この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

【エスター】、少女の姿をした怪物。

2010-03-25 17:32:42 | 旧作映画
 中心地からやや外れたところにあるゲオの最近のキャンペーンは、駅前にあるツタヤを意識してか、何だか閉店前の大安売り!!みたいな凄まじいものがあります。
 新作レンタルが一本八十円って!!(一泊二日だけどね)
 普段新作は借りない主義の自分でも、さすがに何か借りてみるべか、という気にさせてくれます。

 借りたのは【エスター】
 去年は一年間に五十一本の映画を映画館で観ました。
 それぐらいの数の映画を映画館で観てると、自分の場合だいたい観たい映画は映画館で観ることになるのですが、それでも何本かは観損ねる映画もあって、その一本が【エスター】だったりします。

 三人目の子供を流産したコールマン夫妻はエスターというロシア人の少女を養子に迎えるが、彼女はとんでもない怪物だった、というお話。

 なんですけど、前提である、流産した三人目の子供の代わりに養子を迎え入れるという夫妻の心理がよくわかりませんでした。
 フツーに考えれば、三人目の子供を流産したら、今いる二人の子供にそれまで以上の愛情を注ぐんじゃないかなぁ?
 まぁそこら辺の心理は子供がいない、というかそれ以前に独身である自分には理解し難いものなのかもしれないですけどね。

 しかし、それ以外のことに関しては本作は完璧でした。
 自分がホラー映画に望むものを本作はほぼ応えてくれました。
 脚本が非常によく練られた作品であり、こういった脚本の丁寧さは、別にホラー映画に限らず、コメディでも、アクション映画でも、人間ドラマでも好感が持てます。

 俳優陣もよかったです。
 二人の子役、主人公のエスターを演じたイザベル・ファーマンの怪演も素晴らしかったですが、コールマン家の長女マックスを演じたアリアナ・エンジニアには感心しました。
 天才子役は数知れずいますが、自分に言わせればあくまで芸達者な子供俳優に過ぎないんですよね。
 しかし、アリアナは本当に天才だと思いました。
 天真爛漫な天使のような笑顔、恐怖に戦く様子、エスターに立ち向かう姿、とても演技には見えませんでした。
 二人の子役の演技を見るだけでも本作は鑑賞する価値が充分あると思います。

 先ほど自分がホラー映画に望むものを本作は応えてくれた、と書きました。
 自分はホラー映画に、単に恐怖だけでなく、悲しさや切なさも求めたいんですよね。
 本作のヒロインであるエスターは間違いなく怪物であり、周囲にいる人間を不幸にするのですが、それでも彼女自身が望んだのはありふれた幸せだったんじゃないかと自分は思います。
 そう考えるとすごく切なくなるのです。
コメント (2)
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