面白かったのか、いろいろとあるんですけれど、多くのレビューサイトで述べられているように怪獣映画のセオリーをことごとくぶち壊した、っていうのは確かにあると思います。
 今までの怪獣映画って実際怪獣が登場するまでにかなりの間がありましたよね。最初鄙びた山村や離島が怪獣に襲われて(当然襲われるのは夜)、それをたまたま主人公たちが知るところとなり、この惨劇は一体何によってもたらされたものであろうか、そう推理し、そして探索することで物語が展開するというか、そういった約束事がありました。
 『グムエル』にはそういったセオリーは一切なし。開始十分、しかも真っ昼間からいきなりドドーンと出てきちゃいます。いやぁ、怪獣映画史上最もスピーディな展開といっていいのではないでしょうか。
 あとこれまでの怪獣映画ではとりあえず怪獣は大きければいい、みたいな風潮(?)がありましたが、本作の怪物は大きすぎず小さすぎず、怪獣映画史上大きさ的にベストだといっていいと思います。まさに目からウロコ、テレビアニメでいうと『装甲騎兵ボトムズ』を初めて見たときの衝撃に似ているかもしれません。
 他にも登場人物の一人一人がきちんと性格付けされているところが、それも極めてわかりやすい形で、感心しました。例えばソン・ガンホ扮するカンドゥはあのだらしない見た目と中途半端な金髪で、またペ・ドゥナ扮するナムジュはいうまでもなくあのダサダサのジャージで、どういうキャラなのか、観客がわかるようになっています。これは簡単なようでなかなか出来ることではないと思います。
 手放しで褒めてもいいんですけれど、個人的にはやっぱりヒョンホには生き残って欲しかったなぁというのが正直なところです。
 あと、逆にあのアメリカ人科学者に天誅が下ったら、胸がスッとしたんですけれど(確か生き残っちゃいましたよね?)。
 単純なハッピーエンドにしないところがポン・ジュノ監督らしさなのかな、とも思うのですが。
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする