この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

ATOM。

2009-10-11 23:21:42 | 新作映画
 デビッド・バワーズ監督、『ATOM』、10/10、ユナイテッドシネマキャナルシティ13にて鑑賞。2009年40本目。

 映画のハシゴ、二本目は『ATOM』です。

 この『ATOM』、何かよく知らないんですけど、公開前の評判があんまりよくないんですよね。
 アトムのキャラが可愛くない、という声をよく聞きました。
 自分は予告編や公式サイトを見る限りかなり出来がいいように思えたので、確認の意味も含め観に行ってきました。

 で、実際観た上での感想ですが、、、これはいい!!近年公開された手塚治虫原作の劇場映画の中では突出した出来ではないでしょうか。
 原作付き映画というものに不可欠なのはまず何よりも原作へのリスペクトだと思います。
 『どろろ』や『MW』に欠けていたのはこれでしょう。
 ただ手塚治虫というネームバリューを利用しただけの卑しい作品だった、そう言い切るのも過言ではないと思います。
 本作は完全なハリウッド資本で、当然監督もデビッド・バワーズなるアメリカ人なのですが、彼は心底手塚治虫の作品が、そして『鉄腕アトム』が好きなのだなぁと感じられました。
 ちょっと油断していると手塚治虫のキャラクターが、例えばひょうたん継ぎなど、背景に隠れてますからね。それらおなじみのキャラを見つけられるだけでニンマリとしてしまいます。
 また、バワーズは手塚治虫だけじゃなく、洋邦問わず、様々なSF映画、SFアニメが好きなのだろうなぁ、そう思えました。
 自分が気づいただけで(思い込みかもしれませんが)、『風の谷のナウシカ』、『A.I』、『WALL・E/ウォーリー』、『ファイブスターストーリーズ』といった作品へのオマージュが見て取れました。

 原作付き映画に、原作へのリスペクトは必須ですが、それだけでは不十分です。
 過去の名作を、現代に蘇らせる意義がなければ、わざわざお金と手間暇をかけて映画にする必要はありません。
 つまり、改変すべきところはきちんと改変すべきなのです。
 その点においてもバワーズに抜け目はありませんでした。
 原作のアトムの動力は「アトム」というぐらいですから原子力なのですが、映画の『ATOM』のアトムはブルーコアという隕石を源にする未知の力で動くのです。
 これは手塚治虫が『鉄腕アトム』を作り出した時代は、原子力こそが夢のエネルギーであったのに比べ、今の時代は原子力に対して、夢を抱くということはまず出来ません。
 よい改変だった、そう思います。

 繰り返しになりますが、本作の監督はアメリカ人なんですが、本作は実に日本人好みに仕上がっています。
 アトムが天馬博士に(つらい仕打ちを受けてなお)「お父さんの子に生まれてきてよかった」というシーンは涙腺を刺激しまくりでしたよ。
 アンタは日本人か、バワーズ!!

 一つ残念なことがあるとすれば本作を字幕版で観れなかったことでしょうか。
 ニコラス・ケイジが声を当てた天馬博士というのも観てみたかったです。
 あ、でもアトムの声を当てた上戸彩はすごくよかったですよ。
 やたらめったらCMに出てるだけのCM女優という認識は改めなくっちゃ、と思いました。笑。

 お気に入り度は★★★★☆、お薦め度は★★★★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする