この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

寝巻きを片付けながら・・・。

2006-12-10 21:29:02 | 日常
 今年から冬物の寝巻きがどどーんと増えました。
 何でかっていうと亡くなった親父の寝巻きが箪笥の引き出しの奥から出てきて、お袋が「あんたが着なさい」ってくれたからです。親父は病がちだったので寝巻きのコレクションもそれなりに豊富で、おかげで一気に倍ぐらいに寝巻きが増えました。親父もどうせ形見を残すなら、もう少し金目のものを残してはもらえないものかと思わないでもありません。笑。
 その寝巻きを片付けながら、先日録画した『ミリオンダラー・ベイビー』を見ました。
 自分はことあるごとに映画を観る理由としてその映画から元気を分けてもらいたいから、って公言しています。ドン引きされるかもしれませんが、ここだけの話、(オフラインでは)楽しいことが何にもないんですよ。だからせめて映画を観終わったあとぐらいハッピーな気分でいたいなと思って映画を観に行っています。だから当然ハッピーエンドのお話が好きなんですけどね。
 世の中には決してハッピーエンドではないけれど観るべき価値のある映画がいくらでもあるってことぐらい百も承知しています。でもそういう映画ってあんまり観る気がしません。今の自分が置かれている状況が変わらない限り、たぶんこれからずっとそうですね。
 で、『ミリオンダラー・ベイビー』なのですが。
 もしかしたらクリント・イーストウッドはすべての映画人の中で最も才能のある人なのかもしれません。
 自慢じゃないですけど自分は重箱の隅を突付くことにかけてはちょっとは自信があるのですが(ほんと自慢にならんな。。。)、『ミリオンダラー・ベイビー』、一本の映画として見た場合、非の打ち所がない、そう思いました。完璧ではないにしても限りなくそれに近い。
 でもですね、見た人はわかると思うんですが、テーマがすごく重いんです。一言でいうならば、この映画は「人は努力をしても報われないことがある」っていうお話ですからね。
 そういった重い映画なのに完成度がやたら高いせいで鑑賞後、本当に気がずずーんと滅入っちゃいましたよ。夜なかなか眠れなかったです。
 公開時、この作品を「存在すら許せない」とレビューで全否定した人がいたのですが、今ならそれもわからないではないです。
 そういった人はおそらく映画の中の出来事と似たような経験をされたんでしょう。かくいう自分もその一人で、親父は亡くなる前、人としての尊厳を持ち合わせてはいませんでした(もちろん親父は自然死ですが)。
 映画『ミリオンダラー・ベイビー』は自分が今まで見た中で五本の指に入るほど完成度の高い作品だと思います。でももう一回見たいか、と訊かれたら即座に勘弁してくれ!って拒否させてもらいたいですね。自分には『スーパーマン・リターンズ』のお気楽さが性に合っています。
 というような自虐的な記事を親父の寝巻きを着て、書いている次第です。
コメント (15)
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